ここから本文です。
知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年9月27日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
SEW-オイロドライブ・ジャパン株式会社(京都工場:精華町)京都オペレーションセンターの井手支配人にお話をおうかがいしました。
―京都の中小企業さんの参考に、お話をお聞きしたいと存じます。まず、事業の概要から教えてください。
井手) グループ全体ではドイツに本社があり、48カ国に79の組立工場を有する、一般産業設備用のギヤ減速機・ギヤモータのトップシェアメーカーです。自動車工場、食品工場その他の製造ライン、製鉄所の製鉄ライン、物流クレーンや立体駐車場、劇場の緞帳の上げ下げ、遊園地の観覧車など、様々なところで当社製品が活躍しています。
―すごいですね。生産体制はどうなっていますか?
井手) 歯車やモーターといったコア部品については、本社のあるドイツの工場で「集中生産」をし、組立は各国の工場で「分散組立」を行っています。「集中生産」は、品質の安定、大量生産による低コスト化というメリットがあります。「分散組立」には部品の在庫が必要なわけですが、通常10個の歯車を組み合わせて10通りのものを作ることができるとしますと、当社では、80年も昔から「モジュールシステム」という特許手法で、10個の歯車で30通り、40通りの組み合わせを創出できるため、部品の在庫も最小限にとどめることができます。こうした在庫管理により短納期も実現できます。
―素晴らしい。受注管理、在庫管理、部品管理、生産管理などのシステムも各国工場と本社でつながっているのですよね?
井手) はい。ドイツ本社とVPN専用回線で結び、受注に応じて部品を補充するわけですが、船便や航空便で本部から大量に届いた部品が、どこに入っているかすぐにわかる「ホットボックスシステム」により、以前は人海戦術で部品を探していたのですが、急いで取り掛からねばならないものから取り掛かることができるようになりました。また、組立作業をストップウォッチで測ってそれをデータとして本部を介して情報共有しますので、良い意味で79工場間の競争も起こり「カイゼン」が進んでいます。磐田本社工場も、この数年間で30%生産効率が上がりました。京都でも同様の目標を掲げ、終わりなきカイゼンに力を入れていきます。もちろん、シリアルナンバーで、販売した製品のトレーサビリティーもできますし、お客様が輸出された世界中の国々のSEWで京都での制作詳細内容がドイツのサーバーを介して瞬時に確認できるシステムを設けています。逆に世界中から輸入されたSEW製品の制作内容も京都で確認できるようになっています。
―さて、外注される際に、中小企業に求めることはどういったことですか?
井手) 図面を通してアイデアも出して頂き、見積もりをお出しいただけるとありがたいです。また、当社の標準部品に対して、加工を行っていただけることも重要です。そして、検査まで行ってくださると助かります。あとは、提案をしてくださるところです。
―「けいはんな」に立地されて良かったところは?
井手) 部品の搬送に必要な港や空港が近いですし、ドイツからのお客様が多いので、ホテルがあるのも助かります。組立ラインも自分たちで作ることが多いのですが、DIYショップやスーパーがあるのも助かります。また、小型製品を中心にしている磐田工場と、大型製品を中心にしている京都工場という違いはありますが、受注が集中した際にはお互いに人材を融通し合うこともあり、磐田と距離が近いことも良かった点です。
―それにしても、美しくおしゃれな工場ですね。
井手) 私自身が基本デザインを作り、プロデザイナーにたくさんの意見を出して頂き、時間をかけて仕上げました(笑)。工場は四方に窓を設けることで風通しを最大限よくしました、外国のお客様もよくお見えになるので、エンタランス付近は、伏見稲荷の鳥居や薬師寺の回廊を意識してみたのですが、結構評判が良いんですよ。
我々がとても学ぶべきことの多い企業様です。今後の発展がますます楽しみですね。
お問い合わせ