第13週、定点当たりのインフルエンザの報告数は全国で前週の14.21から10.15と警報レベルをやや上回る程度にまで減少しています。京都府では、前週12.88から9.85と警報レベルを下回り、また中丹東保健所管内以外では全ての保健所管内で報告数が減少しています。
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスが原因の感染症で、感染力が強く(感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染)、また感染すると90%以上が発症し、脳炎や肺炎といった重篤な合併症による死亡例もある疾患です。1999年には全世界で患者数3000万人、死亡者数が87万人と推定されていました。
麻疹はワクチンによる予防が可能な疾患であり、ワクチンの推進などによる麻疹排除に向けた努力が世界的に行われています。WHO、各国の取り組みの結果、麻疹感染者、麻疹による死亡は減少してきており、日本では2012年度までに国内から麻疹を排除することを目標としています。
麻疹排除の状態とは、輸入例を除き麻疹にかかった患者が1年間に人口100万人あたり1人未満であること、全ての年代で抗体保有率が95%以上であること(そのためには予防接種率が95%以上であることが必要とされています)、輸入例にともなう発生が小規模であること、とされています。
日本においても麻疹報告数は減少してきていましたが、2001年に推定患者数28.6万人の流行があり、さらに2007年には思春期から若年成人を中心とした流行がありました。
これらを受け、1歳児に対する予防接種の取り組みが強化され、さらに2006年からワクチン接種の機会を2回(第1期:6ヶ月から1歳まで、第2期:小学校入学前1年間)とし、2008年からは麻疹診断例を全例報告するようにしてサーベランス体制を強化し、2008年度から2012年度の5年間は定期接種を拡大し3期(中学1年生)、4期(高校3年生)を加えました。
日本の麻疹患者数は近年減少してきていますが、2011年の報告数は442人(人口100万人あたり3.45人)と2010年の報告数447人と同様で、麻疹排除には至っていません。
近年の傾向では患者の報告は首都圏に多くみられ、一方で報告の無い県が14ありました。また検出される麻疹ウイルスのタイプは海外で流行しているタイプのみで、従来日本で検出されていたタイプは2010年を最後に検出されていません。
2010年度、全国の予防接種率は第1期95.7%、第2期で92.2%と、第1期において目標である95%以上となりました。引き続き取り組みを継続することにより、目標値に達していないところではさらなる予防接種率の向上が、目標に達したところでは高い接種率の維持が必要です。
今後の流行を防ぐうえで、予防接種は有効な手段です。第1期、第2期、今年度までとなっている第3期、第4期に該当する方は予防接種を受けるようにしましょう。また海外旅行前には旅行先での麻疹の流行状況を把握し、予防接種など必要な処置を事前に行うようにしましょう(厚生労働省検疫所のホームページが参考になります)。
(4月9日更新)
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