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小川食品工業株式会社(京都企業紹介)

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京たけのこ、京野菜、国産「こめ油」

(掲載日:令和2年3月12日、ものづくり振興課 足利)

筍こめ油

小川食品工業株式会社(外部リンク)(長岡京市)の小川修司代表取締役社長にお話をおうかがいしました。

日本で一番高く売り、高く買う

--こめ油や筍の製造販売、野菜卸など幅広く手掛けてらっしゃいますね。

小川)1927年創業の当社が、これまで生き残ってきたのは「こだわり商品」があったからです。

--と、おっしゃいますと?

小川)例えば筍についても、営業担当者らには「日本一の商品やから日本で一番高く売れ」と言っています。その代わり、農家さんからも高く買います。

--ほう。

小川)「生筍」のほか、皮付きのままゆがいた「氷詰め筍」、冷凍した「冷凍筍」「高温殺菌筍」、そして「缶詰筍」など、あらゆる形態のものを製造していますが、素材は「西山丘陵産」を中心とした「京都産」がほとんどです。府外のものと言っても、西山丘陵に続くお隣の大阪府島本町産で高品質なものばかりです。

石像
長岡京市は孟宗竹発祥の地

--なるほど。

小川)よって、食品表示法の改正等の動きよりも随分以前から、当社ではブランドの維持のために、監査体制をしっかり組んできていまして、産地による産地証明だけでなく、当社独自で裏書きをしています。おかげで業界の中では、「筍のことなら小川に聞け」と言ってもらっています。

--そうなのですね。

小川)エンドユーザーは高級料亭さんらであり、「皮付きのものがほしい」というニーズや、筍は春しか収穫できませんから、缶詰以外で鮮度保持してお使いになるニーズなどにも応えています。

--料亭さん、ということは、今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が直撃されてるわけですよね。

小川)そうです。お気の毒です。しかし、それでも当社は、値打ちあるものですから高く売ります。安くはしません

京都の筍を守る

--それはどうしてでしょう?

小川)農家さんを守るため、これに尽きます。私どもは農家さんとともに「京都」というブランドを守って商売をしてきました。だからこそ京都の農家を守っていかねばなりません。「西山丘陵産」「京都産」の筍を育てるには、竹林の維持管理が大変です。それに、鬱蒼とした竹林ではなく一本一本の間隔も広めですから、台風などでの被害も受けやすいです。そして収穫時期には、筍が地面から少しでも顔を出すともう価格が下がってしまう、というくらい繊細で難しいです。ですから、筍農家を続けようという方がいよいよ少なくなってきています。私どものスタッフも維持管理のお手伝いせてもらいますが、収穫、つまり掘ることは、できません。地面から顔を出していない筍を掘るのは、熟練の農家さんでなければできません。

竹林

--需要が減ってきているということもあるのでしょうか。

小川)そうですね。昨年などは不作であったにも拘わらず、全国的には売れ残った感じです。京都の筍だけはそういうこともなく売れましたが。

--そうなのですね。

小川)近頃は、ご家庭でお正月に煮しめを炊くといったことが少なくなり、お節料理をセットの形で百貨店や通販等で頼まれるケースが増えてきたと思いますが、そうなると、中に入っている筍の産地等はもはやどこのものか分かりませんし、こだわられません。例えば中国産のものなどもよく使われていると思います。中国産は昭和60年頃から日本に入ってくるようになりました。今では国内で出回る筍の95%以上は中国産ですよ。

--えっ、そうなのですか?!しかも昭和60年頃から数十年の間に席捲されてしまった?!

小川)中国では、竹は「竹材」としてしか使われていませんが「日本では筍として食すらしい」ということで、筍缶詰生産栽培が始まりました。最初は日本から教えに行っていたのですよ。私も誘われ、高給を提示され、多少心は揺れましたが(笑)、行きませんでした。恐らく当初は鬱蒼とした竹林に運搬用道路を作るといったことから始めたんだと思いますが、数年で日本産に近いレベルの品質のものを作るようになりましたね。しかし価格は中国の方が断然安い。

--そうだったのですか。驚きですね。じゃあ、今では中国でも筍を食べてらっしゃるのですね。

小川)いや、ほとんど食べてないですね。あくまで日本向けに栽培されてますね。

--ええー!

小川)京都産の筍の知名度もまだまだ高くないですし、私どもは、地道にその知名度アップなどに取り組まなければならないと思っています。

素材を引き立てる注目の国産油「こめ油」

--次に、こめ油についても教えていただけませんか。食用油は、脂肪酸(炭素、水素、酸素で構成)の種類によって、バター、ラードなど常温で固体の「飽和脂肪酸」の多いもの、オリーブオイルなど酸化しにくく悪玉コレステロールを除去する「オレイン酸」の多いもの、菜種油など「リノール酸」の多いもの、えごま油などDHA、EPAに変化し悪玉コレステロールを除去する「αリノレン酸」の多いものなど様々あるとお聞きしますが。

小川)それで言いますとオレイン酸、リノール酸がバランスよく入っているのが特徴ですね。ドレッシングなどに使われる油は「オレイン酸」が多く含まれていますし、揚げ物のからっとした食感は「リノール酸」が多く含まれることによるものですが、米油はその両方をバランスよく含んでいます。ですので、当社のこめ油は、大手食品メーカーの、ドレッシングやスナック菓子、和菓子等にも幅広くご利用いただいています。

こめ油商品 こめ油商品

--そうなのですね!

小川)油っぽくなくあっさりしていて、素材を引き立ててくれるものですね。近年は「油の機能性」に対しても消費者の方々の意識が高まっていますので、そういう意味でも注目度は高まっていますね。

--いいですね。

小川)しかも、「国産油」です。植物性の油が「食用」になったのは幕末や明治以降だと言われてまして、それ以前は、蝋燭とともに灯用としての主な資材でした。滋賀県から山城地域にかけて菜種の産地だったので、各村で菜種を絞っていました。当時は私どもも絞ってました。

--そうなのですね。

小川)こめ油は、発見は江戸時代ですが、石けんの原料として工業化されたのは昭和になってからで、食用については昭和10年代になってからです。こめ油の原料は、玄米を精米する時に発生する「米ぬか」で、そこに約20%の油分が含まれています。日本は、油脂原料のほとんどを輸入に頼っていますが、その中で「米ぬか」は貴重な「国産」の油脂原料です。

--こめ油は、どうやって作るのですか?

小川)まず、前処理工程として、エキスパンダーで、米糠を圧縮、ペレット状にします。圧縮することにより油分を原料表面に滲ませ、抽出効率を高めます。そして、抽出工程として、連続油脂抽出機にて油分を抽出します。

米ぬか エキスパンダー 連続油脂抽出機
左から米ぬか、エキスパンダー、連続油脂抽出機

--なるほど。

小川)抽出した油分については、蒸留処理工程、精製工程により、栄養分を残して、ろう分を除去し、「こめ油」ができあがります。

こめ油商品

--はい。

小川)一方、油分を取り除いた米ぬか(脱脂糠)は、油分を除いた後も食物繊維、ビタミンやミネラル等多くの栄養素が含まれていますので、「脱脂ぬか」として、配合肥料用、飼料用などとして提供します。

脱脂ぬか

--そうなのですね。

小川)大変なのは米ぬかの回収業務でして、当社でも何名ものスタッフで地道に行っていますよ。

京都の野菜も!

--そうなのですか。さて、野菜の卸もなさってるのですよね。

小川)農家さんとも、様々な料理屋さん、食品メーカーともお付き合いがありますので、顧客から「京都の野菜を」と求められることが多く、始めました。現在約70軒の農家さんと契約し様々な野菜を提供しています。

--いいですね。

小川)ぜひ、ご入り用のお店屋さん、企業さんがあれば、と思います。

 

 

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