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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年6月7日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成28年度元気印企業、株式会社サンコンタクトレンズ(外部リンク)(京都市中京区)の塩田取締役、喜多執行役員にお話をおうかがいしました。
―カスタムメイドのコンタクトレンズを作ってらっしゃるというのは珍しいですね。
塩田) 1971年の創業以来約45年間、一人ひとりの眼に合わせたカスタムメイドのハードコンタクトレンズを作ってきました。現在では、関西に本社を置くコンタクトレンズメーカーは当社だけです。
―なぜハードなのですか?
塩田) 日本のコンタクトレンズ装用人数は1800万人と言われており、使い捨てを中心としたソフトレンズへのシフトが増えていますが、創業当時はまだハードレンズしかありませんでした。ハードはアクリル樹脂のレンズで、現在ではフッ素樹脂、シリコン系樹脂が加わったガス透過性のものが主流です。
ハードレンズはソフトレンズと異なり、角膜乱視を矯正できるほか、円錐角膜をはじめ特殊症例に対応できるなど適用範囲が広いのが特徴です。そこで、当社では「はじめに、眼ありき」 ~「レンズに眼を合わせる」のではなく「眼にレンズを合わせる」こと~ という理念のもと、カスタムメイドレンズを作り続け、現在では全国の大学病院の半数以上で取り扱っていただいております。
―カスタムメイドレンズとはどういうことですか?
塩田) 日本におけるハードコンタクトレンズの処方は、規格レンズの中から、一番近いカーブのレンズを選択し、度数を決定するという手法が一般的です。しかし角膜の形状は人によって千差万別で、そのような手法では安全で快適なレンズの提供は困難ですし、高度管理医療機器であるはずのコンタクトレンズが原因で眼障害が起こることもあります。そこで、素材の持つ特性だけでなく、一人ひとりの角膜形状に対するレンズデザインとフィッティングを重視して提供するカスタムメイドレンズが必要になります。そのため当社では、個々の眼に最適なレンズを一枚一枚受注生産しています。
―どのような特徴がありますか?
喜多) 創業当時に使われていた計測機器は、角膜中央部の2~3mm領域のカーブしか計測できませんでしたが、当社は、1977年世界で初めて角膜全体のカーブを計測する機器を開発しました。その測定データの蓄積と研究から、様々な症状に対応したレンズタイプを開発、個々の眼に合わせてきめ細かくデザインを設計しています。
―難しい点はどういったことですか?
塩田)様々な症状に対応した新しいレンズデザイン設計が難しいです。当社にはレンズデザイン開発を担当しているベテランの社員がいますが、レンズを装用することで発生するトラブルを未然に防ぎ、装用当初から快適に使用してもらえるにはどうすれば良いのかを常に考え続けています。
―営業面はいかがですか?
喜多) 従業員約150名のうち、約半数が営業ですが、営業活動だけでなくご使用いただいているレンズのフォローアップもおこなっています。眼科医の指示によって、レンズを削り目の状態に合うように調整をしています。一人ひとりの眼に合わせて作られたレンズでも、トラブルの発生はゼロにはなりません。レンズの周辺部を微調整することで、トラブルを解消できる場合があります。当社では2003年から、レンズ調整技術の向上のために「マイスター制度」を導入し、定期的に試験を実施しています。調整を最善の武器として、最良のコンタクトレンズを提供する会社でありたいと考えています。
―今後の展望はいかがでしょうか?
塩田) 現在、大学病院と開発した、難病用レンズの発売に向けた準備をしています。また昨年3月には、医療機器における品質マネジメントシステムの国際規格であるISO13485を取得しました。わたしたちはこの国際規格にもとづく品質管理体制で、これからも「安全」「安心」と共に、より良い製品をお届けしてまいります。
ほかにはないカスタムメイド対応。今後の展開がますます楽しみです。
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