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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年4月20日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成27年度知恵の経営企業、日産スチール工業株式会社(外部リンク)の西部社長にお話をおうかがいしました。。
—まずおうかがいしたいのが御社の社名の由来です。
西部) よく尋ねられるのですが(笑)、大手自動車メーカーとは全く関係はございません。私の父親が、昭和初期に働き始めた頃、同社の車に憧れ、どうしても乗りたいと、そのために一所懸命働き独立した折に夢を叶えたい一心で社名を日産スチール工業としたそうです。未だにかなっておりませんが、私にとっては夢を追い続けることを意味している社名です。
—ありがとうございます。すっきりしました(笑)。では、事業概要を教えてください。
西部) 主力は、スーパー、デパートのレジ台、関連製品等です。誰もがご存じの大手総合スーパー等と直接取引をしており、中には100%当社製のレジ代が導入されているなど、高い評価をいただいています。
—レジ台って、普通の机を置いているわけではないのですね。
西部) 当社製のものは、業界の人が見ればすぐ分かると思います。実はレジ台は、レジ打ちをするキャッシャーにとっては長時間使うものであり、お客様も必ず使用されるもので「お店の顔」的存在でもある、大変重要なものです。しかも、キャッシャーにとっては高さや動線によっては腰痛の心配もあったり、お客様にとってもキャッシャーの応対が気になったりと、大変難しい課題がはらむものなのです。そこで、当社は独自にビデオを設置しモニタリングしながら、例えば天板の高さや釣銭の受け口の形状などに工夫を凝らすなど、きめ細かな配慮を行っています。
—なるほど。では、関連製品にはどんなものがありますか?
西部) スーパーの袋が簡単に取れる「袋スタンド」や、ポリ袋を簡単に開くことができる「きりひらくん」、テンキーに被せるだけでレジ打ち込みミスを削減できる「ミスナイ」など様々ございます。
—おもしろいですね。
西部) 正直、よくコピー商品も出回ります。しかし、当社は価格競争ではなく付加価値力で勝負しております。見えないところにも様々な配慮、工夫を施すことで強度、安全性、使い勝手など品質が全く違います。
—業界のベンチマーク的な存在なのですね。どうして御社にはそうした配慮、工夫ができるのですか?
西部) 長年、客船や客車、客室の内装も手掛けてきており、そのノウハウが活かされています。それらは、限られた空間を広く利用してもらえるような配置をするとか、振動があっても音を出さないとか、揺れても引き出しが飛び出さないとか、様々な配慮、対応が必要です。また、材料も金属、木、樹脂など様々なものを取り扱います。こうしたノウハウの積み重ねにより、約25年前、今の大型店舗の先駆けとなった大手総合スーパーのベルトコンベア式レジ台の生産を落札しました。多くのスチールメーカーが入札参加する中で、採択2社のうちの1社として、大手と並んで採択されたのです。もちろん最初は大手を介しての下請けでしたが、やがて認められ、今では直接取引をしています。これをきっかけに、レジ台の業界に参入しました。
—しかし、内装についても同業他社も多くある中で、どうして御社には「きめ細やかさ」が身についてらっしゃるのですか?会社の経緯を教えてください。
西部) オイルショックが大きな転機です。それまではオフィス家具を取り扱っていたのですが、新たな仕事を求めて造船所を尋ねました。そこで、資金や部材のあまりかからない手間仕事を引き受け、取り付け作業などを倉庫の片隅、通路の端などで行いました。そして少しずつ自社製品づくりに取り組んでいき、例えば、船舶のチャートテーブルなど重要な什器を任されるようになりました。また、「来るもの拒まず」の姿勢で、内装などで同業他社が敬遠するような、レベルの高いデザイナーの要求にも応えているうちに技術力も上がってきたのだと思います。
—さて、今回開発された「フレッシュママ」とはどんなものですか?
西部) 特殊な加工をほどこした当社のビニール袋・技術のことで、野菜などを長期間、鮮度を保って保存することができます。
—どういうことですか?
西部) モノが腐る3要素として、1つはエチレンの発生により老化する、2つ目は水分がなくなる、3つ目はカビなどにより汚染される、その他急激な温度変化などがあります。フレッシュママは、エチレンガスを二酸化炭素と水に分解することで、二酸化炭素濃度が高くなり、食物の呼吸を抑制し細胞の老化を遅くする機能があります。
—様々なアイデアを社長が生み出してこられましたが、従業員の育成面はどうでしょう?
西部) 数年前から意識して取り組んでいます。今では従業員に企画提案をどんどん任せるようにしています。また3年前から海外研修生を受け入れており、日本人従業員も、より視野が広く、柔軟な考え方をするようになってきました。また、言葉や文化が違う者どうしなので、丁寧にコミュニケーションをとるようになり、ひいては、ものづくりも丁寧になり、品質クレームが激減するなど良い効果が出ています。
—本当に気配りを大切にされてらっしゃるのですね。
西部) 発注元からの指示がなくても、必要性の高い部材在庫の予備や資料などは必ず10年は保管しています。また、20年、30年前に作らせていただいたもので今は在庫がないものについては、断らずに改めてお作りします。せっかく当社製品をお買いいただいたお客様ですから。
困難を乗り越えていらしたからこその気配りで、様々なアイデア商品を生み出し続ける同社。今後の展開がますます楽しみです!
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