令和2年度京都府知事と京都市長の懇談会の概要
京都府では、府内の市町村との協調・連携を府政の基本姿勢に据え、さまざまな施策に取り組んでいますが、京都府の人口57%を占める京都市との緊密な連携は、府政の推進上極めて重要であり、昭和53年以降、知事と京都市長との懇談会を開催して府市協調に取り組んでいます。
令和2年度は、8月26日に京都市役所分庁舎にて懇談会を開催し、西脇知事と門川京都市長が、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止(医療・保健・福祉)」、「京都経済の回復と府民・市民生活の下支え」、「ウィズコロナ時代の持続可能な京都のまちづくり」の3つを大きなテーマとして、各分野の個別項目について懇談しました。
令和2年度京都府知事と京都市長との懇談会の概要
令和2年8月26日に開催した京都府知事と京都市長との懇談会の概要は以下のとおりです。
冒頭発言概要
【京都府知事】
- コロナ禍の状況において、昨年12月に府市共同で開設した環境研究所が検査機能の強化等に非常に貢献しており、更に効果を発揮していきたい。
- しっかりとした府市連携の下、経済界を含めた関係団体とのオール京都体制が築けているからこそ、文化庁の京都移転などが実現しているところ。今後も府市が核となりオール京都体制を推進していきたい。
- 少子高齢化・人口減少社会等を乗り切るためには、対策を中長期的に考える必要がある。京都府域の強みを京都市域の発展に、京都市域の発展を府域全体の発展に繋げていく府市協調を目指していきたい。
【京都市長】
- 新型コロナの影響等により、市営地下鉄の経営が厳しくなっており、市民・府民の足を守っていくことが必要。
- 京都経済センター、スタートアップ、救急安心センターなど、着実に府市協調の成果が出ており、今後さらに、府市協調を新たなステージへと進化させ、京都全域の発展に繋げていきたい。
1.新型コロナウイルス感染症の拡大防止(医療・保健・福祉)
- 府民・市民の命と健康を守るため、医療体制の充実に取り組む。
病床数や宿泊療養施設の更なる確保を図るとともに、唾液検査やPCR検査機器の充実など、検査体制の一層の拡充に向けて、医師会等との連携の下、検討していく。
- 保健所機能の強化では、感染拡大防止に係る実践的な対応力の向上に向け、保健所職員の合同研修の実施等、積極的疫学調査の担い手育成の強化を図る。
- 知事から、京都市の保健師の負担軽減に繋がる一つの案として、府市の帰国者・接触者相談センターについて、共同化の検討を提案。今後、現場の実態を踏まえて効果を検証し、判断。
【感染状況の的確な把握、高齢者等の感染防止対策強化】
- クラスター発生時においては、府市でクラスター検証会議を開催し、感染状況の要因・傾向等の検証や、更なる情報の共有を図る。また、府民・市民へ正確な情報発信を行い、感染予防、感染拡大防止を徹底していく。
- 重症化リスクのある高齢者等への感染防止対策を強化する。
例えば、高齢者が入所する社会福祉施設等において、職員相互応援派遣の仕組みを構築し、事業者との連携の下、運用していく。さらに、社会福祉施設等におけるWEB研修や感染症対策マニュアルの整備等を推進していく。
- 飲食店の安全利用に向け、ガイドライン遵守店舗の利用や、接触確認アプリの活用など、「きょうと5ルール」の徹底を府民・市民へお願いするとともに、ガイドライン遵守事業所の証であるステッカーの普及拡大を府・市・関係団体一丸で推進していく。
- 大学生の安心安全に向け、学生や教職員の方々が安心してキャンパスライフを送れるよう、実習等を対象としたPCR検査の実施など、大学等と連携した取組を検討していく。
2.京都経済の回復と府民・市民生活の下支え
- 9月補正予算では、必要な予算を更に確保するなど、中小企業等の下支え・発展に繋がる取組を進めていく。
- 中小企業等の新たな挑戦を後押しする制度の創設や実質無利子・無担保の融資限度額の引上げについて、実態をしっかりと見据えた上で、必要に応じて、国へ要望していく。
- 知事から、京都市が実施している、新型コロナの影響により離職された方等の再就職を支援する取組を、府市協調により府域全域に広げ、期間を延長する方向で検討することを提案。引き続き、府市で協議を進めていくことで合意。
- 今後、雇用情勢が厳しくなることも想定し、雇用創出基金事業による需要の創出など、雇用に焦点を当てた制度の創設を国へ要望していく。
- 新型コロナの影響を受けた生産者から流通・販売までの幅広い事業者等を下支えするため、府市で「食の京都」推進本部を設置。同本部を中心に、京都経済の活性化と好循環を図る取組を推進していく。
- 市長から、中央市場を中心とした「食」の総合的な取組の更なる活性化に向けた支援を要請。知事からは、府実施の「食の京都TABLE」とのネットワーク構築等によって、同時に中央市場も機能強化がされると提案。
3.ウィズコロナ時代の持続可能な京都のまちづくり
- 世界をリードするスタートアップの創出に向け、スタートアップ・エコシステム拠点都市選定後、初めてのオール京都での推進協議会を早期に開催するとともに、小学校・図書館跡地、歴史的建造物を活用したインキュベーション施設や、関西文化学術研究都市等に立地する国内外の機関とのネットワークなど、京都の強みを活かした取組を推進していく。
- 2050年温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた削減目標を条例に明記し、大規模事業者や、大規模・中規模建築物への取組等を強化していく。さらに、中小事業者が排出削減に取り組む仕組みづくりについても、府市協調で検討していく。
- 地域気候変動適応センターについては、令和3年度中の設置に向けて調整を進めていく。
- 広域災害を想定した災害対応力の強化に向け、多機関連携型タイムラインや、BCP(事業継続計画)の策定支援、危機管理センターのテレビ会議システム等を活用した府と京都市及びその他の市町村との連携強化などの取組を推進。
- 京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想について、市長から、京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想の理念と、京都府と共に取組を進めていきたい旨を発言。知事からは、今後の京都市での検討状況に応じ対応を検討したい旨を発言。