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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和3年8月26日更新、ものづくり振興課 足利)
昨年はマスクの縫製で忙しかったという司工業株式会社さん。「観光・伝統・食関連」産業連携事業緊急支援補助金を活用して、
(掲載日:平成28年3月7日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
司工業株式会社の新庄さんにお話をおうかがいしました。
―まずは、御社の概要を教えてください。
新庄) ファッションバッグ、学生カバン等の企画・製造販売や、スーパー・飲食店で従業員用が身に付けるポーチ等の製造をしてます。昭和45年に私の父が始めまして、現在は夫が2代目社長です。
―中国をはじめとする安い海外製品の流入など、厳しい業界というイメージがありますが。
新庄) 当社は“丸縫い”ができるのです。鞄は胴やマチ、持ち手など様々な部材でできており、それぞれ材質などの特徴もバラバラですし、型紙づくりなど工程もたくさんありますが、“丸縫い”とは、そうした鞄丸ごとひとつを完成させられるということです。つまり、顧客先メーカーや小売店等が商品企画・開発する際に必要な「サンプル品」が作れるのです。ですので、大手メーカーやスーパーからの試作開発の依頼があるのです。
―なるほど!
新庄) 丸縫いができるような一人前の職人になるには、最低10年はかかりますが、そういう職人を抱えているところが今では少なくなりました。
―たしかに、ミシンもすごくたくさん並んでますね。全て種類が違うのですか?
新庄) はい、20種類近くあると思いますが、全て違うので大量生産には向いていません(笑)。1台ウン千万円するものもあります。その当時からのミシンと職人が今でも活躍してくれています。父の時代から「いいものを作っていれば、見る人は見てくれる」という信念で「作る」ことを大切にしてきました。
―たしかに誰もが知ってるようなところと数多く取引されてらっしゃるんですね。
新庄) 原価が上がっていく中で、いいものを作って成り立つようにするためには、中間マージンを省くしかないと考え、大きいスーパー・小売店とダイレクトで取引をするように転換してきました。
―相手先ブランドの生産が多いのですか?
新庄) それもありますが、むしろ自社ブランド「ecrus」の方が増えてきています。
―さて、今回、「北部産業技術支援センター・綾部」の「綾部・介護福祉研究会」で開発された「つかまっ手」シリーズについて教えて下さい。どういったものですか?
新庄) 「つかまっ手」は高齢者や障がい者を抱きかかえ介護したり移乗したりする時に、介護される方がつかまるための把手付きベストです。自ら掴むので従来のような受け身だけでなくなりますし、介護する方も安定した抱きかかえができ、精神的身体的な負担軽減にもなります。
―素材等はどういったものでしょうか?
新庄) ベストは通気性の良いメッシュ地で、カラー把手はカバーを外して洗濯できます。
―「よりそっ手」もカラフルなラインナップですね!
新庄) 介護する方のズボンのベルトに簡単に取り付けられるので、歩行時はもちろん、常時役に立ちます。
―開発の経過はどういったものですか?
新庄) 父が病に倒れたことをきっかけに、何か自分たちが有する技術を活かして、人に喜んでもらえるようなものを作れないかと思いました。幸い、ミシンもあるし、職人もいるし、材料もあるし、ということで。そんな時に、新聞で「綾部・介護福祉研究会」のセミナーがあると知り、参加したのです。
―どんなご苦労がありましたか?
新庄) なんせ鞄屋ですので、ベストなど衣類は仕事では作ったことがありませんので躊躇してましたら、が指導員の、京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 三橋 俊雄 教授が、自らの鞄を裁断してベスト状にして、「これならできるだろう」というように促してくださいました。
―今後の展開は?
新庄) 展示会等でも既にご好評をいただいていますが、これから販売化に向けて、詰めていかねばならないと思っています。
「つかまっ手」「よりそっ手」の販売化が待ち遠しい!今後の展開に期待ですね!
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