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ナンバーナインワークス株式会社(京都企業紹介)

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「9台目」のクルマはアナログで!ものづくりサポート事業を展開するスタートアップ

(掲載日:令和2年6月25日、ものづくり振興課 木村、足利)

企業ロゴ

 

ナンバーナインワークス株式会社(外部リンク)(精華町)の藤墳裕次CEOにお話をおうかがいしました。

自動車メーカーと、サプライヤーの「間」を埋める

--そうそうたる自動車メーカーにいらっしゃったりと、すごいご経歴ですね。ホームページもなかなか愉快ですが、改めて何をなさっているか、教えてください。

藤墳)2018年6月に設立し、自動車メーカーと部品サプライヤーの間を埋める「ものづくりサポート事業」を行っています。

事業内容

--???

藤墳)例えば、部品加工屋さんや素材メーカーが、「もっとこの部分をこうすれば、自動車全体の軽量化に繋がるのに」「この新素材は自動車のここに使えるのではないか」と思っても、次期モデルを開発する設計者や製品企画などに直接PRできる機会や自動車メーカーのエンジニアが今困っていることを直接聞ける機会が少なく自動車メーカーへの売込みに苦戦することが多いですよね。一方、自動車メーカー側も、自社のクルマづくりの方向性を口外することは、そもそもありませんし、売込みを受けて対応したくとも、忙しくてどうしようもないということもあり、「現行品とコストが同等以下でいいものができたら持ってきてね」とならざるを得ない。

--仕方ない、ですよね。

藤墳)あるいは、大きな企業ですから、開発も分業されていて、それぞれスペシャリストとして深く掘り下げてやってらっしゃるのですが、その分「ボディフレームは知っていてもエンジンは知らない」といったことがざらにあって、クルマをトータルで見て対応するということがそもそも難しい体質になっています。

--エンジン車では部品が2万点とも3万点とも言われるくらいですものね。

藤墳)自動車メーカーの各エンジニアでさえ分業制で全体を俯瞰的に見る機会が非常に少ないので、部品サプライヤー等が、その部品や素材を使ったパーツを、自社で作って自分たちで車両に搭載して試してみようとしても、それは難しい。仮に部分的なパーツが作れたとしても、クルマ全体で最適化されるかは、分からないわけです。

--なるほど。

藤墳)パーツだけでは、評価も判断もできないので、だったら、クルマ丸ごと作る、または市販車を改造して車両に搭載して評価する、またコンセプトカーを作って自社のシステムを展示会で体感いただいてPRするといったことまでお手伝いするのが当社の役割です。

EVスポーツカー 開発風景

自動運転車、スマートモビリティ開発支援

--なるほど!!よく理解できました!

藤墳)ですので、たとえば、化学メーカーが軽量素材の活用について自動車メーカーと交渉する際に、後ろでサポートしたり、自社の強みとなる部品や材料を効果的に採用した研究開発車両を企画製作し、車載状態で自動車メーカーに体験いただくといったことですとか、「自動車メーカーからこの部品にこういう素材を使いたいと言われているが、その背景が分からない、だからどう改善していいのかも分からない」といった相談を受けて、自動車メーカーが説明してくれない真の要望の「通訳」をしてあげるといったこととかですね。

--はい。

藤墳)あるいは、「新しくモビリティを作りたい。しかし、ゼロから作るべきか、市販車を改造する方がいいか」といった相談を受け、モビリティやコンセプトカーを作るお手伝いをしたりといったことをしているのです。

--自動運転車の相談も多いのですか?

藤墳)多いですね。ラストワンマイルのスマートモビリティとかも。この分野は特に、新規参入が多いですから。

--なるほど。

藤墳)クルマづくりは大変困難を伴います。カネ、人、場所、サプライヤーネットワークなど、あわせ持っていないとできません。それを埋めあわせていくということです。

認知度、信頼- スタートアップの壁

--さて、日産、川崎重工、トヨタと、誰もがうらやむ企業の後は、GLM株式会社、そして今の会社を創業されたわけですが、もともと起業を志してらっしゃったのですか?

藤墳)いえ、全く(笑)。ただ、自分たちが「これがいいよね」と思うクルマ、「クルマっておもしろい!」と思うクルマ、そういった車を作りたい、それをするには、小さい会社でなくては、ということです。そう思って、GLMに入って、頑張って、大きくなってきましたので、そろそろ、また小さな会社に、ということで結果的に起業したわけです。GLMの皆さんには、引き続き助けてもらっていますよ。

--GLMにも初期の頃から参画されていましたし、その時代も含めての御経験上、スタートアップの良い点、逆にデメリットはなんでしょう?

藤墳)良いことは、時間に縛られず、自由に仕事ができることや、判断に時間がかからないことですね。デメリットとしては、認知度、信頼度の構築が大変だということですね。特に自動車は安全性が一番大切なので、信頼を得るまで苦労しました。

--技術が優れていても、知られていないと難しいのですね。信頼を得られたきっかけは?

藤墳)初期の2、3年は全く相手にされませんでしたね。「お前らには車は作れない」と、全然業界の方でも何でもない方にまで言われる始末でした。しかし、メディアに載ると、世間の目は急変しましたね。

自動車関係だけに「場所」は大きな課題

--そうなんですね。お1人でやられていてこれが必要だと思うものはありますか?

藤墳)1人といっても、様々な方々とチームで対応することも多いですよ、ただ、課題は、「場所」の確保です。自動車をいじるものですから。

--そりゃそうですね。

藤墳)しかも、開発中の自動車は作業している内容も、見た目も全て秘密なので、秘匿管理ができる閉ざされたガレージが必要です。

--そうなのですね。では、今後の展望についてはいかがでしょう?

藤墳)「おもしろいクルマ」「アナログなクルマ」を作りたいですね。今のクルマって、全部電子制御されてるんですよね。運転していて安定していると思っていても、実際は不安定だったりするのに。だから、もっと軽量化、アナログダイレクトなクルマを作りたいんです。そうすると、別にサーキットじゃなくとも、普通に道路を道路交通法に従って走っているだけでも、とても運転が楽しいものになります。1000人に1人はそういう人がいてもいいと思うのです。

--なるほど。

藤墳)日常での運転の楽しさを感じてもらえるようなクルマを作りたいのです。そのため、今、市販スポーツカーの軽量化について、実車で研究開発を続けています。

開発中の自動車 軽量化のための作業 部材検討

--そうして、いわゆる「9台目のクルマ」に繋がっていくわけですね。

藤墳)そうですね!

 

 

楽しみですね!!

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