京都府医療審議会地域医療構想策定部会(平成28年10月11日開催)の審議概要
開催日時
平成28年10月11日(火曜日)16時00分から17時53分まで
開催場所
京都ガーデンパレス2階「祇園」
出席委員
福居部会長、松井委員、依田委員、清水委員、安岡委員、多々見委員、汐見委員、堀口委員、中島委員、近藤委員、渡邊委員、荻野委員 (12名)
審議の概要
議事
(1)地域別調整会議の開催状況等について
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地域別調整会議における意見等
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各都道府県の地域医療構想策定状況
事務局から、資料1、2により説明
(2)地域医療構想策定のための取り組みについて
- 入院患者実態調査報告書(概要)
- 各病院との意見交換結果
- 入院患者の疾患別流出入状況
- 府医師会在宅療養への取り組み状況アンケート結果「現在及び10年後における訪問診療提供可能数と在宅医療等の医療需要」
事務局から、資料3から5により説明
府医師会から資料6により説明
主な発言
- 国は、医療の必要度の低い患者を将来的に在宅に移していく考えだが、在宅医療は支える家族がいて初めて成り立つものであり、独居老人や老老介護の患者に対し、在宅医療、在宅看護、在宅リハビリ、在宅介護といった医療資源を投入することはかえって経費が増すのではないか。そもそも在宅リハビリを行うスタッフが絶対的に不足している。
- 在宅医療のマンパワーはすべての圏域で不足することが明らかである。
そもそも介護保険制度がスタートした背景には、介護の負担をその家族だけでなく社会全体で支え合うという考え方があった。今回の、入院患者を在宅に戻すという考え方は、介護保険の考え方に逆行するものである。
自宅で介護を受けることが必ずしも「最高の幸せ」なのではなく、入所施設や通所施設もうまく組み合わながら「介護離職ゼロ」の方針に沿って施策を進めるべきである。
(3) 地域医療構想の構成について
事務局から、資料7により説明
- 地域医療構想の構成について、事務局案のとおり承認された。
- 各圏域ごとの必要病床数の推計の考え方について、事務局案のとおり承認された。
主な発言
- 在宅医療の受け皿に関して、特養の待機者が慢性的にある一方で、必ずしも特養への入所が必要でない方も一定数あるのが現実である。それらの実態調査が行われているので早く結果を知りたい。
介護保険施設の整備に当たっては、府と市町村が十分情報を共有した上で計画的に進めていただきたい。
介護人材確保はこれまでも尽力していただいているが、せっかく施設を整備しても、スタッフが集まらないためオープンできないケースも多い。また、先日も京都市内で、府北部職場への就業フェアが行われたが、福祉施設への希望者はほとんどなかった。 医療人材だけでなく、介護人材についても北部への就職に結びつく取り組みを行う旨、計画に記載してほしい。
- 病床の機能分化を地域包括ケアの視点から取り組もうとしていることは、大いに評価したい。
日本医師会が調査したところ、策定済の33都府県中、「病床の削減ではない」と明記しているところが12あった。
報告のあったアンケート調査で、病床利用率が国の示す基準とほぼ同じであること、平均在院日数が高度急性期で適正な水準であること等を見ると、府内医療機関は、病床機能報告において機能区分を適切に選択していることが分かる。今後、高齢化の進 展によって需要が変化していくが、各医療機関が自主的に機能転換していくことが原則だと考えている。
一方、療養病床の医療区分1の患者の70パーセントを在宅に戻すという点では、国の推計と府の実態調査の結果が大きく乖離しているなど、国の示す数値は鵜呑みにはできない。
また、地域医療構想は保健医療計画の一部であることから、数値等が法的拘束力を持つことを危惧している。記載する数値についてはあくまで推計値に過ぎないということをしっかりと明記してほしい。
- 府内には特定機能病院が2病院あるが、平均在院日数の短縮など、一般の病院と同じレベルで7対1の基準を満たすための競争をしている。特定機能病院にはハイレベルの医療を提供する等の本来目的があるはずである。地域医療構想が方向性を示すものというのであれば、特定機能病院の京都府における役割をこの際はっきりさせた方がいいと思うが、どうか。
- 両病院とも、外来患者や入院患者について重篤度の高い方向に向かっていると認識している。地域医療構想への記載については事務局において検討いただけると思う。
- 入院患者実態調査結果のうち、「医療機能の分化・連携推進のために必要な取組み」に対し、「病院間、病棟間における歯科情報の共有」と回答された割合が低いように感じる。歯科口腔管理と全身疾患との関係については、医科の先生方も十分理解していただいていると認識しているが、引き続き転院や転棟の際の歯科医療の継続について配慮願いたい。
- 今後健康作りの取り組みが進んでいけば、将来の必要病床数は減少するはずであるが、国の推計値にはそれらの要因は反映されているのか。
- 地域医療構想は、資料では保健医療計画の一部となっているが、法的な拘束力を持つ保健医療計画とは異なり、数値も含め、あくまで「方向性を示すもの」という位置づけで間違いないか。
数字が固定してしまうことや機能分化を強制されることを危惧している。
- 今後革新的な医療技術の進歩があった場合には、将来の医療需要も変化することから、10年先の必要数を融通が聞かないレベルまで固めてしまうのは考えものである。
一方で、目指す方向性はあってしかるべきなので、今の時点で考え得る10年先の予定という位置づけでよいのではないか。
- 私自身、中核病院の病院長として、また基礎的自治体の首長として、医療に関する地域の要望にどのように応えていくかをずっと考えてきたが、名案がないのが現状である。
将来の医療需要の推計が必要なことは当然であるが、需要と供給を一致させることは困難であり、実現できなかったときに、国、都道府県、市町村村、医療機関の間で責任の押し付け合いになることを危惧している。困ったときは全員が痛み分けをするくらいの覚悟で臨まないと何も解決しないし、そのためには強力なリーダーシップが必要である。
(4) その他
事務局から、資料8により説明
配付資料