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株式会社山一パン総本店(京都企業紹介)

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毎日食べても飽きないパン- 美味しい笑顔を京都から

(掲載日:令和元年11月12日、聞き手・文:ものづくり振興課:橋本、足利)

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株式会社山一パン総本店(外部リンク)(京都市)山本隆英代表取締役社長にお話をおうかがいしました。

「パン王国京都」

-一般社団法人京都府食品産業協会の会長、京都府パン工業組合、京都パン協同組合の理事長等を歴任され、いつも大変お世話になっておりますが、今日はパンのことについておうかがいしたいと存じます。年によって入れ替わりもありましょうが、京都はパン消費量が全国1位、パン屋さんの数は2位というパン王国です。どうしてでしょうか?

山本) まず、京都人が、実は「新しいもの好き」の合理主義者だからです。市電も小学校も、なんでも一番最初に実現してきた人たちです。「伝統」だけでなく「革新」もバランスよく存在してきた街でしょう。

-なるほど。

山本) それに、明治維新以降、大変栄えてきた西陣。職人さんたちがとても忙しく働いてこられました。お昼ごはんをゆっくり食べる間もないくらいに。当時はコンビニのおにぎりもありませんから

-たしかに。先日、漁師さんも、船の上で食べるのにパンがちょうどいいと、テレビ番組で言ってました。

山本) また、学生さん、つまり、若い人が多かったということもあるでしょうね。

-そうですね。

山本) そして、パン屋さんが多いのは、京都の町が碁盤目状になっていて、その界隈のための「まちの小さなパン屋さん」が多いということだと思います。逆に、企業規模が大きくなると、逆に激しい競争にさらされ経営難に陥ることもありますし、当社は大手のパン屋さんと町のパン屋さんの隙間の規模でビジネスをしております。具体的には、京丹波産の黒豆を使ったパンなど、京都らしい特色のあるパンは、コンビニやスーパーで見かける「地元コーナー」などに力を注いで、焼きたてのパンを提供しています。

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(左)京都の老舗北尾商事の黒豆を使った黒豆パン (中)パン生地に伏見の酒酵母を用いた酒種を使用した京風メロン (右)伏見の酒酵母、生八ツ橋を使用した和風デニッシュあんパン

「毎日食べても飽きないパン」の秘訣

-では、御社の概要を教えてください。

山本) 昭和22年創業で、現在、従業員約300名です。近畿を中心に約800店舗に卸しているほか、「ムーラン」などの直営店も8店舗営んでいます。また、学校給食用としても京都府内約140校に提供しています。

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-最近は、何千円とする高級な食パンなんかが流行りだそうですが。

山本) そうですが、私どもはブームには乗りません。

-いかにも京都らしいですね。御社の特徴は?

山本) パンは、毎日食べるもの、食べてほしいものです。ですから、毎日同じものを食べても、毎日同じなのに飽きないパンづくりを目指しています。

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-それが一番難しいのかもしれませんね。

山本) そうですね。全く味を変えないということではなく、今、やわらかいパンが好まれているなと思えば、変化に気づかれにくいレベルで、やわらかくしますし、甘いパンが好まれているのであれば、多少そのように、微妙にコントロールしています。

-そうなのですね。何種類くらいお作りなのですか?

山本) ざっと100種類ですかね。まず、小麦粉、水、砂糖などの材料を混ぜて捏ね上げます。パンの種類に応じて材料の種類や割合を変えて生地を作り、発酵させます。

-小麦粉に水を加えて混ぜると、小麦粉のタンパク質、グルアジンとグルテニンからグルテンができ、粘性や弾性が生じてくるのですね。それが多いのが強力粉ですね。

山本) 発酵した生地をパンの種類ごとに1個1個計量、分割し、パンの種類に合わせた成形を行い、2次発酵させます。

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-発酵には、ドライイーストを使うのですね。

山本) そう。イースト菌(酵母菌)を乾燥、休眠させたものです。これによって糖が発酵、二酸化炭素等が出てふくらむわけです。そして、約200度以上の温度で焼き上げます。やり直しがききませのでおいしいパンを焼くための条件をパンの種類に応じて設定します。そして、焼き上がったパンにグラニュー糖やシロップでトッピングを加えたり具材を入れたりして、最終仕上げを行うのです。

-パンの消費期限はどれくらいなのですか?

山本) 3~4日ですが、具材が入っているものは、それによって1日とかいうのも多いですね。

地域の子どもたちに地域で作ったパンを

-学校給食用は、自分たちの子どももいただいていると思うと、それだけで感慨深いですが、提供される方は配送なども大変なのでしょうね。

山本) そうですね。午前中の早い時間に納品しなければなりませんね。

-昨今は、台風等の災害で休校も多いのもリスクですね。

山本) それは、最近は、気象予報が発達してきましたので、生産着手前の段階で判断できるようになってきました。それよりは、学校給食でパン食が減ってきていることが痛手ですね。学校給食用に別設備を整えて備えているのですが、今は週1回ですね。

-ほかの食品メーカーの方からも、学校は夏休み等もあり設備の稼働率の面では厳しいとおっしゃってますね。

山本) そうですね。それでも、私ども地域の企業が提供できる体制をとっておくことは、危機管理の観点でも必要だと思っています。

-今後の展望についてはいかがでしょう。

山本) 現在、府内産麦の活用を図ろうという動きが起こっており、一層推進してまいります。そして引き続き、心を込めてみなさまの暮らしと健康・食品の安全を考え、安心して召し上がっていただける美味しい製品を提供すべく、日々邁進してまいります。

 

 

毎日食べられるおいしいパンを、これからもよろしくお願いします。

(注釈)京都府はパンの消費量全都道府県中第1位(総務省家計調査2016年)、10万人あたりのパン屋店舗数全都道府県中第2位(経済センサス2012年)

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