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株式会社テレノイドケア(京都企業紹介)

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京都品質

認知症コミュニケーション「テレノイドケア」サービス開始(株式会社テレノイド計画

(掲載日:平成29年8月1日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社テレノイドケア(精華町)の新代表取締役の宮崎詩子様にお話をおうかがいしました。

「対話」のためのアンドロイド

―宮崎様が新代表取締役になられました。そして、いよいよ「テレノイド」を使ったサービスも本格的に開始されましたね。まずは、改めまして、テレノイド自体のおさらいから。

宮崎) 人と関わるロボット研究の世界的権威、石黒 浩 大阪大学教授・ATR石黒浩特別研究所長(フェロー)が創作した、「対話」をするためのアンドロイドです。「対話」を分解して考えてみますと、顔を見る(相手が見えた)、目が合う(こんにちは!)、口が動く(話しはじめた!)、声がする(何を伝えたいの?)、返事をする(伝わったかな?)、顔の向きが変わる(伝わった!)などといったように、とても立体的なコミュニケーションであり、人間は相手と自分の関係を確認しながら対話するのです。考える、感じる、想像するといった脳の働きが同時発生しているということです。

―なるほど。

宮崎) そこで、テレノイドは、様々な工夫をしています。まず、年齢・性別が不明な顔立ちなので、声の違いによる違和感がありません(自然に)。また、2つの支点を使い、角度を調節することで、身体のサイズが違ってもきちんと目が合うように設計されています(無駄なく)。3点目として、人間の身体になじむようにカーブや立体感に工夫があるので自然な抱き心地です(無理なく)。さらには、それによって、すぐに対話に集中できます(目的達成)。そして、人が話しているので質問と答えがスムーズです(満足提供)。

認知症の方にコミュニケーションを呼び戻す― テレノイドケア

―では、今回スタートされたサービスについて、教えてください。

宮崎) 特に認知症状が重度化傾向にあり、周囲との交流が激減してしまった方や自閉症の方で周囲との会話が難しい方などがテレノイドに強い興味を持ち、語りかける、一緒に歌を歌う、あやす、などの様子が見られることから、特養やグループホームでの利用が始まっています。本物の子供だと感じる方が多いですね。

―介護施設などで大手のコミュニケーションロボットなどが導入されている事例なども見かけるようになりましたが、そうしたものとは、どう違うのですか?

宮崎) 歌ったり体を動かしたりといったロボットですね。ヒューマノイドと呼ばれる種類です。人間のような形をしていて、様々な機能を持っています。それらを人間に提供することで貢献するロボットですね。そうした多機能ロボットの場合は、施設によっては「ロボットに仕事を奪われる」と思う方もいらっしゃいます。しかし、軽度な症状の入居者様にはそういうロボットを活用して運動などをしていただいている間に、テレノイドを活用してより重度な方とのコミュニケーションに労力を集中していただけるのではないかと思います。というのもテレノイドの場合は、ロボットを使って人間が会話をします。入居者の方の変化を観察、記録、分析するのも人間です。一般の方に比べ、介護現場の方々はそうした能力が高く、その部分こそがケアの本質です。テレノイドはその補助ツールなのです。それは人間を再現するという目的で開発されたアンドロイドロボットだからこそ果たせる役目といえます。

―なるほど。

宮崎) 認知症の方について、コミュニケーションがとれないことにあきらめてしまい、結果的にコミュニケーションを放棄してしまっているケースも多いと思います。しかし、逆に認知症の方も、気持ちを汲み取ってもらえないことのストレスが、徘徊という形で出てしまったり、トラブルに繋がったりしてしまうという悪循環になってしまっている面もあるのです。人間同士のコミュニケーションに「道具」を使うことで、良い関係が作られるというのは、誰しも経験していることだと思います。この100年位の間に電報、電話、ファックス、ポケベル、メール、携帯電話、スマホ、チャット…様々な道具が登場して生活をより豊かなものに変えてきました。ロボットは最先端の「道具」ですから、どう使いこなすかが大事なのです。

  

―そうなのですね。

宮崎) これまで、人が挨拶してもすれ違っても無関心でらっしゃった方が、テレノイドを抱いていると即座に話しかけてきたり、会話ができないと思っていた方が積極的な会話を表情豊かに始められたりといったことが起こっています。その時、どう返事をするのか?つまり、その方の変化をどう解釈するのか、がとても重要です。それはAIが遠く及ばない人間の能力の高さといえます。

介護現場に寄り添ったサポートを

―素晴らしいですね。

宮崎) もちろん課題もあります。私自身、15年間ほど祖母の介護をしてきまして、介護に関する様々な機関の方々と接してきましたし、現場の課題を理解しています。まず、介護の現場では、制度に基づき、24時間のメニューが組まれていますから、そこに組み込んでいただかないといけないということがあります。また、たとえヘルパー2級の資格を持ってらっしゃっても、ロボットの操作や、対話オペレーションの経験はお持ちではないでしょう。施設では職員の研修費をお持ちであったりしますので、それを少し充てていただいて、研修をしなければなりません。

―なるほど。

宮崎) 現在、テレノイドの基本操作、オペレーターの会話練習、コミュニケーションロボット導入の際の注意点などを通じて、「適切で質の高い会話とは」「そうした会話によって業務にどのような良い影響が起こるか」など、各地の施設で研修を行っています。そうした研修プログラムから、ショートレンタルパック、購入パックなど幅広いサービスをご用意し、施設の皆様をサポートしたいと考えています。テレノイドとの対話を通じて、入居者とスタッフ・ご家族、入居者同士の会話が活発となり、楽しい時間を過ごしていただけることを目的に、引き続き普及に努めたいと思っています。

 

今後のますますの発展が楽しみですね!

要介護高齢者向けテレノイド・コミュニケーションサービス株式会社テレノイド計画

(掲載日 平成28年3月24日、 更新 平成29年2月15日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社テレノイド計画の渡辺代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。。

高齢者・認知症の方 向けコミュニケーションロボット― テレノイド

―まず、「テレノイド」について教えてください。

渡辺) 人と関わるロボット研究の世界的権威、石黒 浩 大阪大学教授・ATR石黒浩特別研究所長(フェロー)が創作した遠隔操作ロボットです。人間としての必要最小限の見かけ、動きの要素で構成し、男性とも女性とも、子供とも大人とも、日本人とも外国人とも見えるニュートラルな顔つきであるため、誰にでも似ているし、自分の思う人を設定しやすく、感情移入しやすいというのが特徴です。

―たしかに、目・鼻・口を中心に、顔はすごくリアルで「本当の人」みたいです。目もとてもかわいくもありつつ、大人の目のようにも見え、とにかく惹き込まれますね。

渡辺) はい。目が命かもしれませんね。見た目に不気味さを感じるという方もいらっしゃいますが、ハグができることもあり、高齢者、特に認知症の方は、親しみを感じられるケースが多く、高齢者・認知症の方向けのコミュニケーションロボットとしての活用を広めていこうとしています。

けいはんな・ATRの地で創業!

―では、御社が設立された目的は?

渡辺) ATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所の有する技術を活かした事業創出を目的として平成27年2月にATRとNVCC(日本ベンチャーキャピタル株式会社)らで立ち上げた「けいはんなATRファンド」の第一号投資先として石黒教授の取り組みを選びました。そして、高齢者の安否確認等、見守りサービスなどを手掛けている株式会社こころみ、ロボット関連製品の開発・製造・販売を手掛けているヴイストン株式会社も事業パートナーとして加わり、けいはんな、ATRの地で、昨年7月に株式会社テレノイド計画を創設したのです。石黒教授が最高技術顧問です。

要介護高齢者向けテレノイド・コミュニケーションサービス

―今回、どういった事業展開をお考えですか?

渡辺) 要介護高齢者に特化したコミュニケーションサービスの提供です。「テレノイド」を高齢者施設等にお貸しし、その施設入居者様等に対し、コミュニケーターがテレノイドを介して話しをして会話を楽しんでいただくサービスになります。高齢者、特に認知症の方に、親しみを感じられるケースが多いテレノイドと、株式会社こころみのコミュニケーションサービスのノウハウを組み合わせたもので、会話の内容を施設や入居者様のご家族にもご報告し、ご利用者の情緒安定、幸福度向上とご家族の安心も同時に満たしていきたいと考えています。

 

―すばらしいですね。

渡辺) その次のステップとしては、例えば、コミュニケーション、会話のデータベースを蓄積し、AIの開発等につなげていく・・・など、夢は広がります。

 

高齢者、そのご家族の幸せが増すよう、同社の今後の展開が楽しみです。

 

企業概要

  • 会社名 株式会社テレノイドケア
  • 所在地 〒619-0288 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2
  • 最高技術顧問 石黒 浩(大阪大学教授 /ATR石黒浩特別研究所長(フェロー)/世界的な人と関わるロボット研究の権威者)
  • 代表取締役社長 宮崎 詩子
  • 設立 2015年7月1日

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp