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今回は、4年目を迎えた「学生×地域つながる未来プロジェクト」のこれまでの取組を振り返り、今後に活かすとともに、本プロジェクトを通して感じた良さや課題点など、参加者だから言える本音を聞きたいという思いから、次のお二人にインタビューをさせていただきました。
「NPO法人 丹波漆(外部リンク)」は、漆掻き職人の後継者育成や、漆の文化価値の発信を行っている団体で、令和2年度から継続して本プロジェクトに参加いただいています。
森下さんは、学生×地域つながる未来プロジェクト内の「NPO法人 丹波漆」チームで参加学生のリーダーを務めている学生さんです。
メンバ-が比較的高齢ということもあり、若い人の考え方に触れてみたいという思いがあったことですね。
それともちろん、後継者になる人材への期待もありました。最初に受け入れたときは、新型コロナウイルスの影響もあって対面での活動が難しかったので、SNSでの情報発信や、それを活用したPR方法を学生と一緒に学びたい思いもありました。
実際に若い人たちと関わって、エネルギーをもらえたことですね。彼らと活動していく中で、新しい考え方を持てるようにもなって良かったです。
令和3年度のプロジェクトで作成した「丹波漆を考えるアイデアブック(PDF:3,525KB)」は、学生の目線で作られていましたし、現場での問題を深掘りするときには、大学で得た知識やテクニックを活用されたり、学生だからこそできたことはたくさんあったと思います。
学生の受け入れ体制を整えようと考えるようになりましたね。今までは漆の世話が大変で、受け入れるところまで手が回らなかったのですが、このプロジェクトに参加したことで、学生を受け入れてみるという発想が浮かびました。このプロジェクトがなかったら学生の受け入れはしていなかったと思います。
参加してくれた学生の一人(今回インタビューした森下さん)が連絡を取り続けてくれて、積極的に働きかけてくれたからですね。正直その人のおかげというのが大きかったです。
できるだけ、現地に来ていただき、活動に参加してもらうことですね。
オンラインでも、話す機会を多くとれば良いかもしれませが、やはりそれだけでは伝わらない部分(活動の魅力や様子など)も多いと思います。
相談しやすい体制を作ってほしいですね。情報提供をしっかりしていただいて、不安なことが解消できればいいと思います。
ほかには我々と学生の間に立って、橋渡しをしてほしいです。私たちも学生もお互いにコミュニケーションが難しいことがあるので、そういうときに行政に助けてもらいたいです。
求めることではないかもしれませんが、学生との連絡の際に使用するツールや返信のマナーなどについてルールを作れると、より良くなるのではないでしょうか。
学生を受け入れることで、彼らからエネルギーをもらえるということですね。学生さんの考え方に触れることで、私たち自身新しい考え方や目線を持つことができました。たくさん良い刺激がもらえると思いますよ。
学生さんたちも、京都府だけではなく、他府県の大学生と出会うことができますし、普段ではないような出会いがあるかもしれません。学生の積極的な姿を見て刺激を受けたと言っていた参加者もいましたね。
たまたまプロジェクトのことを知って応募しました。
コロナ禍ということもあり、SNSでの情報発信という内容が面白そうだなと思いましたね。
NPO法人丹波漆チームに参加を決めたのは、偶然知って興味を持ったからです。
バックグラウンドの違う学生たちとどうやって活動をしていくか、それを考えることが難しかったです。
ただ、いろんな人たちと関われることは楽しさもありましたし、色々なアイデアが生まれたのもよかったです。
活動1年目(令和2年度)に行ったSNSでの情報発信はそうだと思います。
学生はSNSでの情報発信ができるというイメージがありますが、実際様々なことを発信できました。
活動2年目(令和3年度)のプロジェクトの活動として作成した、「丹波漆を考えるアイデアブック(PDF:3,525KB)」は、参加者で意見を出し合って内容を決めていきました。
どのような内容であれば、丹波漆のことや課題について知ってもらえるか考え、みんなのアイデアを活かして作成できました。
まず漆について知ることができたことですね。プロジェクトに参加する前は、本当に知識もない状態だったのですが、活動していくうちに様々な知識がつきました。
ほかには、どうすれば丹波漆を残せるのか、どうすれば多くの人に課題を知ってもらえるのか考えるようになりました。
先ほどの通り、漆について詳しくなったというのがあります。漆そのものについてももちろんそうなのですが、NPO法人丹波漆の課題や伝統産業の課題についても知るようになりました。
知るだけで終わりではなく、「漆掻き」を残す意義やそもそも伝統とはということまで考えるようになりましたね。
ほかにも、企画者としての成長もありました。2年目(令和3年度)からは参加学生のリーダーとして、活動内容を決めるのにも参加しましたが、多様な参加者をどうまとめていくか、よりよい活動にするのはどうすればよいか、1年目(令和2年度)の経験も踏まえて工夫することができました。
担い手としての気持ちの変化というのもありましたが、私の活動を評価していただき、まとめ役として参加してくれないかというお誘いもあったので、やってみようと考えました。
1年目(令和2年度)のプロジェクト参加時に、提案していたけどコロナ禍で実現しなかった活動もあって、それをしたかったというのもありますね。
あとは、実際に現地で活動してみたかったです。(令和2年度は新型コロナウイルスの影響で対面での活動が叶わなかった。)
本当にその通りだと思います。私がフィールドワーク好きだというのもありますが、やはり現地で実際に見たり聞いたり体験することの意味は大きいと思います。
ほかの参加者も、対面の活動のときすごく楽しんでいる様子でした。
このプロジェクトを、地域活動の入門編として学生に伝えることが大切だと思います。自分には難しいと考えている学生に、初めてでも参加できることをより積極的に発信できればよいのではないでしょうか。
丁寧にやりとりもしていただいていますし、現地に行くこともできているので、協働の形はできてきていると思います。
協働に対しては、例え細くとも継続していくことができる仕組みが大事だと思うので、長期的なサポートシステムを作ることが今後必要になるのではないでしょうか。
あとは、学生と団体との関係構築をよりやりやすくできれば良いと思います。年月を重ねることで徐々に良好な関係性が築けていきましたが、もう少し早い段階で関係性が構築できていたら良かったと感じています。プライベートの話など、ぶっちゃけて話す機会があってもいいかもしれないですね。
学生の方も団体の方も、はじめの一歩としてこのプロジェクトに参加してみるといいのではないでしょうか。京都府のサポートも手厚いので、不安なところは相談して手助けしてもらえます。
また、活動の知識を得られるだけでなく、様々なバックグラウンドを持った人たちと関われるので、今までになかった視点や考え方を得られると思います。
私自身、偶然参加したところから、漆に関する知識がつきましたし、さらには一つの課題に対して、複数の観点から考える重要性に気づくことができました。学生にとっても団体にとっても、大変良い経験ができると思いますよ。
インタビューを通して、「学生×地域つながる未来プロジェクト」の果たす役割や課題点など、様々なことを確認することができました。
また、地域活動に関して学生と団体の双方のニーズを一定満たすものとして、このプロジェクトは役割を果たしていることが分かりました。
一方で、課題となる部分についても浮き彫りになりました。
さらに、今回のインタビューを通して、本プロジェクトについて、学生と団体が共通して、「様々な人たちと関わることができ、刺激や学びのある良い機会だ。」と感じていることが分かりました。
京都府だけでなく、ほかの都道府県からも参加できることがプラスに働いていたといえます。
その反面、移動にかかる時間や交通費について課題があることが分かりました。交通費のサポートはあるものの、京都府からの補助回数には制限があったり、活動の場所と開始時間によってはどうしても参加できなかったり、簡単にはいかない問題があります。
また、互いにコミュニケーションが難しかったと感じており、うまく意思疎通ができていなかったという意見もありました。
行政が求められるのは、もちろん資金面でのサポートもありますが、まずは学生と団体の良好な関係性作りのサポートです。
必要に応じて行政が彼らの間に入り、様子を見て手を引くことが、彼らの自立、また継続的な協働を実現できるのではないでしょうか。
京都府立大学3回生 宮本稜介
(令和4年9月6日~9月27日の間、京都府政策企画部地域政策室のインターンシップに参加)
インターンシップの機会を活かし、行政と学生の二つの立場から今回のインタビューを行いました。
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