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更新日:2025年1月7日

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環境保全措置(ミティゲーション)について

環境保全措置(ミティゲーション)~ 開発事業などで適切な環境配慮をしていくために ~

開発行為など人間の活動によって発生する自然環境への影響を具体的な措置を講ずることによって緩和または補償することを、「ミティゲーション(mitigation)」と言います。

自然環境を守るためには、このミティゲーションの考え方に基づき、いくつかの対処方策案を比較、検討した上で、適切な保全対策を講じることが重要となります。

ミティゲーションの考え方は、湿地の減少に対応するため、1970年代にアメリカで環境政策の1つとして導入されたのが始まりであると言われています。アメリカの国家環境政策法(NEPA)では5段階に分類されており、「ミティゲーション5原則」あるいは「環境配慮5原則」とも呼ばれています。

【ミティゲーション5原則(環境配慮5原則)】

  • 回避(avoidance)
  • 最小化(minimization)
  • 修正(recifying)
  • 軽減(reducation)
  • 代償(compensation)

環境保全措置(ミティゲ―ション)を具体的に検討するに当たっては、はじめに予測される環境への影響を「回避」することを検討します。

「回避」することが困難と判断された場合に、影響を「最小化」することを考え、「修正」「軽減」の緩和策を検討します。

これらを検討した上で、なお生じる環境影響に対応するために「代償」を検討することになります。

しかし、湿地等と同様の環境を再現するような「代償」については高度な技術を要し、動植物の生存についても不確実性も極めて高いため、安易に「代償」の措置を検討すべきではありません。

なお、「代償」はミティゲーションの諸段階の中でもっとも検討優先度の低い、いわば最後の手段にあたる措置です。

 

 ミティゲ―ション5原則
(JPEG:466KB)
 (出典:環境と調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き)

 ミチゲーション5原則

1.回避(avoidance)

回避

行為の全部または一部の内容を変更したり、実施しないことにより環境への影響を「回避」することです。

残すべきあるいは保全すべき自然環境を、人為的影響からできるだけ遠ざける、開発対象範囲から除外するなどの方法が考えられます。
<具体例>
良好な環境を有している区域について、整備を実施せず現状のままとする、あるいは、トンネル・橋梁化・迂回路などで改変予定地を避けることで、自然環境への影響を回避します。

2.最小化(minimization)

最小化

行為の実施の程度または規模を制限し、工法や実施時期を変更することにより、影響を「最小化」とすることです。

自然環境への影響を抑制するために、規模等を制限するとともに、環境配慮工法など自然環境に対する影響をできる限り抑えた工法を採用します。
<具体例>
切土・盛土の規模を制限・縮小する。開発地における水辺の生物が生息可能な自然石及び自然木を利用工法を採用するなど、環境への影響を最小化します。

3.修正(recifying)

修正

影響を受けた環境そのものを修復、復興または回復することにより、影響を「修正」することです。

新たに生息空間を創出して既存の生息域とネットワーク化を図る、あるいは分断された水域や生息域を連続性を確保されるような施工を行うことで「修正」を加え、開発実施に伴い損なわれる生態系に望ましい環境を作り出します。
<具体例>
施工時に表土をはぎ取って、開発地の一部に再利用する、工事により分断される水辺について水路等を新たに整備することで生息地の連続性を確保することなどがあります。

4.軽減(reducation)

影響の軽減/除去

行為期間中に、環境を保護及び維持することにより、時間を経て生じる影響を「軽減または除去」することです。

開発行為等による環境の影響は避けられない場合においても、一時的あるいは仮設的に生物の避難場所を確保するなどの工夫により、開発後の環境回復を促進します。
<具体例>
環境の保全が困難な場合、一時的に生物や土・水などの生態系を捕獲・移動し、影響を軽減するなどの対応が考えられます。

5.代償(compensation)

代償

代償の資源または代替の環境を置換または提供することにより、影響を「代償」することです。

開発前の環境を保全できないが、ビオトープなどの創出により、他の生態系の場を提供します。
<具体例>
工場用地として埋立になった場合、工場用地内にビオトープを整備することや、多様な生物が生息する湿地等を工事区域外に設置し、同じ環境を確保することなどが考えられます。

事業段階に応じた適切な管理

環境保全措置(ミティゲ―ション)の検討は、工事施工だけでなく、ネットワークの保全・形成を視点に置きながら、調査計画、設計、事業実施(施工)の各段階を通じて行います。

  • 計画段階
  • 設計段階
  • 事業実施(施工)段階
  • 維持管理段階

の段階で検討を行い、事業全体にわたって取り組んでいくことが大切です。

計画段階

保全の方針として、環境保全措置の対象を選定し、どの程度保全するかといった環境保全措置の目標を設定します。

  • 保全対象となる生物種の重要度
  • 事業による生態系への影響(内容や程度)を予測
  • 保全技術の実行可能性

を踏まえ、その効果が定量的に把握できるような目標とすることが重要です。
この保全の方針を踏まえて、環境保全措置の具体的な内容・実施時期・実施範囲などを検討します。
また、計画変更となる立地・配置などを「回避」する措置について、しっかりと検討する必要があります。

設計段階

設計段階では、計画段階で選定した環境保全措置を具体的に検討し、施工計画等に反映させます。
技術的に確立されていない保全措置(工法や対策)を講じる場合、専門家の助言・指導を得ながら、より慎重に事業を進めることが必要です。

施工段階

施工段階では、設計段階で作成した環境配慮設計に基づいて、工事を実施します。生態系は多くの不確実性要素を伴うことから、計画・設計段階では想定していなかった事態が発生します。
このため、その都度、環境保全措置を見直すなど、柔軟な対応していくことが求められます。

維持管理段階

維持管理段階では、環境保全措置の目標の達成状況を確認するとともに、環境配慮設計の妥当性を評価します。
また、評価結果は、開発地周辺の地域や関係機関で共有し、今後の環境保全措置に活かしていくことが重要です。

お問い合わせ

総合政策環境部自然環境保全課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4705

shizen-kankyo@pref.kyoto.lg.jp