ここから本文です。
分権時代における地方自治の推進のため、市町村合併などによる行財政基盤の充実が必要であることは、これまで述べてきたとおりですが、市町村の様々な課題は、合併等の推進によってすべて解決できるものではなく、また、市町村合併が選択される場合においても、その効果を最大限に引き出すための環境整備や、合併後も見据えた地方自治の推進方策が重要であると考えます。
このような視点から、「市町村行財政研究調査報告書」で述べられているように、
が大きな課題であると考えます。
これらに関しては、今後とも、研究調査を進めるとともに、国における制度の創設・改善を要望していきたいと考えていますが、市町村や議会、住民の方々においても、それぞれの地域の発展・振興を目指した取組みの中で、合併等の議論と併せて、幅広い議論が行われることを期待します。
真の分権型社会の実現のためには、地方公共団体が地域住民の参画を得て総合的に施策の選択を行い、個性豊かで活力に満ちた地域社会づくりに責任を持って取り組めるようにすることが必要です。
そのためには、市町村合併などによる行財政基盤の充実が重要であることはもちろんですが、それだけで市町村の様々な課題がすべて解決できるものではありません。また、市町村合併が選択される場合においても、その効果を最大限に引き出すための環境整備とともに、地方税財源の充実をはじめとする地方行財政制度の見直しや、住民自治を充実させるための仕組みづくりなど、地方自治のさらなる推進方策の検討が非常に重要であると考えます。これに関して「市町村行財政研究調査報告書」では、次のように述べています。
国から地方に税源移譲するなど、税収の安定性を備えた地方税体系を構築し、早急に地方税の充実を図ることが求められます。
全ての地方公共団体が一定の水準を維持できる財政調整機能(地方交付税制度)は今後とも必要と考えられますが、税財源移譲の議論と併せて、そのあり方について検討を深めていくことが求められます。
国庫補助負担金については、地方分権の流れを踏まえて、国と地方公共団体の役割分担の見直しに併せて真に必要なものに限定していくなどの整理合理化を図り、地方の自主性が一層発揮できるようにしていくための環境整備が求められます。
府内市町村においては、全体を通して見ると、財政の硬直化の解消や財政構造の健全性の確保が課題となっています。
府内市町村においては、自主的・主体的な財政構造の改善に向けた取組みや、簡素で効率的な行政システムの確立に向けた取組み、分権時代を担うにふさわしい人材の育成や職員の意識改革にも取り組んでいるところです。
特に合併市町村においては、次のような点について検討を進める必要があります。
合併市町村の財政状況が厳しい場合には、合併特例債を活用することに伴う将来の公債費負担が軽視できないことも想定されるため、今後の具体的な合併事例に応じて、実態に即した支援の拡充が期待されます。
・合併を選択する場合には、公債費の抑制や土地開発公社問題に対する支援措置を含んだ国の合併支援策を活用して長期保有土地の解消を進めることが期待されます。
広域的な行政課題や多様な住民ニーズに的確に対応していくためには、市町村、住民、さらには地域の公的な機関が相互に交流・連携するとともに、情報化の進展によってもたらされる新たな行政サービスの提供方策を検討していく必要があります。
高度情報基盤の整備によって、合併により市町村が広域化した場合でも、行政サービスを維持し、さらには充実することが期待されます。
地方分権が一層進展する中で、自主的な地域づくりを進めるため、地域の人々の参加を促す条件を整備し、様々な主体が協働して取り組む地域づくりを推進することが重要です。
市町村等の地方公共団体だけでなく、郵便局や農協など地域の公的・公共的機関等も含めて住民サービスの提供方策を検討し、最も効果的かつ効率的に提供できる主体がこれを担うとの視点が重要と考えられ、今後、こうした視点の実現のための環境整備が求められます。
分権型社会においては、住民が地域づくりに主体的に参加し、積極的役割を担うことが重要であり、これを通じて、住民が誇りや愛着を持って暮らせるような個性ある地域を築いていくことが望まれます。
個性ある地域づくりのためには、旧市町村単位や、個々の自治会区域等コミュニティ・レベルにおいて、地域の歴史文化や伝統的行催事の保全継承などに対する支援を行うことが求められます。
特に、日常生活圏の拡大や市町村の広域化によって、地域に対する愛着や誇り(アイデンティティ)が失われ、地域文化が喪失することへの懸念が強いことから、地域文化を継承・創造する個性ある地域づくりに向けて、財政支援や情報発信支援に配慮しながら検討を深めていく必要があります。
日常生活圏の拡大や市町村の広域化によって、行政と住民との距離が遠くなることが懸念されることから、住民の意思が的確に反映されるとともに、住民に身近な課題は身近な地域において解決することができるような制度やしくみを、次のような点に配慮しながら検討していくことが求められます。
地方自治のさらなる推進に向けたこれらの課題に関しては、「市町村行財政研究調査報告書」でも引き続き検討すべきものとされているところです。
このため、京都府、京都府市長会及び京都府町村会では、今後とも研究調査を行い、国に対して制度の創設や改善を要望していきたいと考えていますが、市町村や議会、住民の方々においても、それぞれの地域の発展と振興を目指す様々な取組みの中で、合併等の議論と併せて、地方自治の充実に関する活発な議論が進められることを期待します。
お問い合わせ