1.現在までのサザエ栽培漁業化の取り組みの経過
栽培漁業とは人工生産された種苗を自然の海に放流し、効率よく漁獲可能サイズになるまで育てて回収するというものです。さらには、放流された種苗が親となって子孫を残すことにより、天然資源の維持、増加に寄与させることを期待するものです。そのためには、種苗を自然の海に放流するまでには種苗の量産技術開発、中間育成技術開発が必要ですし放流後は資源管理技術の開発が必要です。この資源管理技術開発を通じて天然資源をも同時に管理することを可能にしていくことになります。
京都府でのサザエの栽培漁業化への歩みを簡単に振り返ってみますと(表1)、まず、種苗生産技術の開発については、昭和42年に全国に先駆けて産卵誘発試験に着手し、その後、親貝の養成法、効果的な産卵誘発法、配合餌料による飼育技術など、種々な技術改良、技術開発が行われ、昭和60年までに安定した種苗量産技術が確立されました。そして、昭和61年には京都府栽培漁業センター内にサザエの種苗生産棟が完成し、この生産棟は試験稼働の後、昭和63年から本格稼働され、現在では殻高5mmサイズの中間育成用種苗を毎年50万個以上生産するまでに至っています。
資源管理技術の開発についても、その開発の基礎となる天然のサザエの生態を明らかにする調査が昭和42年から開始され、磯根漁場に繁茂している海藻の種類と量、サザエの餌となる海藻、サザエの住み場と波や流れの強さとの関係、サザエとムラサキウニとの住み場をめぐる関係、小型サザエの住み場としての浅場の重要性など、種々な情報が得られていきました。このような天然のサザエの生態的な情報に基づいて、昭和59年からは人工種苗を用いた系統的な放流が行われてきました。
このような人工種苗を用いた放流実験の結果、以下のことが明らかにされました(詳しくは本報第23号をご参照ください)。すなわち、
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