鉱物

新生代古第三紀

白石山は大路とならんで国内における重要なペグマタイト鉱物、とくに放射性鉱物の産地の一つとして有名である。河辺石（kobeite）は本地域の地名に因んで命名された新鉱物である。ペグマタイトは花崗岩体の浅所に分布するため、露頭喪失の可能性が高い。

直径約30kmのバソリス状の宮津花崗岩（粗粒の黒雲母花崗岩）には各所にペグマタイトが発達している。本地域のペグマタイトには長石帯と石英帯がよく発達している。ペグマタイトの延びの方向は本地域の地質構造と密接な関係があり、断層、岩脈、節理面の方向とよく一致している。河辺付近には大路地域と同様、北西～南東方向のペグマタイト脈に放射性鉱物が多く含まれる。白石山周辺では河辺石、フェルグソン石、モナズ石、チェフキン石、ゼノタイム、変種ジルコン、褐れん石が多く認められる（田久保ほか 1950）。河辺石（kobeite）は淡紅色の微斜長石中に産する傾向があり、まれに茶色の石英（いわゆる煙石英）にともなう場合もある。色は黒色で新鮮な破面は強いガラス光沢を呈する。質はもろく、いわゆるメタミクト状態になっている。径1～2mmの柱状結晶で、放射状あるいは樹枝状の集合体をなしている。柱状結晶の各個体には伸長方向に平行な溝が存在し、結晶の断面はＸ字形をなす双晶の平行連晶体であると考えられる。化学組成は確定ではないが（Y, U）（Ti, Nb）₂（O, OH）₆で示される。鉄、マンガン、ジルコニウム、タンタルのほか、分光分析ではスカンジウムの存在も確認されている。河辺石を包有する微斜長石は放射能の影響により、もろくなっている。本鉱物は1950年に本地域で発見された。チタン鉄鉱は石英、とくに煙石英中に板状をなして多産した。扁平な六角板状結晶である。一般に黒色であるが、変質して褐色または灰褐色を呈するものが多い。大きさは径6～7cm、厚さ3cmに達する。多量のマンガンを含有する。

河辺石やその他の鉱物は地下の花崗岩中に含まれている可能性が高いが、丹後地域の土地開発によって地表のペグマタイトの露頭が失われる危険性がある。