中丹広域振興局
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男性の育児休業取得率は少しずつ上がっているとはいえ、まだまだ低迷気味。取得したくても、従業員側からは言いにくいと感じる人も少なくありません。そのなかで、男性の育休取得を実現したのが、舞鶴市上安久にある昭電工業株式会社です。
家庭のために休暇を申請しやすいだけでなく、ほかの従業員も子育て世代に理解があり、協力を快く得られる環境。それは、経営者からの強い働きかけと、会社全体のコミュニケーション意識によって生まれました。
また、育休の取得は、家庭だけでなく従業員同士の関わり方や働き方にもよい影響をもたらしたそうです。いったい、どのような効果があったのでしょうか?
今回は、昭電工業株式会社 設計部 係長 森津尚子さんと、工事部 係長 大江克侑さんにお話をうかがいました。
設計部 森津係長(左)と工事部 大江係長(右)
昭電工業株式会社は京都府北部を中心に、電気・空調工事や消防設備などを幅広く行っている電気設備会社です。直近では中舞鶴の中総合会館の全館LED化工事や、災害時の停電対策工事を担当しています。
現場にて電気設備を確認
施設側の営業時間に配慮しながら電気工事を工期内に終わらせるためには、材料手配や調整にいたるまでチーム全体の協力が不可欠。だからこそ、日頃から社内のコミュニケーションを重視しています。
チームワークを大切にしており、課題に対してみんなで意見を出しあうことができる風土が強みと語るのは、森津係長です。
「社内では休暇を取りやすい雰囲気づくりや、業務の共有化で安心して育児休業が取れる環境づくりを進めています。また全社員がスマホのアプリですぐに連絡が取れる体制をとっているので、子どもの急病などで早退や休みが必要になった場合でも、社内ですぐにフォローできます」
子育て中の従業員を周囲がサポートする体制があるのは、同じく子育てを経験した代表取締役 目見田園子さんの理解と働きかけがあったからだといいます。中小企業ゆえに、経営者と従業員のコミュニケーションがしっかり取れているため、従業員もその考えを自然に受け入れられたのでしょう。
「社長は女性で子育ての経験もあるので、子育て世代の働き方にすごく理解があります。時間単位の有給休暇制度もあり、何かあったら帰ってあげてという方針なので休みを取りやすいです」
昭電工業株式会社では、男性育休制度や産前産後の休暇制度、介護の休暇制度、扶養手当も充実しており、資格取得も全力でサポートしているそうです。
昭電工業株式会社で実際に男性育休を取得した大江係長にもお話をうかがいました。
工事部係長として勤務する大江さんは勤続10年。3人目のお子さんが生まれたときに、社長から育休取得を勧められたとのことでした。
「社長は普段から社内全体を見ていて、みんなのことを考えてくれています。休みも比較的取りやすくありがたいと思っています」
当時は一般企業での男性の育休取得数が少なく、社長から勧められたときも「そういう制度があったんだな、という印象」だったそうです。
「育休を取得して一番に感じたのは、家事や育児をひとりで背負っていた妻の大変さです。自分は結婚するまでずっと実家暮らしで甘えていたので、育休中に初めて掃除・洗濯・料理を全般的にやって、家事・育児は大変なんだなとわかるいい機会になりました。」
産後は母親にとって負担の大きい時期。赤ちゃんのお世話だけでなく、上のお子さんたちの世話をしながらの家事はとても大変です。その大変な時期をふたりで乗り越える経験があったからこそ、夫婦の関係もよくなったと語ります。
育休を当たり前に取得できる環境になり、社内の雰囲気にもよい変化が起こりました。森津係長は「社内の雰囲気があたたかくなった」と評価しています。
「育休を取った人がいるというだけで、『あの育休取ったときのお子さん、何歳になったの』と会話のきっかけになります。ただ仕事するだけでなく、相手を思いやるあたたかい関係性になって、そこから仕事にも話がつながったり、また育休を取得する立場になった後輩から『どうでしたか』と頼りにされたりと、話が膨らんでいきます」
仕事だけでなく互いの家庭を知ることで、自然に助けあえる雰囲気に。大江係長のような育休経験者が増えることで、ただ育休制度があるだけでなく、誰もが制度を利用できるように協力しようという意識が浸透してきたそうです。
「休んでも大丈夫という、育休を取りやすい雰囲気をつくっていくことが大事です。それを浸透させていったら育休を取りやすいし、従業員からも言いだしやすいと思いました。育休は大事だと思うのでみんなに取っていただきたいです」
育休取得は周りのサポートがあったからこそと、大江係長は熱く語ります。
男女とも当たり前に育休を取得できる昭電工業株式会社。その環境の根底には「コミュニケーションが取れていないと男性育休制度は成り立たない」という目見田社長の強い意志があります。
総勢13名の比較的小規模な企業だからこその距離感で、従業員と社長、従業員同士のコミュニケーションが育まれ、大江係長の男性育休取得が実現しました。
また、森津係長は、男性の育休取得は良好な家族関係にも貢献すると考えています。
「男性が育休を取得することで、そのご家族が仕事に対してより理解を示してくださるようになり、たとえ残業が続く時期があっても働きやすくなると思います」
社内のコミュニケーションが育休取得を促進し、育休がきっかけで家庭や職場で新しいコミュニケーションが生まれるという好循環が生まれています。
ただ仕事をする場でなく、従業員が互いの家族のことも考えて助けあえる会社へ。その最先端にいるのが、昭電工業株式会社です。
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