選定理由 |
本種は平野部の砂泥質からなる浅い池沼、ため池、用水、また河川や湖では岸辺に水草が繁茂する場所などの緩流域を好んで生息する。府内にあるそのような水域にはオオクチバスやブルーギルが密放流され、食害により急減している。 |
形態 |
1年で3〜4cmになるが、メスの方が大形となる。翌年の夏には成熟して産卵する。側線は不完全で胸鰭上方までで終わり、著しく下方に湾曲する。口ひげはなく、眼は大きい。生時の体色は、背面は緑色を帯びた褐色で、後頭部から背鰭起点までの背中線に暗色の縦帯が、体側面には眼窩後縁から肩部を経て尾鰭基底中央部に達する灰褐色の縦帯があり、腹部は銀白色。産卵期の雄はたいへん鮮やかな黄金色となる。 |
分布 |
本州中部以西、四国の瀬戸内海側、九州北西部に分布し、国外からの報告はない。東限は静岡県瀬戸川水系である。
◎府内の分布区域
南部地域のため池など。
◎近似種との比較
近縁種としてヒナモロコAphyocypris chinensisが挙げられるが、ヒナモロコの分布は九州北西部のみであり、府内には分布しない。 |
生態的特性 |
産卵期は5月中旬から7月下旬にかけて、比較的流れの緩やかな川岸、あるいはため池の岸辺に生い茂る水草や、冠水した陸生の雑草の茎葉に卵をまばらに産着させる。あまり水の動きのない水域を好み、少数で水面表層から中層を群泳する。食性は幅広い雑食性で、付着藻類を主体に水生昆虫なども食す。 |
生息地の現状 |
府内では南部のため池などに分布するが、局所的である。人間生活の影響を直接的に受けており、分布域および個体数は減少傾向にある。深泥池(京都市北区)では1970〜1980年代に絶滅している。 |
生存に対する脅威 |
用水路の三面コンクリート化、ため池の埋め立てなど、生息地の人工化や破壊が挙げられる。また、外来魚による食害も減少の一因と考えられる。 |
必要な保全対策 |
生息地の保全、およびオオクチバスなど外来魚が入らないような方策を図る必要がある。 |
その他 |
日本固有種 |