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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和3年1月20日、ものづくり振興課:足利・石飛)
株式会社OKファイバーテクノロジー(外部リンク)(精華町)の創設者・技術顧問の岡様と、代表取締役の皆川様にお話をおうかがいしました。
--まず、御社の概要をおしえてください。
皆川)平成25年創業で、複合型光ファイバーの開発、それを用いた医療機器・システム等の開発を行っています。
--複合型光ファイバーとは、どういったものですか?
岡)例えば、一般的な内視鏡ですと、レーザー伝送用光、画像伝送用、照明用などの光ファイバーが別々になっていますので、内視鏡の直径は3mmとか10mmとかになるわけですが、複合型光ファイバーは、そうした異なる用途の光ファイバーを、束ねて一体同軸化したもので、それによって直径1mmや2mmといったような極細を実現したものです。また、見ている真ん中にレーザー照射可能なので、ズレが生じません。
--ほう!
岡)一例を挙げれば、直径0.1mmの太めのレーザー伝送用光ファイバーの周りに、直径4~5ミクロンの細い光ファイバー約9,000本束ねたものが画像伝送用光ファイバーです。さらにその周りに、直径50ミクロンの照明用の光ファイバーを300本程度束ねて一体同軸化しています。
--様々な太さの光ファイバーがあるのですね。画像伝送用は、細い光ファイバーで、まるで画素数のイメージですね、なるほど。逆に太いと光の強さが大きくできるのですか?
岡)そうですね。ただし光源にもよりますね。太さ、素材、配置など用途に応じて様々なものを開発していますよ。
--なるほど。素材もいろいろなのですね。
皆川)これなどは柔らかいと思います。
--おお!!たしかに、柔らかい!種類によって違いますね!用途によって違うということですね。産業活用なども?
岡)そうですね、例えば狭い配管の検査や、狭い箇所でのレーザー溶接等が可能になります。
--いいですね。医療での治療等でも?
岡)もちろんです。患部をレーザーで焼灼するといったことですね。
--おお!
岡)装置そのものも作っていますよ。
--そうなのですね。
岡)また、こうした患部の焼灼や、血管バイパス手術などのための血管壁切断といったこともありますが、もう少し広い範囲に光を照射することもあります。例えば、マーカーとなる薬剤を反応させる波長の光を広く照射することで、患部を特定するといったことですね。
--そうした様々な波長など光の特性と医療分野への展開の知見、ノウハウや、装置開発までされるハード・ソフトの技術など、複合型光ファイバーを支える知見・ノウハウ・技術が御社の強みなのですね。
岡)そうですね。異なる光ファイバーを束ねて一体化すること自体も、できるところは限られているのですが、そうしたことは、真似をしようとすればできるかもしれませんが、おっしゃったとおりですね。
--どういうバックグランドでらっしゃるのですか?
岡)どこから話せばいいかと思いますが(笑)、学生時代は、ロボットを開発していました。無重力の宇宙空間で動くロボットとかです。例えばロボットアームでワークを加工するにも、無重力状態では難しいわけです。その後、日本原子力研究開発機構で、核融合実験炉のメンテナンス用ロボットを開発し、さらに、1999年に起きたJCO事故をきっかけに、原子力事故時対応のための遠隔操作ロボットを開発していました。
--そんな以前から、最先端のロボットをお作りになっていたのですね!
岡)しかし、数年後、日本では「原発事故は起こらないので事故対応ロボットの開発は不要」と決定され、原子力事故時対応ロボットの研究開発が打ち切りになってしまったのです。ですが、その10年後に東日本大震災が起こってしまいました。
--ええ!?開発されてきたロボットがあれば、どんなに役立ったか、ということですね。
岡)実際、そういうお声をたくさんいただきましたが、決まりで廃棄してしまってましたので・・・。
--そうなのですか。
岡)はい。それで、次は、医療の分野に進んだのです。もともと、私がやっていたロボット開発は極限環境下で動作することが重要でした。また、ロボットというのは、システム化が重要なんです。想定された環境条件下で、適切なモータやセンサ、駆動用電源などと、頭脳となる高度な電子機器を搭載した制御部分を組み合わせ、バランスよく構成する必要があります。そこから学んだ知識と経験は医療に応用できるのではないかと考え、最先端の医療機器の研究開発を進めました。そのうちに、トロント大学と繋がり、そこで私たち自身も、実験用動物を使って開発をさせていただき、そこで、柔らかい光ファイバーなども生み出すことができました。トロント大学の医工連携は素晴らしいですね。病院施設内に動物専用のMRIやCTスキャンなど豊富な実験器具が揃っている実験エリアが併設されており、世界各国の優秀な研究者が研究開発できるようなになっていますし。
--そうなのですか。
皆川)私たちにラッキーだったのは、日本人研究者もたくさんいらしたので、日本人ならではの良い「塩梅」でコミュニケーションが取りやすく、細かい点の調整は日本語でやりとりできました。
--そういった積み重ねをなさってこられたのですね。今後の展望はいかがでしょうか。
皆川)いよいよ薬事関係にも着手していける段階に来ました。そして、世界に打って出たいと思っています。
今後、目が離せませんね!!
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