選定理由 | 府内での分布域、個体数とも極めて限定されていること。本種が営巣するに必要な樹洞がある森林が少ないことなど。 |
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形態 | ムササビに似るがはるかに小型で目が大きい。前肢と後肢の間に皮膜があり滑空する。頭胴長140~200mm、尾長100~140mm、体重150~220g。乳頭は5対。 |
分布 | 本州、四国、九州の22府県に分布。山地帯から亜高山帯の森林に分布。 ◎府内の分布区域 府内では比叡山、京都大学芦生研究林、大見、片波川源流域周辺などごく限定された地域に分布している。 |
生態的特性 | 樹洞で営巣するために本種の生存には樹洞がある森林が必要。樹の葉や芽、堅果、昆虫などを食べる。本種は完全な夜行性で森林帯に生息するために分布情報などが得にくい種である。ホンドモモンガの生態についてはほとんどわかっていない。 |
生息地の現状 | 近年山林労働者が減ったことも影響しているが、聞き込みによる生息情報があまり得られていない。樹上生活が中心となるので、シカの影響はあまり大きくないと考えられるが、生息現状について調査が必要である。 |
生存に対する脅威 | 営巣のための樹洞があるような古い森林や落葉広葉樹林が減少し、かつ分断化している。 |
必要な保全対策 | 生息現状の把握。生息地となる樹齢の古い森林を保全すること。本種の分布の可能性のある自然林の伐採をしないこと。樹上のみで生活するので、森林が連続していることが必要で、道路建設などによる森林の分断も好ましくないと考えられる。 |
関係法令 | 京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例(指定希少野生生物) |
文献 阿部ほか(1994)、日本哺乳類学会(1997)、柳川(1996)
執筆者 村上興正