遺族の悩みQ&A
Q1 あの人が自殺するなんて信じられません。今も現実を受け入れられず、何が起こったのか整理ができずにいます。
A1 大切な人が亡くなった事実を、すぐに受け入れられる人などいません。自死の場合は特にそうです。突然の大きな衝撃から心を守るための、当然の防衛ともいえます。
「亡くなったはずの人が今にも帰ってきそうな気がする」「同じような背格好の人を見るとつい目で追ってしまう」などの反応もよくあります。事実を受け入れるのに数ヶ月から数年かかる場合もあります。焦る必要はまったくありません。あなた自身のペースで、じっくり時間をかけて受け止めていけばよいのです。
Q2 毎日、原因探しに明け暮れ、悲しみや後悔、自責感、故人に対する怒りの気持ちなどに押し潰されそうです。
A2 親しい人の自死を体験すると、さまざまな感情が入り乱れます。自死に至った原因を思い巡らし、「あの時こうしていれば」「どうして気付いてやれなかったのか」と繰り返し考えて自分を責める時もあれば、故人に対して「こんな辛い思いをさせて」と憤りを感じる時もあります。また、生前に長期にわたる闘病生活などがあれば、「やっと楽になれた」と安堵の気持ちを感じる場合もあります。
いずれも自然な感情です。「亡くなった人を責めるなんてひどい」「ホッとするなんて不謹慎だ」などと自分を責めないようにしましょう。故人とのつながりの深さによっても、感じ方や心の再生過程は異なります。
Q3 街で家族連れを見ると辛い気持ちになります。また、年中行事や故人の誕生日・命日などは、特に気持ちが沈んでしまいます。
A3 以前は当たり前に通り過ぎていた光景が、すべて故人と結びついて見えてしまうということはよくあることです。たとえば、テレビ番組の登場人物が故人に重なって見えるなど、生活全般において、ちょっとしたことで故人を思い出して涙してしまうかもしれません。
また、特別な行事や命日などに辛い気持ちになることを「記念日反応」といいます。このような反応は、何年経過しても起こることがあり、誰にでも起きる自然な反応です。遺族の集まりなどで気持ちを分かち合い、整理をする中で、たとえ消せない悲しみであっても、抱えながら生きるようになれることでしょう。
Q4 自死のことを誰にも言えずに、ひとりで抱えています。
A4 自死について、家族や親戚、近所の人、学校、職場などにどのように説明するか、多くの体験者が悩み、ひとりで抱えていることが多いようです。「知られたくない」という気持ちや、聞いた人がショックを受けるのではないかという気遣いもあるでしょう。
しかし、誰にも話さずにいると、自分の気持ちのもっていき場がなく、また近所で噂されているのではないかという憶測など、さまざまな感情や不安に襲われてきます。家族や親戚、友人や専門家など、信頼できる人を見つけて話してみることをお勧めします。