第15週、定点当たりのインフルエンザの報告数は全体に低下傾向が続いていますが(14週:6.04、15週:5.56)、都道府県毎にみますと若干増加している県がみられます。
同様に京都府でも全体としては低下傾向にありますが(第14週6.14、第15週:5.85)、保健所管域別にみますと若干増加しているところがあります。
国立感染症研究所のデータでは、現在B型が最も多く報告されています。
全数報告疾患では、破傷風が1件報告されました。破傷風は、破傷風菌が感染部位で産生する毒素(神経毒)により全身痙攣をきたす疾患です。ヒトからヒトへの感染は無く、傷口から入り込んで感染するため、怪我をしたときには充分流水で洗い流し異物が残らないようにすることが大切です。
予防接種で(無毒化した毒素:破傷風トキソイドを用います)毒素に対する抗体を獲得することにより予防可能な疾患で、致命率が20〜50%と高いため、DPTとして定期予防接種の対象となっています(D:ジフテリア、P:百日咳、T:破傷風)。
破傷風が心配される場合には、発症予防のために抗破傷風ヒト免疫グロブリンや破傷風トキソイドを投与します。
破傷風菌は土壌に存在するありふれた菌です。酸素の存在下では増えることができないため、環境中では芽胞とよばれる耐久性の高い構造をとっています。3~21日の潜伏期間(平均7日間)の後、口を開けることが難しくなり(開口障害)、ついで全身の痙攣に移行し全身が弓なりに反ってこわばったようになります。窒息の危険があり呼吸管理が重要であることに加え、自律神経のバランスもくずれ、血圧の急激な変動や頻脈、発汗などが見られます。
治療としては、感染部位の洗浄や壊死した組織の除去、抗菌薬投与に加え、毒素に対する抗体(抗破傷風ヒト免疫グロブリン)をできるだけ早期に投与して、体内の毒素を中和します。
中高年の世代では抗体を持つ方が少ないため、破傷風の患者にはこの年代の方が多くなっています。過去に予防接種をしていても抗体が少なくなり発症を予防することができない場合もあります。10年毎に追加接種をすることで、発症予防が可能なレベルの抗体を維持出来ると言われています。破傷風菌は世界中に存在する菌であり、海外渡航時に接種を検討すべきものの一つです(厚生労働省検疫所 FORTHのホームページも参考にしてください)。
(4月23日更新)
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分類 |
報告 |
1類感染症 |
報告がありません |
2類感染症 |
結核が1件報告されました |
3類感染症 |
報告がありません |
4類感染症 |
報告がありません |
5類感染症 |
クロイツフェルト・ヤコブ病と破傷風が各1件報告されました |
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