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はじめに
 
 サザエは京都府の水視漁業にとって重要な漁獲物の一つですが、豊凶の差はかなり大きいものがあります。
 京都府では昭和59年にサザエ種苗の量産化技術を開発したのを機に、その種苗を用いて放流技術の開発に努めてきました。昭和61年には、その成果の一部を本季報23号でご紹介してきたところです。
 その後もサザエ棟の建設を初めとして、陸上水槽や網篭による中間育成技術の開発を進めるとともに海域条件の厳しい外海域での放流技術の開発などに取り組んできました。
 その結果、漁業者の皆さんと一緒に進めてきた本庄漁港内での小型種苗の薄撒き放流、本庄浦野室地先や蒲入向の浜地先などの外海域での放流では、皆さんに放流効果を実感していただきました。また、同時に中間育成では、天然育成場の荒廃や飼育管理技術の不足など、新たな問題や課題が生じ、その早急な解決が求められています。
 そこで、これまでのサザエ栽培漁業化への取り組みの経過とこの間に明らかにされた成果や問題点を技術的な側面から整理して、今後の展開方向について御紹介し、皆様方に進めて頂いているサザエの栽培漁業の参考にして頂ければ幸いです。

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