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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成30年8月9日、聞き手・文:ものづくり振興課 倉橋)
オリオン株式会社(京都市) 営業部の上西様にお話をお伺いしました。
まずは御社の概要を教えてください。
上西) 当社は、オリオンゴム商店として1928年に創業しました。初期には京都市内の大学や企業を顧客として化学分析や研究等に用いられるゴム製品を主な商材として取り扱っておりましたが、取引先の拡大とともに取り扱う商品も増加し、現在では工業・医療・理化学用品の専門商社として事業を行っています。
専門商社とのことですが、どのような顧客がいらっしゃるのでしょうか?
上西) 当社は基本的にはB to Bの業態であり、皆さまもよくご存じの京都市内の大手ものづくり企業様と広く取引をさせて頂いております。中には、創業当初から重用頂いているような企業様もいらっしゃいまして、現在でも重要な取引先の一つとなっています。このように、取引関係が1世紀近くも続くような関係性は京都ならではかもしれませんね。
メディカル事業部もお客様との関わりの中で事業部を立ち上げられたそうですね。
上西) はい。もともとお客様が製造販売されていた蓄尿検査装置について、およそ10年前に他社への事業譲渡がありました。これを契機に当社が販売総代理店となったことから新たにメディカル事業部を立ち上げ、既存ユーザーである病院様のサポートから装置の販売までを一貫して対応できる体制を整備しました。
なるほど。
上西) しかし、昨今ではより簡便な検査方法への移行が進むなど、当社の手掛けるタイプの検査装置への需用も頭打ちになりつつありますので、引き続き検査装置の販売・メンテナンス体制は維持しながらも、新たな商品の取り扱いを積極的に進めております。
現在はどのような商品を扱っておられるのでしょうか?
上西) 現在の当社のラインナップは、徘徊防止システム、耳道光照射機Valkee2シリーズ、超音波頸動脈血流モニター「FURUHATA」、離床センサー「安心プレートセンサー」の4種を扱っています。この中でも超音波頸動脈血流モニターと離床センサーは、特に力を入れて展開している商品となります。
それでは、まず超音波頸動脈血流モニターについてお聞かせ下さい。
上西) はい。この超音波頸動脈血流モニター「FURUHATA」は脳梗塞などの原因となる「栓子」を検出するための検査装置です。従来は、ヘッドギア型の装具を用いた経頭蓋超音波ドプラ(TCD)方式で「栓子」の検出を行ってきましたが、頭蓋骨に厚みのある日本人では相当に熟練していないと正確な検出に時間を要し、脳梗塞リスクの正確な判定手段としては、普及していないというのが現状です。この「FURUHATA」は、頸部にプローブを貼り付け超音波の位相差を分析することで「栓子」検出が行えるため、頭蓋骨の厚みの個人差や施術者の熟練度などに影響されることなく、幅広い皆さまの脳梗塞リスクの分析に役立ちます。
もう一つの離床センサー「安心プレートセンサー」についてはいかがでしょうか
上西) この「安心プレートセンサー」は、圧力センターを2枚の板で挟んだ形状をしており、マットレスの降り口付近に設置することで、被介助者の離床時の圧力を感知して、離れた場所にいる介護者にアラームで知らせるというシンプルな機構となっています。これまでにも、多様な機能を持った離床センサーが販売されていますが、いずれもかなり複雑な機構を持っています。そのため、日常的な離床動作の繰り返しによって、内部の配線が断線するなどのトラブルが多いということをお客様からお聞きしますが、本商品は機能を絞り、結線部や構造を敢えて簡素化したことで、介護をされる方が、長期的に安心してお使い頂けるところが最大の特徴です。
いずれも構造や仕組みに特徴のある商品を取り扱っておられますね。
上西) そうですね。やはりお客様にPRする場合に、これまで出来なかったことが可能になったり、煩雑な作業が簡素化され、楽になったというような驚きを感じて頂くことを考えておりますと、結果的に技術面で特徴的な商品が揃うことになりました。このようにお客様のご要望に応えたり、当社の想いを含めた独自のラインナップを組み立てられることが、私たち商社の強みと考えております。
今後の展開についてはいかがでしょうか?
上西) 超高齢社会を迎え、医療や介護を必要とする人が今後も増加することが見込まれていますが、それを支える医療職や介護職の人材の確保は十分ではない状況が続いていくものと考えています。その中で、医療・介護に携わる職員の皆さんが、当社の商品をお使い頂くことで負担軽減に繋がるようラインナップを充実させたいと考えています。
さらに、インターネットの普及により誰もが医療や福祉に関する機器の情報を手に入れることが出来るようになりましたが、その情報の質は様々なものがあり、誤った情報を原因として健康被害が起きるなど社会問題にもなっています。当社としては、商品を扱うプロとして本当に信頼のおける情報を、お客様に提供できるようにこれからも努めていきたいと考えております。
これからの発展がますます楽しみです。
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