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サムコ株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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「アクアステリ」

(令和4年1月28日、ものづくり振興課 足利)

アクアステリ

 

サムコ株式会社(外部リンク)(京都市)がこのたび開発された装置「アクアステリ」(京都府・京都産業21「新型コロナウイルス感染症対策技術結集事業補助金」活用)。
これは、真空状態の処理室内に水蒸気を導入し、処理室内でプラズマ化された水蒸気から発生する「ヒドロキシラジカル」の持つ非常に強い酸化作用により除菌・ウイルス不活化を行うもので、様々な特徴を有します。

  • 処理の原料は安全性の高い水蒸気
  • 大量のヒドロキシラジカルを発生させる独自のプラズマ機構(処理時間:30分~60分)
  • 100Vコンセントのみで稼働するオールインワン(外形寸法(mm):470(W)×780(D)×1550(H)、重量(kg):250)

(注)研究開発したもので管理医療機器の承認は得ていませんが、過酸化水素低温ガスプラズマ減菌用バイオロジカルインジケータで効果の確認を行うとともに、不織布マスク上のレンチウイルスを不活化することを確認して国際学会「micro TAS2021(外部リンク)」で発表しています。

 

サムコ株式会社(外部リンク)(京都市)では、本装置の事業化(生産や販売など)を希望する京都府内の事業者様を募集しています。お問い合わせは「サムコ株式会社 ヘルスケア開発室(メール:healthcare@samco.co.jp)」まで。

 

薄膜技術のリーディングカンパニー

(掲載日:令和2年6月29日、ものづくり振興課 足利、小高)

企業理念

サムコ株式会社(外部リンク)(京都市)の代表取締役会長兼CEOの辻様と代表取締役社長兼COOの川邊様にお話をおうかがいしました。

化合物半導体×薄膜=グルーバルニッチトップ

--京都府・京都産業21新型コロナウイルス感染症対策技術結集事業補助金」に「水蒸気プラズマを用いた滅菌器の製品化」というテーマで取り組んでいただくこととなりましたが、その紹介は開発後に別途と思います。今回は、改めて会社の紹介と、ベンチャー企業としてスタートされて2014年には東証一部上場を果たされるまでに成長された秘訣を、一言で語れないのを承知で、お聞きしたく存じます。

辻)当社は、1979年に設立し、現在従業員約180名で、CVD装置・ドライエッチング装置・ドライ洗浄装置等の半導体等電子部品製造装置の製造を行っています。研究開発した暁の量産においてはセミファブレスと言いましょうか、外部の協力企業に任せ、当社で検査し、販売は直販というスタイルです。

事業所風景

--半導体製造装置も、様々ございますが。

辻)半導体製造装置業界には、シリコンを材料とした半導体製造装置を販売する企業は多く存在しますが、当社は、まず、全半導体製造装置市場の中でも、10パーセント程度の市場ですが成長が期待できる窒化ガリウム(GaN)、ガリウムヒ素(GaAs)や炭化シリコン(SiC)などの化合物半導体製造装置に特化しています。

--化合物半導体ですか。

川邊)化合物半導体は、複数の異なる元素を組み合わせて作ることで、シリコンのような単元素の半導体では実現できない特性を得ることができ、元素の混合比を変えることによって特性を調整することができ、シリコンと比べて、高速で動作する、高い耐熱性、低消費電力、発光するなどの優れた特性を持っているものもあります。スマートフォンの高周波デバイスやレーザダイオードの材料として利用されており、ノーベル賞受賞で話題となりました青色LEDの製造にも当社の装置が使われていますね。

化合物半導体

--おお!

辻)さらに、「薄膜」を中核技術とした、材料開発と最先端のプロセステクノロジーの開発に注力してまいりました。薄膜用途は環境分野や医療分野など将来的にも無限の可能性を秘めています。

薄膜技術展開

CVD装置、エッチング装置、洗浄装置、そしてライフサイエンスへ

--具体的な製品としては、CVD装置、ドライエッチング装置、ドライ洗浄装置等とのことですが。

川邊)まず、CVD装置とは薄膜(はくまく)形成装置の一つで、半導体の表面に10nmから1000nm程度の薄い膜を堆積する装置です。薄膜を形成することで、半導体を水やほこりなどから守ります。また、電気を通さない絶縁膜を形成したりします。薄膜の防水性や絶縁性は、半導体の特性や安全性に大きな影響を与えるため、薄膜の品質は非常に重要なものです。薄膜の原料としてさまざまな種類のガスが使用されていますが、薄膜形成にはこれらのガスに化学反応を起こさせる必要があり、その手段として「熱」「光」「プラズマ」などが利用されています。当社ではプラズマを利用したCVD装置を製造しており、熱や光と比べて、比較的低温で細い溝の中に成膜することが可能なため、オプトエレクトロニクスや電子部品分野で数多くご使用いただいております。

--なるほど。

川邊)また、ドライエッチング装置とは、半導体に精密な凹凸を形成するための装置です。100nmから1000nm程度のごく細い幅で、深い溝を彫るなどの緻密な加工が可能です。薬液に浸けて加工を行うウェットエッチングに対して、プラズマを利用したガスによって加工する方法をドライエッチングと呼び、半導体の高集積化にドライエッチング装置の微細加工技術は必須の技術となっています。ドライエッチング装置の中でも、ガスに高周波をかけてプラズマ化し、イオンやラジカルで半導体を加工するRIE(反応性イオンエッチング)装置、さらに微細な加工が可能なICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置を製造しています。当社のドライエッチング装置は、半導体をより高性能化していくための研究用途や、高周波フィルタや高周波デバイス、次世代パワーデバイスの生産用途など、多くの現場でご使用いただいているのです。

--おお!御社は、プラズマドライクリーナーによる表面処理もお得意だと聞きました。

川邊)プラスチックパッケージや各種基板の表面洗浄や改質、アッシングでも当社装置が使われますね。

--そうなのですね。

川邊)ドライ洗浄装置についてですね。スマートフォンやウェアラブル端末に搭載する半導体や電子部品の小型化・集積化が進んでいます。多くの機能を一つのチップに組み込むために、3次元構造やインターポーザを用いた2.5次元構造が採用されてきています。小さく複雑になるチップを洗浄するために、これまでとは異なる高度なプラズマクリーニングが求められています。半導体デバイスの製造工程は、ウエハを処理する「前工程」とチップをパッケージに組み込む「後工程」に分かれています。プラズマクリーニングは従来、「後工程」の電極を金属ワイヤで接続するワイヤボンディング前の洗浄や、樹脂でICチップを封止するモールディング前の改質に用いられてきました。しかし、チップが微細化・集積化してきているため、ウエハレベルで均一性の良いプラズマクリーニングが必要になってきました。スマートフォンやウェアラブル端末に限らず、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)といった新しいテクノロジーのトレンドは、デバイスの小型化・集積化をさらに加速します。それに伴い高度なプラズマクリーニング工程の要望は増えると予想されます。当社は、薄膜技術のパイオニアとして、こういった新しい潮流に対して最適なソリューションをご提供しています。

3種類の商材

--なるほど。

辻)そして、これらCVD装置、エッチング装置、洗浄装置といった三大製品群に次いで、ライフサイエンス分野を"第四の柱"を確立しようとしているところです。

成長の秘訣は、常に技術研究あるのみ

--さて、ベンチャーとして飛躍された秘訣について、その一端だけでもお尋ねしたく存じます。

辻)技術の会社として、「世の中にないものを作り出す」ということに尽きます。当社は、最先端の薄膜形成装置を世界中の研究者と技術者に提供し、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念として発展してきました。そして、この理念を支えるのが「勇気、創造、勤勉」の精神であり、全社員に共通の行動指針として浸透しております。こうした「どこが違う」「何が違う」と、常に研究し続けているのです。

社員の精神

--研究開発費も多いのですか?

辻)全体の7%くらいでしょうか。しかし、この数字自体は特別なものではありません。短期ではなく、5年や10年の長期的なテーマが重要です。

--なるほど。

辻)しかし、それでいて「目利き」を効率的に行わねばなりません。目利きできるためには、コンスタントに技術を勉強しておかねばなりません。

--そうしたことが、学術論文も200件以上といったことにも繋がってらっしゃるのですね。

辻)また、常に海外も見てきました。シリコンバレーに拠点を構えた国内最初のベンチャーじゃないかと思います。

京都の地価が高いというデメリットと大学があるというメリットを活かせ

--京都のメリットはありますか?祇園が顧客を招くのに良いというお話をされたということもお聞きしたことがありますが。

辻)そうでしたかね(笑)。まず1つは、京都は、地価が高いということがありますね。皮肉ではなく、地価が高いから、必然的に付加価値の高い仕事をしなくてはならないということがありますね。

--なるほど。

辻)2つ目は、情報がとれるということ。京大をはじめとする大学、科学研究のリソースが豊富にあります。実際京大で研究をいたしましたが、それだけではありません。私どもは、ガレージでスタートしたベンチャーです。しかし、大学という第三者にきちんと評価してもらえれば、信用力が格段に上がります。「オンリーワンの技術だ」と自分たちで言うのとは雲泥の差になるわけです。大学はある意味大変正直に評価されますから。

成長の変遷

--そうなのですね。

辻)それに、補助金もよく活用させてもらってきましたよ。補助金を獲得すれば、より真剣度が高まりますし、短期で結果を求めるようになります。

--ありがとうございます。

辻)逆に、新たな薄膜技術分野へ挑戦する次世代の研究者、学生、技術者の研究開発に対し助成、顕彰を行うため平成28年4月1日に財団を設立し、平成29年度より毎年助成金を贈呈しています。広く世界に通用する基礎・応用研究及び人材育成に支援することを願っており、薄膜事業に関連する新事業、新分野をいち早く立ち上げさらに社会に貢献していきたいと考えております。

 

今後の展開が楽しみですね。

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp