野生生物種の選定概要
選定方法
京都府レッドデータブックでは、「野生生物種」、「地形」、「地質」、「地域生態系」について、それぞれの選定基準(京都府カテゴリー)を設けたが、野生生物種については、対象とする分類群についての情報量や既存研究の蓄積の有無などの違いから、すべての分類群に当てはまるような明確な基準を作成することが困難であった。そのため、特に野生生物種については、基本的概念によりそれぞれ共通のカテゴリーを定め、具体的な選定の要件については、それぞれの分類群の実情に則して、最もふさわしいと考えられる基準により選定することとした。また、府内の野生生物の過去のデータについては不明な点が多く、それらと比較する定量的な基準は困難であったため、すべて定性的な基準により選定した。分類群ごとの詳細な選定基準については、各分類群ごとの項を参照されたい。
選定基準(カテゴリー)
京都府レッドリストカテゴリー(野生生物 2015)
区分 | 基本的概念 |
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絶滅種 | 京都府内ではすでに絶滅したと考えられる種 |
絶滅寸前種 | 京都府内において絶滅の危機に瀕している種 |
絶滅危惧種 | 京都府内において絶滅の危機が増大している種 |
準絶滅危惧種 | 京都府内において存続基盤が脆弱な種 |
要注目種 | 京都府内の生息・生育状況について、今後の動向を注目すべき種および情報が不足している種 |
※種は、動物では種及び亜種、植物では種、亜種及び変種を示す。
〈参考〉環境省レッドリストカテゴリー(2013.2)
カテゴリー | 基本的概念 |
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絶滅(EX) | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅(EW) | 飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) | 絶滅の危機に瀕している種。 現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。 |
絶滅危惧ⅠA類(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。 |
絶滅危惧ⅠB類(EN) | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。 |
絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 絶滅の危険が増大している種。 現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧Ⅰ類」のカテゴリーに移行することが確実と考えられるもの。 |
準絶滅危惧(NT) | 存続基盤が脆弱な種。 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位カテゴリーに移行する要素を有するもの。 |
情報不定(DD) | 評価するだけの情報が不足している種。 |
付属資料 絶滅のおそれのある地域個体群(LP) |
地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの。 |
※種は、動物では種及び亜種、植物では種、亜種及び変種を示す。
※表中の下線部は「環境省レッドリストカテゴリー(2012)」からの変更箇所
選定結果(選定種の概要)
京都府レッドデータブックに掲載された野生生物種(亜種、変種を含む)は、動物790種、植物1,027種、菌類118種の計1,935種で、分類群別の選定種数は、京都府レッドリスト(野生生物 2015)一覧表のとおりである。
また、カテゴリー別の内訳は、絶滅種95種、絶滅寸前種461種、絶滅危惧種505種、準絶滅危惧種444種、要注目種430種となっている。なお、選定した野生生物種(京都府レッドリスト)は、京都府レッドリスト(野生生物種)のとおりである。
野生生物種の掲載内容(凡例)
分類群ごとの掲載種等の解説は、原則として以下の項目とした。なお、項目について、該当事項のない場合や情報不足等の理由により記載できない場合は省略した。また、掲載種によっては、下記の内容を要約して「概要」としたり、生息・生育地の現状、生存に対する脅威、必要な保全対策をまとめて記載したものもある。
和名 | 標準和名を記載した。異名や京都方言については主なものを記載した。 |
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学名 | 原則として、動物および菌類は属名、種小名、命名者名とし、植物は属名、種小名までとしたが、各分類群ごとの慣例に従って、表記方法などは分野ごとに統一した。また、文献によって学名が複数ある種については、主なものを複数記載した。 |
分類 | 動物は目名及び科名を、植物は科名を記載した。 |
カテゴリー | 京都府カテゴリー、環境省カテゴリーについて記載した。なお、分類群により学術団体等発行のレッドデータブックがある場合は、そのカテゴリーも記載した。また、2002年版からのカテゴリーの変更内容を矢印で示した。新規掲載種には「新規」と記載した。 |
選定理由 | 京都府レッドリストの対象種として選定された主な理由を記載した。 |
形態 | 種の形態的な特徴について記載した。なお、府内に近似種が分布している場合は、必要に応じその形態的な区別。 |
分布 | 原則として世界及び日本国内の主な分布範囲と府内の分布区域について記載した。なお、府内の分布区域については、希少な種の乱獲や密猟を避けるため、具体的な位置や地点は明記せず、「京都府の地域区分」の地域名などで記載した。また、分布範囲が限られ日本固有種などに該当する場合には記載した。 |
生態的特性 | 種の生態的特性について記載した。 |
生息地の現状 | 府内における生息・生育地の現状や条件について記載した。 |
生存に対する脅威 | 既知のまたは想定される、種の生存に対する圧迫要因や減少要因などについて記載した。 |
必要な保全対策 | 府内における掲載種の存続や府内の生息・生育地を維持・回復するために必要な主な保全対策を記載した。 |
特記事項 | 学術上の意義のほか、上記以外で特に記すべき事項について記載した。 |
改訂の理由 | 2002年版からのカテゴリー改訂があった場合、その理由を記載した。 |
文献 | 掲載種ごとの引用文献及び参考文献を記載した。本文文献欄には「著者名(発行年)」のみを記載し、分類群ごとの文献一覧に、著者、発行年、タイトル、書名、巻(号)、ページなどの詳細を記載した。 |
執筆者名 | 掲載種についての原稿の執筆者名を記載した。2002年版に変更、加筆を加えた場合はその担当者名を記載した。 |
関係法令 | 本書発行時点で、掲載種またはその生息・生育地を保護するために指定されている関係法令などについて記載した。 |