山城南地域医療構想調整会議(山城南地域保健医療協議会)の概要(令和元年5月9日開催)
開催日時
令和元年5月9日(木曜日)午後1時30分~3時40分
開催場所
出席委員
審議の概要
地域医療構想調整会議設置要綱第4条に基づく議長選出で、満場一致で三沢委員が議長に選出された。
1.病床機能報告について
(1)事務局から、平成28年度、29年度病床機能報告について説明(資料1)
- 山城南医療圏域5市町村の病床数は、京都山城総合医療センター311床、学研都市病院300床、精華町国民健康保険病院50床、合計661床。学研都市病院の急性期150床のうち、43床が非稼働。
- 入院患者の状況(年間)から、平均在院日数、病床利用率を計算したところ、平成28年7月から平成29年6月までの1年間で、京都山城総合医療センター 一般病床では平均在院日数11.1日、病床利用率74.5%。学研都市病院 一般病床では平均在院日数28.0日、病床利用率56.5%。精華国民健康保険病院 一般病床では平均在院日数99.8日、病床利用率96.2%となっている。
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(2)京都府医療審議会病床機能区分検討ワーキングについて、医療課から説明(参考4)
- 地域包括ケアを進める上で、各病院による在宅支援体制も重要となる。
- 地域医療構成調整会議では、この病床の役割をどうしていくかを議論していくことが非常に重要となっている。
- 病床機能報告では、病棟ごとの報告となっている。実際の病棟には様々な病期の患者が入院されており、各病棟の患者構成により各病院が自主的に判断し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期を報告することとされている。このため、急性期と報告された中にも回復期の方が入っているなど定量的に判断することができない。
- 京都方式(案)として、京都・乙訓と京都・乙訓以外、5病棟以上の病院と4病棟以下の病院に4区分に分析したものを示している。あくまでメルクマールではある。今後、地域医療構想調整会議での活用をお願いしたい。なお、京都方式(案)と診療報酬はリンクしないものである。
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2.山城南医療圏における課題について
(1)山城南医療圏における課題について、三沢委員から説明(資料2)
- 山城南医療圏の人口10万人あたり医師数、病床数、看護師数、理学療法士数は、いずれも京都府内2次医療圏で最も少ないが、受療率等で調整した医師偏在指標(暫定値)では、国の定義した医師少数区域に該当しない状況となっている。
- 山城南医療圏においては、2025年の医療需要推計に基づき、新たに50病床整備し、不足する回復期・慢性期機能を充実させる方向性となっている。
- 平成30年の救急搬送件数は相楽中部消防3,572件、精華町消防1,376件、合計4,948件であり、救急搬送先医療機関(所在地)は京都山城総合医療センターが50%、その他山城南圏域11%と、6割が圏域内搬送であった(他は山城北圏域23%、奈良県14%、京都市2%)。
- 医療需要予測では、2015年実績を100とした場合、全国では2025年、最大7%増で頭打ちとなり、その後、低下する予測である一方、山城南圏域の増加率は大きく最大17%増で、その後も低下せずに2045年まで維持される予測である。
- 介護需要予測でも、2015年実績を100とした場合、全国平均では2030年、3割増で頭打ちとなり、その後、横ばいとなる予測である一方、山城南圏域の増加率は大きく最大6割増で、そのまま低下せずに2045年まで維持される予測である。
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(2)山城南圏域の健康課題を事務局から説明(資料3)
- 京都府算定の「平均寿命」と「健康寿命」は延伸しているが、男女ともに差は縮まっていない。
- 府内の市町村別健康寿命では、圏域内の市町も上位に入っている。
- 標準化死亡比では京都府平均を上回っているものもあり、医療体制や予防等の取組が重要である。
- 特定健診受診率では、京都府平均を下回っている市町村もあり、今後の取組が必要である。
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3.山城南医療圏における各病院の役割及び連携について
京都山城総合医療センター
- 配布資料 第四次経営計画により説明。
- 当院は平成29年11月に地域医療支援病院に指定された。平成28年度以降、紹介率が70%を超え、逆紹介率も増えている。
- 教育研修の機会も年間20回を超え、医療技術の向上や地域包括ケアの顔の見える関係づくりに取り組んでいる。
- 「時々入院、基本は在宅」というニーズに対応する地域包括ケア病棟(57床)は、地域にも浸透してきた。
- 第四次経営計画の具体的な取り組みとして3点上げ、(1)地域医療支援病院としての機能や体制の整備として、医師会、他職種の一員として救急医療を担っていく。(2)医療制度改革を先取りし、地域に貢献する取り組みとして、特に入退院支援の充実と訪問看護の拡充に力点を置き、地域との連携を図っている。(3)活力ある組織づくりとして、就業環境を整える。
- 課題は、脳外科、整形外科の診療の充実。
- 医師偏在との説明があったが、当会議は今後は、アクションを起こすことが大切と考えている。目標をどこにおくか、不足する部分をどうしていくのかといった場にできないか。何パーセントできていないより、やる人がいないことが問題。
学研都市病院
- 医師、看護師が少ないということはデータでも示されているとおりである。患者を診ている者として医師や看護師の募集には日常的に苦労している。
- 医療圏のはたすべき医療とはなにか、どの程度まで対応すべきか。3病院が機能を適切に分担してあらゆる疾患に対応できればよいが、整備に必要な医療コスト、地元住民のニーズ、収支面のバランスに関する検証はできていない。地元の意識調査を含めた検討が必要である。特に高次急性期医療に関しては他の地域との医療分担も必要ではないか。現状も他地域で医療を受けている方が多いように思われる。
- 学研都市病院としては山城総合医療センターとの役割分担を適切に行うことが重要で、急性期は現状の1.5次的な位置で良いと考えており、むしろ地域的に不足している療養期、回復期の患者を受け入れる体制整備に努めている。
精華町国民健康保険病院
- 慢性期50床の病院を運営している。
- 障害のある方、難病の方など長期入院に対応。介護、在宅も充実させ長期入院患者であってもチャンスをとらえ、職員も介護施設に移行できるよう取り組んでいる。
- 病床の稼働率は95%稼働しており、ほぼ空きがない。救急は空きベッドがなく受けられていない。機器、専門性などの課題で、当院での急性期医療は難しい。他地域で落ち着いた方を受け入れていきたい。夜間救急は医師の同行体制が厳しく、救急に迷惑をかけている。
- 転院先が見つからない。思うように患者が受入できないことが課題である。
- 病院が武田病院グループと連携しており、紹介することはある。
相楽医師会
- 当医師会は小規模だが新会員が1人あった。医師会入会にあたっては面接をし、休日診療所の支援ができるか、校医や乳幼児健診への協力が可能か、といったことも確認している。将来の地域医療を支える若い医師にも声かけしている。
- いじめや虐待といった児童福祉の課題、警察との連携にも取り組んでいる。
- 2025年問題は10年前から言われており、多職種連携、地域包括ケアで乗り切るしかないと考えている。
- 添付しているACP冊子は、先に作成された京都市内では多様な意見があったことから、高齢者向けとして作成している。地域の老人クラブ等20人から30人規模の集まりにも参加して啓発資材として活用しているが、抵抗や反発はない。
山城歯科医師会
- 口の健康で健康寿命を延ばす啓蒙活動が大切。歯周病予防や8020運動に取り組んでいる。30年以上前に6%だった数値が50%を超えたとされている。
- 地域包括ケアが進んで退院が早くなっているが、手術期の口腔ケア等で京都山城総合医療センターと連携した取組を進めていきたい。
相楽薬剤師会
- 相楽3師会で様々な行事に取り組んでいる。
- 災害時活動として石川県薬剤師会の災害時対応マニュアルを参考にマニュアルを作成した。
- 入院から在宅の切れ目がないよう質の向上のため研修を実施。
京都府看護協会
- 山城南地域在宅療養移行推進会議の取組として、病院、診療所、訪問看護ステーション、施設、地域包括支援センター、行政の看護職が集まる機会を持ち、看護の質の向上や施設間を超えた医療・介護連携体制づくりに取り組んでいる。
全国健康保険協会京都支部
- 会議を通じて圏域では3病院が中心になっていることがわかった。
- 医療の消費者代表の立場としては、山城南医療圏で今後どう進めていくのか目標を示されたい。
京都府介護老人保健施設協会
- 地域包括ケアシステムの枠組みでは、老人保健施設は利用者を地域に帰す役割を求められている。その役割がある中、介護職員が足りていない状況がある。
木津川市
- 本日の会議の内容等、現状を見て今後の取組みに生かしていきたい。健康がテーマ。新興住宅地と旧町の差があり、介護、医療施策をどう取り組むか、地域間格差をどうするか。介護、医療費抑制も課題。
笠置町
- 本町は高齢化率が50%を超える状況の中、圏域の拠点病院、地域医療の連携が課題となっている。これからも機能拡充を図っていただきたい。若い人への援助も進めていきたい。
和束町
- 国保加入者で健康診断を受けない人が多いのが現状で、末期のがんが見つかってから介護保険申請をする方がいる。がん検診の受診率を上げ、健康寿命を増進していきたい。
精華町
- 他市町村より高齢化率が低いと言われているが、どこの自治体も医療費、介護保険料の伸びを抑制したいと思いがある。健康長寿のまちづくり、健康づくり運動を推進し5年が経過した。住民の意識変化は感じている。健康づくりの仕組をつくること。支え合いと介護予防が大切と考えている。地域包括ケアに医療の連携は必須。
南山城村
- 高齢化率が高い。村にあった施策を推進することが大切と感じている。特定健診の受診率が低いので土曜日実施に取り組む。