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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和2年2月25日 ものづくり振興課 足利)
「ロボットサミット2020」(主催:京都府、綾部市、京都工芸繊維大学、会場:北部産業創造センター)にて、今回も大人気だったのが大槻ポンプ工業株式会社(綾部市)の「テストセンセイVR」。
火も水も使わず安全で、室内でもお手軽に、しかも何度も繰り返し消火訓練が実施できるスグレモノです。他県で過去に、消火器の訓練中に事故が起きたことから、京都工芸繊維大学らとともに共同開発されたものです。
ルームスケールでの利用に適したVRプラットフォーム「HTC VIVE」を活用されています。すなわち、自分の「位置トラッキング」は、ヘッドマウントディスプレイ内蔵センサーが、環境側(想定するルームエリアの対角線)に設置された2台の赤外線発光器の赤外線を捕捉する方式です。また、消火器に「コントローラ」を内蔵することで、消火器の位置を把握させるという工夫がなされています。
(掲載日:平成28年8月9日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
大槻ポンプ工業株式会社(綾部市)の大槻社長にお話をおうかがいしました。
―まず、事業の概要を教えてください。
大槻)大正12年に創業し、蒸気ポンプ・腕用ポンプ・軽便消火器・噴霧器の販売を開始しました。現在の事業内容については、まず1つは消火器・消防機械器具の販売です。次に消防用設備等の工事・整備・保守点検です。3つ目として各種消防ポンプ・積載車・消防車の製造販売です。そして最後に消防関連の新商品開発です。
―大変多岐に亘ってらっしゃるのですね。
大槻)はい、自社で不便だと思うことをカタチにしたり、お客様から「こんなの作れないか」とお求めになるものに対応してきた結果です。
―消防用積載車の製造とは珍しいですね。
大槻)昔は、消防ポンプ自動車を製造していましたが、現在では、積載車は自社工場で製造し、消防ポンプ自動車は、昔から提携している関東メーカーに製造を委託し、関西営業所として、各地市町村の消防局・消防本部や空港、化学コンビナートなど民間企業等にも納入しています。先日もプルービンググラウンドで走行テストを行ってきたところです。
―迫力ありそうですね。消防車って全国一律ものではないのですか?
大槻)違うのです。市町村ごとにも違うと言いますか、違いを求めてらっしゃいます。例えば、京都北部では寒冷地仕様になりますし、箱型でポンプや資機材をシャッターで覆いたいとお考えの消防局・本部があれば、逆にそうでないところもあります。あるいは、日本海に近い雪国であれば、錆びにくい工夫が必要なのです。
―なるほど。そういう中にあっても比較的全般的な最近の傾向のようなものはありますか?
大槻)そうですね。やはり、LED化などの省電力化、省力・軽量化という流れはあると思います。近年、自然災害も多く発生し、消防車も多くの消防用資機材を積載するようになってきました。艤装に使用する材料も昔は重たい鋼板製でしたが、軽量化でステップ等はアルミに代わり、FRPなども使われ出したりしています。作動には、省力化として手動から電動や油圧になったりしてきています。
―難しいところはどういったことですか?そして、どんな工夫をされていますか?
大槻)地域ごとはおろか、1台1台違うところです(笑)。お客様が求めてらっしゃる内容を元に設計・提案しますが、例えば、水害が多いようなところでは資機材や土嚢を積むスペースの確保や、積んでいる資機材や土嚢が雨に濡れないような工夫だとか、きめ細かに配慮するなど工夫しています。塗装は外注ですが、調達した台車・部材を本社工場で加工・組立・検査をしています。
―人材育成が重要ですね。
大槻)27名の会社ですが、多くの社員が様々な資格を保有しています。単に研修に行くだけではなく、電気工事士、消防設備士など、資格をとるところまで勉強するように勧めてきました。お客様の求めに応じ何でも総合的にやってきましたから、古物商許可なんかも保有しています。
―最後に、今後の展開などはいかがでしょうか?
大槻)もう1つ何か新しい事業分野を作っていきたいと考えています。当社は製造、設計施工、販売と幅広く行っていますので、例えば何か新しいサービス事業の開発ですとか、海外との取引ですとか、どんどん新しいものに挑戦していきたいと思っています。
今後の展開がますます楽しみですね。
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