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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2022年9月14日、ものづくり振興課 足利・濵田)
このたび、「デジタルコルポスコープ Q-CO」を開発されたとのことで、株式会社エスケーエレクトロニクス ソリューション事業部の三宅充紘統括、若林一行さん、岩城孝典さんにお話しをお聞きしました。
--コルポスコープとは何ですか?
三宅)子宮頸がん精密検診などで用いられる医療機器です。子宮頸がんでは、年間1万人以上が罹患し、2,900人程の方々が亡くなっています。
--ええー!すごい数字ですね。
三宅)しかも、20歳代から30歳代の若い方の罹患が増えているのです。
--なんと。
若林)子宮頸がんの根本的な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部の粘膜に感染しても、多くの場合、一過性の感染で、自然排除されます。しかし、何らかの原因でウイルスが持続感染した場合、数か月から数年以上を経て、浸潤癌へ進展していくのです。
--ふむ。
若林)対策としては、感染そのものをワクチンによってブロックすること(一次予防)と、検診によるスクリーニングで予防すること(二次予防)の2つが世界の流れですが、日本はどちらの点でも立ち遅れています。
--そうなのですね。
三宅)ですので、かかりつけ医でも精密検診を受けていただけるようにと、コンパクトで高性能なコルポスコープを、と考えまして開発をしたのが「デジタルコルポスコープQ-CO(キューコ)」なのです。
--なるほど!
岩城)従来品は、大型のアナログ機器が多く、クリニックなどの狭い診察室では使いづらいのです。
--そうなのですね。
岩城)しかし、まず、「Q-CO」の場合は、重量約3.8kgで持ち運びも簡単で、大きさもコンパクトなので狭い診察室でも使いやすいです。
--ほう。
岩城)一方小型ながら、高倍光学レンズを搭載し、ワンタッチでグリーンフィルター切り替えも可能です。
--いいですね。
岩城)それに、デジタル化されていますから、記録を患者様ごとに自動で保管し、画像に手描きでメモをしたりと、とても使い勝手がいいのです。
--素晴らしいですね!
若林)おかげさまで既に多くの問い合わせをいただいておりますが、特にまちのクリニックなどで精密検診が進むことを願っています。
(掲載日:平成29年8月18日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
このたび、新しい自社製医療機器を開発されたとのことで、株式会社エスケーエレクトロニクス(本社:京都市)の事業開発室の三宅担当部長様に再びお話をおうかがいしました。
―御社のヘルスケア分野で、既にチャレンジ・バイ認定を取られているSEM glove、ZellaMed聴診器・打診器に続き、第3弾の新製品ですね。
三宅) はい、このたび「電気刺激装置 WILMO(ウィルモ)」を上市いたしました。脳卒中などの中枢神経疾患等により手指の片麻痺回復の為の随意運動を促進する物理療法に用いることを目的とした医療機器です。本製品は筋電検出回路を備えており、筋電信号に応じた低周波(電気)刺激を出力する機能を持っています。クラスIIの医療機器として2017年1月に薬事認証取得済みです。
―「筋電信号に応じた」というのは?
三宅) 電気刺激療法にはいくつかの手法があり、機能的電気刺激療法(Functional Electrical Stimulation:FES)や治療的電気刺激療法 (Therapeutic Electrical Stimulation:TES)など、筋電を検出せずに一方的に一定間隔で電気刺激を行う医療機器が多いです。近年、筋電信号に比例した強度で電気刺激を行う随意運動介助電気刺激療法(Integrated Volitional Control Electrical Stimulation:IVES)を可能とする医療機器が開発されています。手が麻痺している方のわずかな筋電信号を機器が検出し、その信号に比例した電気刺激を同じ電極にリアルタイムに出力します。ユーザーが弱く筋電を出せば弱い電気刺激を、強く筋電を出せば強い電気刺激を出します。筋電検出と電気刺激を同時に同じ電極から入出力するので、より正確な運動学習が期待できます。WILMOはこのIVES療法の原理を用いた医療機器です。
―なるほど。そうしたIVES装置の中で、WILMOの特長はどういったことでしょうか?
三宅) まず1つ目の特長は「もっとスリムに」です。随意筋電位を検出できる薄型電気刺激回路を搭載しており、袖口に収まるほどの小型化を実現しています。厚み14.5mm、重量55gと小型・軽量ながら最大8時間駆動します。
―すごいですね。
三宅) 次に「もっとシンプルに」です。操作ボタンを3個にしぼり簡単な設定操作を可能にしています。また、複数電極を1枚のパッドに収め、電極の最適位置の探索を簡易的にしています。治療前に複雑な設定や電極の貼り直しで時間がかかることが少なくなることを期待しています。
―いいですね。
三宅)3点目の特長は「もっと身近に」です。腕時計感覚で日常に寄り添うデザインにこだわりました。もっと身近にリハビリに向き合える機会になればと思い、I will move「私の意思で動く」、more/motto「もっと」、motive/motivation「きっかけ/モチベーション」からプロジェクトチームで命名しました。京都発のウェアラブル医療機器として、多くの方のお役に立てれば、と思います。
―素晴らしいですね。開発にどのくらいの時間を要したのですか?
三宅) 約3年ですね。ヘルスケア部門の立ち上げ時は私一人でありましたが、この間、リハビリ・介護/看護関連における 医療機器の開発および製造販売できる体制作りを進めてきました。この「WILMO」の上市を契機として、患者様のQOL(Quality of Life)向上により一層貢献していきます。
ますます楽しみですね!
(掲載日:平成28年1月12日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社エスケーエレクトロニクス(外部リンク)事業開発室の三宅担当部長様にお話をおうかがいしました。
―まず、フォトマスクについてご説明をお願いします。
三宅) 液晶パネルや有機ELパネルなどのフラットパネルディスプレーを製造する際に必要な電子部品の回路パターンを転写する際の原版のことで、構造は、簡単に言えば写真のネガフィルムのような物です。フォトマスクの素材は概ねガラスが使用されており、中でも当社は最高品質の合成石英ガラスを使用しています。当社のフォトマスクは、液晶テレビをはじめ、PCモニター、ノートPC、スマートフォンやタブレット端末、従来のハイビジョンテレビより高精細の映像を見ることができる4Kテレビ、また、超薄型で折り曲げも可能な有機ELディスプレーやスマートフォンに見られるタッチスクリーンパネル、その他電子デバイス等幅広く対応しています。
―御社のフォトマスク製造の特長は何でしょう?
三宅) 業界初・世界唯一の第10、第11世代(ガラスサイズ2800×3000以上)向けフォトマスク製造が可能です。フラットパネルディスプレーの大型化、高品位化に伴い、フォトマスクも大型化、高精細化が進み、1m角を超えるガラスに線幅数ミクロン(μm。1μm=1/1000mm)という高精細なパターンの形成が求められる中、当社は独自の描画・プロセス技術によって、高精細なパターンをサブミクロンという極めて小さな誤差の範囲内で形成することができます。
―「大型」対応の難しさはどういったものですか?
三宅) まず、莫大な設備投資が必要となります。24時間体制の厳しい品質管理と環境負荷対策を厳重に行える設備が不可欠で、クリーンルーム内は工程にあった最高グレードのクリーン度を保たなければ製造ができないからです。次に、真っ直ぐにフォトマスクのパターンを描く技術が必要です。その精度の高さは、全長約2kmの線を起点から終点へ1mm以内の左右のずれに留めて引くのと同等のレベルが求められます。
―他にもいろいろされてらっしゃいますね。
三宅) フォトマスクに続く柱となる新たな事業開発を行っています。RFID(ICタグ)については、これ自体は既に世の中にたくさんありますが、当社はミクロンサイズを開発し、蟻などの小動物研究、医療機器をはじめとする様々な物のトレーサビリティ等に活用可能です。
―それはすごいですね。どうして、そのようなチャレンジングなことに数多く取り組めるのですか?強みはどういったことでしょうか?
三宅) そうですね。まず、前身の株式会社写真化学から分社して15年あまりの新しい会社ですが、以前より積極的に新しい技術を採り入れる風土があり、技術職社員の平均年齢も若いです。次に、水平分業により他社と協業するスタイルを採っています。市場の声をサプライチェーンと共有することで、顧客ニーズにあったオリジナルの素材の開発を一緒に行っています。
―ヘルスケア分野で他に取り扱ってらっしゃるものはありますか?
三宅) ZellaMed 聴診器/打診器(医療機器)があります。この製品はドイツの職人が1本1本手作りし、確かな品質で製造されています。特徴はカラフルでユニークなデザインです。本国ドイツでも子供たちに愛されている製品で2015年6月より販売開始しました。
また、医療機器の自社製品開発も進めています。
ベンチャー精神とオープンイノベーションに積極的な同社の発展が、ますます楽しみです。
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