種子植物 タヌキモ科
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) |
近畿レッドデータブックカテゴリー | 絶滅危惧種A |
選定理由 | 湿地の開発や水域の埋め立て、富栄養化の進行で全国的に減少している。府内の生育地もきわめて限られる。近年外来のオオバナイトタヌキモと競合、消滅寸前の自生地も見られる。 |
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形態 | 細い茎がからまって水中に浮遊するか、あるいは湿地にマット状に密生して生育する繊細な食虫植物。葉は二又状でまばら、少数の捕虫嚢が付く。外来のオオバナイトタヌキモが野生化しているので注意が必要。イトタヌキモの花は全幅3~4mmで小さいが、オオバナイトタヌキモの花は幅が約1cmある。 ◎参照 日本の野生植物 草本Ⅲ(平凡社)139、原色日本植物図鑑 草本編Ⅰ(保育社)122、日本水草図鑑(文一総合出版)153 |
分布 | 本州、九州、東アジア、インド、アフリカ、オーストラリア。ただし、イトタヌキモはオオバナイトタヌキモ(U. gibba)と同種に扱われることも多く、少なくともオーストラリアやアフリカのものはオオバナイトタヌキモと思われる。 ◎府内の分布記録区域 京都市域、山城地域。 |
生存に対する脅威 | 水域の富栄養化、湿地の開発や乾燥化。 |
必要な保全対策 | オオバナイトタヌキモと異なり、イトタヌキモは酸性貧栄養地のもの。水質が最も重要である。オオバナイトタヌキモ(水鳥で運ばれる)が混入すると、選別しての除去は困難なので、一部を種子などの形で系統保存する段階にあると思われる。 |
特記事項 | 自家受粉をするので結実はよい。水中に浮いているときと、浅い湿地の泥上にはえているときとではたいへん姿が異なる。 |
執筆者 角野康郎、光田重幸