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7.まとめ
 
 今日の資源の悪化や漁獲量の減少は、「乱獲」によるためと単順に考えられがちです。しかし、本冊子で紹介したような「投棄による資源の減耗」を全く無視するわけにはいきません。ズワイガニの資源管理では、「投棄による資源の減耗」が解消されない限り、決して前進することはないと考えます。
 小型のカニがたくさん入網すると、選別と投棄の手間がかかることから、船員は嫌な顔をします。水揚げ物の鮮度が落ちないように、限られた時間内に限られた人員で選別作業を進めるには、この小型のカニはやっかいなものになっています。
 しかし、これらのカニも同じズワイガニであり、1〜2年後には大きくなり漁獲することができます。日本海西部のある漁場では、「小型のカニはほとんど網に入ってこない」という話を聞きます。この場合、選別する手間がはぶけますが、逆にいえば1〜2年後には漁獲できるカニが少なくなり、漁獲量は減少するという兆候でもあるのです。底曳網の漁業者には、小型のカニをゴミとして「投棄」するのではなく、1〜2年後には漁獲できるように「再放流」するという意識を持つことがまずは必要ではないでしょうか。
 京都府の底曳網漁業者は、これまでの操業の仕方を反省するとともに、操業中にとくに多くズワイガニが漁獲される春漁期に、操業禁止区域を設定して、「投棄による資源の減耗」を少なくすることを決定しました。平成6年には、同一漁場を利用する隣接県の漁業者とも協議し、5月の1ヶ月間についてズワイガニが生息する水深230〜350m域を全面操業禁止としました。その効果もあって、平成6年度の京都府のズワイガニ漁獲量は148トンを記録し、昭和47年以来の豊漁となりました。今後、さらに、「投棄による減耗」を軽減し、資源と漁獲量の増大を期待したいと思います。
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