選定理由 | 社寺林にも分布するために、分布は広く点在するが個体数は多くない。また、本種が営巣する樹洞をもった自然林や発達した二次林が減少するとともに分布が孤立化しつつある。 |
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形態 | わが国で最大の飛膜を持ち滑空する哺乳類で、ホンドモモンガに似るがはるかに大型。毛は褐色だが腹面は白い。頭胴長270~480mm、尾長280~410mm、体重700~1300g。 |
分布 | 北海道と沖縄県を除く全都府県。低地から亜高山帯までの天然林及び発達した二次林に生息。 ◎府内の分布区域 京都大学芦生研究林、比叡山、大見、八丁平、青葉山など。低地では法然院などの社寺林。 |
生態的特性 | 夜間に樹間を滑空し、樹を移動しながらブナ科、マツ科、ニレ科などの樹の芽、葉、花、種子などを食べる。日中は樹洞の巣などで休息。メスはなわばりをもつがオスはもたない。交尾期は冬と5月~6月の2回。 |
生息地の現状 | 生息が確認されている社寺林は伐採等も行われず、継続して生息しているが個体数は多くない。山中の生息実態はあまりわかっておらず、生息実態調査が必要である。 |
生存に対する脅威 | 社寺林の伐採、天然林や発達した二次林の減少など、樹洞ができるような林などの減少とそれらの場所の孤立化。 |
必要な保全対策 | 人里近くに生息している場合が多いので、環境教育の素材として活用することで保護意識を高めることが望ましい。 |
文献 阿部ほか(1994)、川道(1996)、日本哺乳類学会(1997)
執筆者 村上興正