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三菱ロジスネクスト株式会社(旧:ニチユ三菱フォークリフト株式会社)(京都企業紹介)

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業界のパイオニアが生み出す レーザー誘導方式無人フォークリフト「PLATTER Auto」

(掲載日:平成29年4月25日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 ニチユ三菱フォークリフト株式会社(現:三菱ロジスネクスト株式会社 (本社:長岡京市)の国内営業本部物流ソリューション部の川口課長様、マーケティング企画部の加地様、管理本部総務部の小泉課長様にお話をおうかがいしました。

バッテリーフォークリフトのパイオニアとエンジンフォークリフトのグローバル企業のシナジー

―東証一部上場企業様でらっしゃいます。改めて、御社の概要から教えてください。

川口) バッテリーフォークリフト、エンジンフォークリフト、搬送用ロボット、自動倉庫、WMS(ウェアハウスマネジメントシステム)等の物流システムの開発・設計・製造・販売を行っています。従業員は約5,600人で、京都と滋賀に工場、全国約260のサービスネットワークのほか、北米、ヨーロッパ、アジアなど世界約800箇所に営業・サービス拠点を有しています。1937年に日本輸送機株式会社として設立、2013年に三菱重工株式会社のフォークリフト部門を承継しニチユ三菱フォークリフト株式会社になりました。

―フォークリフトの業界シェアが、国内で第2位、世界でも第3位と伺っています。「ニチユ+三菱重工」の狙い、効果はどういったことだったのですか?

川口) もともと以前から相互販売協力をしていました。ニチユは日本で初めてバッテリーフォークリフトを開発した会社で、国内市場を中心に、約60種類の中小型のバッテリーフォークリフトや物流システムを展開してきました。一方の三菱重工は、北米・欧州市場を中心に、小型から大型まで約80種類のエンジンフォークリフトを展開してきました。従って、まず1つは、異なるマーケットとラインナップを持ち寄ることで規模のメリットが発揮できるということです。

―バッテリーフォークリフトとエンジンフォークリフトの主な違いはどういったものですか?

川口) ざっくりと申せば、バッテリーフォークリフトはクリーンで、屋内使用には特に適していますし、小回りを重視したものが多いです。一方、エンジンフォークリフトはパワーやスピードに優れ、港湾・工場などの屋外荷役現場で多く利用されています。市場での販売比率は、バッテリータイプが半数以上となってきていますが、大型のものは、やはりこれからもエンジンタイプが活躍していくと思います。

―なるほど。

川口) そして2つ目の狙いは、開発・設計・生産のシナジー効果ですね。一本化して効率化もできますし、両社の強みを掛け合わせて新しい製品を生み出すことができます。三菱重工のフォークリフト部門の大半を、相模原から、ここ京都工場に移してきました。

マニアを唸らす絶妙なフィーリングを実現― 唯一のモーター内製化メーカー

―その強みについてですが、京都発祥「ニチユ」のコア技術は?

川口) モーターとその制御ですね。フォークリフトメーカーの中でモーターを内製化しているのは当社だけです。

―そうなのですね!

川口) 職人気質と言いましょうか、こだわりの強いユーザー様のファンが多く、「発信時の加速はこうあってほしい」とか、「前の車種のこういう感じを再現してほしい」とか、様々なご要望をお聞きします。なんとかその期待に応えようと、乗り心地、操作感にきめ細かく対応するため、フィーリングレベルで数十段階の調節ができる製品も作っています。また、モーターを低速で一定回転数を保つ技術も有していますので、不織布、粘着テープ、フィルム、シートなど向けの「巻取機」等も製造しています。

 

―なるほど。ちなみにバッテリーはやはり?

川口) はい。同じ京都のGSユアサ様のものをはじめ外注しています。お互いにもともと島津製作所から分離独立した会社という歴史もあるのですよ。組立や一部の板金は自社内で行っています。

―特徴的な製品には、例えばどんな製品がありますか。

加地) そうですね、様々あるので難しいですが(笑)、例えば「PLATTER」は、国内初のリーチ型バッテリーフォークリフトとして1958年に誕生して以来、常に新しい物流の形を提案し、リーチ型フォークリフトの「代名詞」としてご好評を頂いているシリーズです。あるいは、クリーンで静かな乗車型構内運搬車「エレトラック」は、東京の話題の卸売市場などでも相当のシェアを占めています。

 

国内初のレーザー誘導方式無人フォークリフト「PLATTER Auto」

―一方、「三菱重工」との事業統合によるシナジー効果が発揮された具体例はありますか?

川口) この4月から発売を開始した、レーザー誘導方式無人フォークリフト「PLATTER Auto」がまさにそうですね。三菱重工傘下であったフィンランドにある部門が開発したレーザー技術と、1971年に世界で初めて無人フォークリフトを開発して以来、ニチユが積み重ねてきた知見・ノウハウを融合し、バッテリーフォークリフトに適用したもので、フォークリフトメーカーとしては国内初です。

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―具体的にはどういう特長があるのですか。

川口) 従来の磁気誘導方式では走行ルートの床面に磁気棒の埋設工事が必要となりますが、「PLATTER Auto」は、 レーザースキャナで反射板を検出し自分の位置を把握して走行するため、誘導埋設工事が不要です。そのため、工事費用の削減が図れる、工事期間の短縮が可能である、導入後も走行ルートの変更が必要になった場合に容易に変更できる、床工事ができない現場への導入が可能であるなどのメリットがあります。

―他の誘導方式の検討はされましたか?

川口) 小型のAGV等ではSLAM制御等を用いているものがありますが、数cmの誤差も許されないフォークリフトへの適用はまだ難しいでしょう。レーザー誘導方式の方が精度面で数段優れています。

―なるほど。どこもかしこも人手不足の時代で、省人化・自動化・無人化のニーズが高まってきています。

川口) そうですね。製造業と流通業が大きなターゲットであるわけですが、製造業においては、磁気誘導方式のものが既に導入されているところも多いですので、それからのシフトということがあるでしょう。流通業では、1990年代から2000年代にかけて、人海戦術中心の物流形態が長く続いていました。一方で、ネット通販等の増加により、過剰と言えるほど物流サービスが進み、更には昨今騒がれている労働人口の不足が問題化しており、省人化・無人化のニーズが高まってきており、特に夜間対応できるようなフォークリフトオペレーターが不足しています。その中、無人フォークリフトのニーズが高まっていますが、貸倉庫等では床面に磁気棒の埋設工事などをできない事が多いため、床面工事レスの方式が求められる訳です。

 

―そうなのですね。

加地) おかげ様で発売開始前から「待ちきれない」とのお声を多く頂戴してきました。

フルラインアップのソリューション展開と地域密着のサポート力で世の物流課題を解決

―素晴らしい。さて、フォークリフトに限らず、物流ソリューション全般をご提供されています。

小泉) まず1点目として、商品ラインナップが豊富です。情報端末を使い倉庫内の一元管理を行う物流情報システム、無人搬送車による自動化システム、作業性・効率UPを実現する保管システム、フォークリフトと保管システムの組み合わせによるラック&フォークシステムなど、ハードとソフトをワンストップで提供しています。IoT時代に対応し、例えば「フォークリフト稼働管理システム」では、フォークリフト全台数の「安全・生産性・稼働状況」のサマリー表示、運航データ閲覧等が可能です。

 

―なるほど。

小泉) 2点目として、フルラインでのサポートを行っており、現状分析・課題発見、ソリューション提案、設置・導入後の運用・改善についても全国約260のサービスネットワーク、世界約800箇所に営業・サービス拠点と24時間対応のサービスセンターが連動し、お客様の様々なお困りごとやご要望にきめ細かく真摯に応えています。昨今の情勢においてロジスティックスへの投資ニーズが増えていますが、お客様の状況等に応じ、幅広い物流省力化・効率化商品を組み合わせる事により、本当に必要なことを提案させて頂いています。

―最後に、今後の展望についてはいかがでしょうか。

川口) 「お客様と共に創る物流技術を通じて、グローバル社会の未来づくりに貢献」という企業理念に基づき、当社の強みである、開発力、品質管理力、生産力、サポート力、地域密着のお客様サービスといった総合力を活かし、ソリューション力とフルラインアップの商品展開で物流課題を解決していきます。そして、強いて申すならば、個人的見解ではありますが、完全自動化・無人化に狙いを定めるべきなのか、あるいは海外労働人口輸入による人海戦術を前提とした、有人物流の更なる効率化に狙いを定めるべきなのか、この2つの道のどちらに今後の日本が進んでいくのか、見極める時期に来ているように思っています。

 

今後の同社の展開が大変気になりますね!

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