山城広域振興局
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防災への取り組み
京都府では、府民の安心・安全な暮らしを守るため、多くの公共事業を計画的に実施していますが、特に山地に起因する災害の未然防止と災害に強い山づくりを目指して、治山事業の積極的な導入、実施に取り組んでいます。しかし、災害は忘れた頃にやって来る、ともいいます。常日頃から、防災について或いは災害発生時の対応方法について、一人一人がしっかりと認識し、関心を持つことがとても重要です。
このコーナーでは、過去に山城地域で起こった大災害を紹介していきます。
昭和61年7月21日から22日にかけて、梅雨前線による局地的集中豪雨が、京都府南部から大阪府北部地域を襲い、 各地で甚大な被害が発生しました。
この豪雨は、太平洋高気圧の勢いが弱く、やや西寄りに移動したため、日本海北部まで北上していた梅雨前線が、オホーツク高気圧によって押し戻されるように南下しながら再び活発化する、いわゆる戻り梅雨によって引き起こされたもので、近畿地方は19日に梅雨明けが宣言されていました。(天気図参照)
京都府南部全域が激しい降雨にさらされ、相楽郡笠置町では、降り始めから6時間で246.5mm、2日間総雨量372mm、最大時間雨量58mmを記録しました。(降雨量一覧表参照)
京都府南部のいたる所で、山腹崩壊や土砂流出等の土砂災害や浸水被害が発生し、特に笠置町では、道路の通行止めや電話不通により孤立状態に陥ったため、町内全域に避難命令が発令されました。また、和束町でも、木屋地区内の全渓流で土石流が発生するなどしたため、木屋地区に対して避難命令が発令されました。
交通網では、相楽郡の幹線道路である国道163号線が数カ所の土砂崩れにより通行止めになり、国鉄(現JR)関西本線も土砂流出や冠水による線路の埋没、路床流出等によって不通になるなど、多大な損害を被り、相楽郡内の通行に大きな支障が生じました。
森林地域においても多大な被害が発生し、林地被害と林道被害合わせて440箇所、被害総額は約64億円に上りましたが、中でも相楽郡の笠置町、和束町、加茂町、南山城村が集中的に被災しました。(被害状況表、土石流発生区域図、災害写真参照)
この森林被害の大きな要因は、相楽郡が風化の進んだ花崗岩や変成岩を主体とする地質であることや、急峻な地形に短時間に豪雨が集中したためですが、一人の犠牲者も出なかったのは正に不幸中の幸いで、昭和28年災害の教訓が活きたからではないでしょうか。
なお、この災害が発生した直後から、京都府を始め、各市町村や国鉄(後JR)が連携しながら全力で復旧作業に取り組み、平成元年度までに総事業費約38億円をかけてほぼ復旧完了しました。(写真参照)
山腹崩壊状況(復旧工事中) |
山腹崩壊復旧後(17年経過) |
山腹崩壊状況 (相楽郡笠置町) |
山腹崩壊復旧後状況 (相楽郡笠置町) |
復旧後の状況(相楽郡和束町木屋地区)
(参考) 本文中に使用した各図表は、京都府砂防協会編「京都府砂防協会60年のあゆみ」(平成12年3月発行) より抜粋したものです。
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