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知の京都- 藤田雅さん(ロート製薬株式会社)

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文化と科学と人を繋ぐ“The学研人”

(2024年8月26日、文化学術研究都市推進課 足利・髙野)

藤田さんと木津川市の眺め

藤田雅さん(ロート製薬株式会社(外部リンク))にお話をお聞きしました。

茶道

--素敵な眺めですねえ!

藤田さん)はい。木津川市を一望できますし、遠くの方には、住まいのある精華町も見えます。

--おお。今日はお時間いただきありがとうございます。まずは、ロート製薬様の中で、どういった研究をされているかをお聞かせいただこうかと・・・??

藤田さん)(シャカシャカシャカシャカシャカ)

お茶をいれる藤田さん

--おっ、お茶ですか?!少し平たい茶碗ですね。

藤田さん)これは、夏用の茶碗でして・・・(シャカシャカシャカ)・・・どうぞ!

抹茶

--ありがとうございます。どうやって飲むのでしたっけ?

藤田さん)少し横に回して飲んでいただければ。

--おいしいです!ああー、なんかほっこりしますねえ!

藤田さん)良かったです。私も、子どもの時に法事で行ったお寺でお茶をいただいて、親子で「どうやって飲むの?」ってなったことがあるんです。なぜ、横に回して飲むかと言いますと、茶碗の正面を向けて出されます。飲み干した後に、茶碗の柄を楽しむわけですが、正面の柄に飲み跡をつけないようにするためなんです。

茶器を語る

--なるほど!

藤田さん)私が京都生まれの京都育ちで名前が雅なので京都らしいことを身に付けたいと思い、高校生から茶道を習い始めました。お茶は書道や華道の要素もあって奥が深く、日本の歴史に密接に関係していて素敵な文化がいっぱい詰まっているので、何とかその魅力をたくさんの人に知って欲しいと思う様になり、今日もお茶を一服差し上げました。

--そうなのですね。

藤田さん)講師の資格も取りまして、「せいか自然観察倶楽部」をはじめ様々な地域コミュニティを通じて、子どもたちや地域の方向けの茶道体験教室も開催しています。

--いいですね!

藤田さん)会社でも、サークル活動を通じた社員の交流を推進しているので、入社した年にお茶のサークルを立ち上げました。出産・育児で中断しましたが、子育てが一段落したので昨年よりこの京都の研究所で改めて茶道サークルを作り、2週間に1回活動しています。研究で張りつめている気持ちも、お茶を飲むと、ほっとしますね。

医食同源

--さて、その会社についてですが、私なんかは、ロート製薬さんといえば、昭和の時代の某クイズ番組のCMと音楽が、今でも印象に残っています。

藤田さん)当時のCMですからCGもなく、あの飛び立っていった鳩は、CMのために会社でしばらく飼育していたそうです。

--そうなんですか!ロート製薬ではどういったお仕事をなさってきたのですか?

藤田さん)当社は今年2月に125周年を迎えました。1899年創業で、胃腸薬の発売に始まり、1909年に社名の由来ともなった「ロート目薬」の発売を開始し、1975年にメンソレータムブランドを取得し、スキンケアに領域を広げ、今はさらに再生医療や食に関する事業にも取り組んでいます。そんな中で、私は、入社以来、長年分析業務を行ってきました。

--そうなのですね。

藤田さん)例えば目薬に効果のあるAという成分が入っているとしますと、医薬品は、化粧品と違って、製造3年後もそのAという成分が90%以上残っていないといけないのです。その分析方法を考えて、3年後も成分が安定である事を厚労省に示すことで、製品化が実現していくわけです。

--なるほど。

藤田さん)現在は、妊娠検査薬やコロナ検査薬の開発をしています。

検査薬等

--お仕事のやりがい、ご苦労についてはどうでしょうか?とても前向きな方なので、ご苦労をご苦労と思っておられないかもしれませんが。

藤田さん)やりがいは、自分が研究開発した商品が、店頭に並ぶということですね。一時コロナ検査薬の需要が高まった時に検査薬開発部門に移ったので、世の人のためになるものを作っているのが誇らしく、仕事に対する意欲が増しました。

--素晴らしいことですね。

藤田さん)苦労については、そうですねえ、検査薬部門に異動になった時は、分析部門と全然違うのでやっていけるかなあと思ったことですかねえ。でも「私なら、一般の人にもわかりやすく話せる」と思ったんです。

--??

藤田さん)実は当社は、妊娠検査薬を日本で初めて一般用医薬品(OTC)として発売した会社なんです。

--そうなんですね。

藤田さん)近年は少子化が問題となっており、妊活は女性がするものと思われがちですが、WHOによると不妊の原因の50%は男性にあるとされており、夫婦ふたりで妊活することが大事だという考えから、自宅で精子の状態を高精度にチェックできるキットも販売しているんです。

--そうなんですね。知らなかった。

藤田さん)検査薬は一般の方には馴染みのない分野かもしれませんが、知識があって損はないと思うので、検査薬の事を広く知って頂けるように地域のイベントでミニ講座を開いたり学生さんとコラボして検査薬の展示をするなど、私なりの取り組みをしています。

--ほら、やっぱり、苦労を苦労と思わない、むしろ、やりがいに変えるタイプだ!(笑) 研究者、理系を志されたのは、どういう経緯で?

藤田さん)中学入学時に、吹奏楽部に入りたかったのですが、強豪校で、なかなか希望の楽器が当たらないよと聞いて躊躇していたところ、転勤してこられたばかりの先生で「理科部を作る!」という方がいて、理科部に入部しました。新しい部なので上級性もおらず、1年生から部長を務めました。実験が楽しかったですね。そのまま、高校、大学と理系に進んだのです。

--おお!ところで、お名刺の裏に「私の心を動かすキーワード」として、「茶道」の次に「医食同源」とありますが?

藤田さん)当社は「薬に頼らない製薬会社になりたい」という考えがあり、私もそれに深く共感しています。未病対策、健康のためには日々の食生活が大事だと思うのです。

会社外観

ロートサイエンスキッズ

--なるほど。

藤田さん)令和に変わるころ講習を受け、精華町食生活改善推進員となり、親子クッキングなどの講師もさせていただいています。

--ほんとに幅広くご活躍ですね。「私の心を動かすキーワード」の最後「ロートサイエンスキッズ」とは?

藤田さん)社内プロジェクトで、子どもたちの自由研究のヒントになる実験動画を紹介しています。子どもの頃、市染織試験場でアカネ染め体験をしたのですが、薬(金属の媒染)を使うと色が変わり、化学って面白いなあって思っていたんです。科学センターにもよく行き、プラネタリウムも好きで、そのナレーションを完コピしてました(笑)。そういう自分の経験からも、子どもたちが科学を楽しめる機会がほしいということで。けいはんな科学体験フェスティバルや木津川アートでリアル実験教室もしましたよ。

--茶道など文化も精通し、科学もできて、地域の老若男女とも交わる、まさに文化学術研究都市にうってつけの人物でらっしゃいますね!

三人で

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商工労働観光部文化学術研究都市推進課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

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