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6.投棄されることによりどれ位のカニが死ぬのか
 
??  ズワイガニは漁獲されることに加え、混獲、投棄されることによっても死んでしまいます。資源管理を考える上で、投棄されることにより、どれ位のカニが死んでしまうのかを知ることは重要なことです。ここでは、これまで述べた一網当たりの平均投棄尾数と投棄された後のカニの生き残り率、そして操業日誌から調べた底曳網の操業回数(表3)をもとに、漁期別の死亡尾数を試算します。ただし、操業回数には、入会いで操業する兵庫県と福井県に所属する漁船分は含まれていません。
春漁期
  この漁期では、アカガレイを対象にした操業の際に、ズワイガニが混獲されます。とくに、水深230〜260m域では混獲尾数が多く、操業回数も多くなっています(表1、表3)。この期間の投棄後の生き残り率は、平均的にみれば約90%といえます(表2)。逆に、死亡率は10%になります。これは、例えば、一網で1,000尾のカニが混獲、投棄されたとすれば、その内の10%、すなわち100尾が死んでしまうことを意味します。
 一網当たり平均投棄尾数、投棄直後の生き残り率、そして操業回数をもとにすると、春漁期に水深230〜260m域で操業することにより、約100,000尾のカニが死んでしまうことが分かります。
 
秋漁期
 現在、この期間はズワイガニの保護を目的として、水深200〜330mの海域を操業禁止にしています。ここでは、この水深帯よりも深いところでの状況を試算してみます。春漁期と同じ方法で計算すると、約25,000尾のカニが投棄されることにより死んでいます。
 
冬漁期
 京都府沖合では、ズワイガニ漁業はとくに水深230〜300m域で多く行われます。カニの漁期であっても、漁獲できない大きさのカニがたくさん混獲されます。投棄直後の生き残り率は、冬期で水温や気圧が低いため。1年の中では約95%と最も高くなっています。しかし、操業回数は他の漁期に比べると多くなります。この時期の投棄による死亡尾数を同じ方法で計算すると、約150,000尾にもなります。
 春から冬漁期までの年間死亡尾数を計算すると、なんと約300,000尾にも及びます。ただし、ここで推定した尾数には、同じ漁場で操業する他県の漁船分は含まれていません。さらに、実際の操業時における投棄直後の生き残り率は、表2の値よりも低いことを述べました。このようなことからすれば、死亡尾数は1.5〜2倍にも増加すると考えられます。一方、京都府の平成元年度から4年度までの年間の漁獲尾数は、雄ガニ(「たてガニ」と「水ガニ」の合計)が約80,000〜130,000尾、雌ガニが約220,000〜430,000尾と推定されています。したがって、投棄による年間の死亡尾数は、漁獲尾数にほぼ匹敵、もしくはそれ以上であるといえます。
 

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