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石綿(アスベスト)の飛散防止のため、大気汚染防止法(以下、「法」という。)に基づき必要な建築物等の解体・改修工事における作業の流れについて紹介します。
解体・改修工事の際に必要となる作業の流れは以下のとおりです。
事前調査の結果に応じて必要な手続が異なりますのでご注意ください。
解体・改修に係る作業の流れ | 事前調査の結果 | |||
石綿が飛散しやすい建材があることが判明した場合 |
石綿が飛散しにくい建材のみであることが判明した場合 ※石綿含有成形板(ケイ酸カルシウム板1種、スレート板)、仕上げ塗材等 |
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事前調査 | (1)事前調査の実施 | 〇 | 〇 | 〇 |
(2)事前調査結果の発注者への説明 | 〇 | 〇 | 〇 | |
(3)事前調査結果の記録・保存 | 〇 | 〇 | 〇 | |
(4)事前調査結果の報告 | 〇 | 〇 | 〇 | |
工事前 | (5)作業計画の作成 | 〇 | 〇 | ー |
(6)特定粉じん排出等作業の実施届 | 〇 | ー | ー | |
(7)下請負人への説明 | 〇 | 〇 | ー | |
工事中 | (8)掲示板の設置 | 〇 | 〇 | 〇 |
(9)現場への事前調査結果・作業計画の備え付け | 〇 | 〇 | 〇 | |
(10)作業基準に基づく作業の実施 | 〇 | 〇 | ー | |
(11)作業記録の作成・保存 | 〇 | 〇 | ー | |
工事後 | (12)建材の取り残しがないことの確認 | 〇 | 〇 | ー |
(13)発注者への作業完了の報告 | 〇 | 〇 | ー |
工事の元請業者は、解体・改修工事の規模にかかわらず原則全ての工事について、石綿含有建材の有無を事前に調査する必要があります。
工事を請け負ったら、まず石綿含有の有無の事前調査を行ってください。
なお、事前調査は次の一定の要件を満たすものが実施する必要があります。
工事の元請業者は発注者に対し、書面により事前調査の結果を報告することが義務付けられています。
事前調査を行った調査者が作成した記録を基にして、工事の内容に応じた下記の記載事項をとりまとめ、書面で報告してください。
記載方法については説明書面の様式例をご確認ください。
(出典:建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(外部リンク)(以下、マニュアル))
事前調査に係る説明事項
説明事項 |
特定工事※1 |
特定工事該当 |
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届出対象※2特定工事 |
届出対象特定工事 |
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事前調査の結果 |
〇 |
〇 |
〇 |
建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積 |
ー |
〇 |
〇 |
特定粉じん排出等作業の種類 |
ー |
〇 |
〇 |
特定粉じん排出等作業の実施の期間 |
ー |
〇 |
〇 |
特定粉じん排出等作業の方法 |
ー |
〇 |
〇 |
特定粉じん排出等作業の方法が法第18条の19各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由 |
ー | ー |
〇 |
事前調査を終了した年月日 |
〇 |
〇 |
〇 |
事前調査の方法 |
〇 |
〇 |
〇 |
施行規則第16条の5第二号に規定する調査を行ったときは、当該調査を行った者の氏名及び当該者が同号に規定する環境大臣が定める者に該当することを明らかにする事項 |
〇 |
〇 |
〇 |
特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況 |
ー | ー |
〇 |
特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要 |
ー |
〇 |
〇 |
特定工事の元請業者の現場責任者の氏名及び連絡場所 |
ー |
〇 |
〇 |
下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所 |
ー | ー |
〇 |
1特定工事:アスベスト含有建築材料が使用されている建築物等を解体・改修する工事
2届出対象特定工事:特定工事のうち、特定粉じん排出等作業の実施の届出の提出が必要となる工事
工事の元請業者は、実施した事前調査について、以下に掲げる事項を記載した記録を作成し、解体等工事が終了した日から3年間保存(電子データでの保存も可)することが義務付けられています。
記録事項 | 設計図書等に記載されている設置年月日より明らかに石綿非含有と判明した場合 | 左記以外の場合 |
解体等工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 | 〇 | 〇 |
解体等工事の場所 | 〇 | 〇 |
解体等工事の名称及び概要 | 〇 | 〇 |
事前調査を終了した年月日 | 〇 | 〇 |
事前調査の方法 | 〇 | 〇 |
解体等工事のかかる建築物等の設置の工事に着手した年月日 | 〇 | 〇 |
建築材料を設置した年月日 | 〇 |
ー |
解体等工事に係る建築物等の概要 | ー | 〇 |
解体等工事が建築物等を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、当該作業の対象となる建築物等の部分 | ー | 〇 |
法第16条の5第二号に規定する調査を行ったときは、当該調査を行った者の氏名 | ー | 〇 |
分析による調査を行ったときは、当該調査を行った箇所並びに当該調査を行った者の氏名及び所属する機関又は法人の名称 |
ー |
〇 |
解体等工事に係る建築物等の部分における各建築材料が特定建築材料に該当するか否か(特定工事に該当するものとみなした場合にあっては、その旨)及びその根拠 | ー | 〇 |
次の工事に該当する場合、工事の元請業者は実施した事前調査の結果について、当道府県知事に報告することが義務付けられています。
府内(京都市を除く。)における報告の方法については届出・報告のページをご確認ください。
工事の元請業者は、石綿含有建材の除去等作業(特定粉じん排出等作業)を行うにあたって、事前調査の結果を踏まえ作業の方法や作業工程等について作業計画を作成する必要があります。
以下の内容を記載した計画書を作成し現場に備え付けてください。
工事の概要 | 工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名 |
工事の場所 | |
石綿含有建材除去等作業 | 特定粉じん排出等作業の種類 |
特定粉じん排出等作業の実施の期間 | |
特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における石綿含有建材の種類並びにその使用箇所及び使用面積 | |
石綿飛散防止措置 | 特定粉じん排出等作業の方法 |
特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況 | |
工事の工程表 | 特定粉じん排出等作業の工程を明示した建設工事の工程の概要 |
施工体制 | 工事の元請業者又は自主施行者の現場責任者の氏名及び連絡場所 |
下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所 |
事前調査の結果、飛散しやすい石綿含有建材(吹付け石綿、石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材等、いわゆるレベル1、2建材)が使用されていることが判明した場合は、発注者は作業を開始する14日前までに特定粉じん排出等作業の実施の届出の提出が義務付けられています。
府内の工事の届出提出方法等は届出・報告のページをご確認ください。
工事の元請業者又は下請業者は、請け負った工事の全部又は一部について他の者と下請契約を締結する場合は、契約締結までに以下の工事の内容についての説明が義務付けられています。
説明事項
工事の元請業者は、事前調査の結果及び作業内容等について、定められた事項を公衆及び作業に従事する労働者等が見やすい場所に掲示することが義務付けられています。
掲示板はA3サイズ(横420ミリメートル、縦29ミリメートル)以上で記載例(ワード:66KB)を参考に作成してください。
(出典:マニュアル(外部リンク))
工事の元請業者は、(3)事前調査結果の記録の写しを除去等の作業を実施している作業場に常に備え付けることが義務付けられています。
同じく(5)作業計画についても現場に備え付け、作業手順の見直し等があれば適宜計画を修正してください。
大気汚染防止法では建材の種類や撤去方法によって以下のとおり6種類に場合分けし(大気汚染防止法施行規則別表第七(外部リンク))、それぞれの場合に対して適応する基準を定めています。(養生、湿潤化の要否など)
除去等作業の実施者は以下の方法を遵守し、除去作業を行ってください。
一 | 令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する作業(次項又は五の項に掲げるものを除く。) | 次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業場」という。)を他の場所から隔離すること。隔離に当たつては、作業場の出入⼝に前室を設置すること。 ロ作業場及び前室を負圧に保ち、作業場及び前室の排気に日本産業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。 ハイの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前に、使用する集じん・排気装置が正常に稼働することを使用する場所において確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ニ特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前及び中断時に、作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ホ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ヘイの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後速やかに、及び特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時、使用する集じん・排気装置の排気⼝において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働することを確認し、異常が認められた場合は、直ちに当該除去を中⽌し、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ト特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行った上で、特定粉じんが⼤気中へ排出され、又は飛散するおそれがないことを確認すること。 |
二 | 令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、石綿含有断熱材等を除去する作業であつて、特定建築材料をかき落とし、切断又は破砕以外の⽅法で除去するもの(五の項に掲げるものを除く。) | 次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 ロ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ特定建築材料の除去後、養生を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。 |
三 | 令第3条の4第一号又は第二号に掲げる作業のうち、石綿を含有する仕上塗材を除去する作業(五の項に掲げるものを除く。) | 次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。(ロの規定により特定建築材料を除去する場合を除く。) ロ電気グラインダーその他の電動⼯具を用いて特定建築材料を除去するときは、次に掲げる措置を講ずること。 (1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 (2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たつて、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。 |
四 | 令第3条の4第一号又は第二号に掲げる作業のうち、石綿を含有する成形板その他の建築材料(吹付け石綿、石綿含有断熱材等及び石綿を含有する仕上塗材を除く。この項の下欄において「石綿含有成形板等」という。)を除去する作業(一の項から三の項まで及び次項に掲げるものを除く。) | 次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ特定建築材料を切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すこと。 ロイの⽅法により特定建築材料(ハに規定するものを除く。)を除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第二号に掲げる作業に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ石綿含有成形板等のうち、特定粉じんを比較的多量に発生し、又は飛散させる原因となるものとして環境⼤⾂が定めるものにあつては、イの⽅法により除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第二号に掲げる作業に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、次に掲げる措置を講ずること。 (1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 (2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 二特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たつて、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。 |
五 | 令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、⼈が立ち入ることが危険な状態の建築物等を解体する作業その他の建築物等の解体に当たりあらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な作業 | 作業の対象となる建築物等に散水するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 |
六 | 令第3条の4第二号に掲げる作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る作業 | 次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等の部分に使用されている特定建築材料の除去若しくは囲い込み等を行うか、又はこれらと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ特定建築材料をかき落とし、切断又は破砕により除去する場合は一の項下欄イからトまでに掲げる事項を遵守することとし、これら以外の⽅法で除去する場合は二の項下欄イからハまでに掲げる事項を遵守すること。 ロ特定建築材料の囲い込み等を行うに当たつては、当該特定建築材料の劣化状態及び下地との接着状態を確認し、劣化が著しい場合又は下地との接着が不良な場合は、当該特定建築材料を除去すること。 ハ吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿含有断熱材等の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、一の項下欄イからトまでの規定を準用する。この場合において、「除去する」とあるのは「囲い込み等を行う」と、「除去」とあるのは「囲い込み等」と読み替えることとする。 |
除去等作業の実施者は、作業計画の分担に応じて飛散及びばく露防止措置の内容等を記録しておく必要があります。
日々の作業の記録は、当該作業の実施者(主に下請負人)が行い、元請事業者等は当該記録等から計画通り適切な飛散及びばく露防止措置がとられていることの確認を行ってください。
解体等工事の終了後に保存する記録は、元請事業者等及び事業者がそれぞれ必要な項目を取りまとめ、工事終了後3年間保存してください。
記録様式の例は様式例(PDF:922KB)をご確認ください。
(出典:マニュアル(外部リンク))
解体工事の元請業者は、除去等が完了したことの確認を下記の必要な知識を有する者に目視により行わせることが義務付けられています。
除去等が完了したことの確認を行うために必要な知識を有する者
元請業者は、除去等作業が終了したときはその結果を遅滞なく発注者に書面で報告しなければならないこととされています。また、発注者に報告した書面の写しも3年間保存してください。
書面の例は報告書例(PDF:285KB)をご確認ください。
(出典:マニュアル(外部リンク))
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