ここから本文です。
知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年1月18日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
合同会社NAL(外部リンク)の谷村代表にお話をおうかがいしました。(チャレンジ・バイ企業)
―まず、御社の事業の概要を教えてください。
「て~ぶる農園」という半水耕栽培装置の開発・販売をメインに、農業用パイプハウスの設営支援や農業指導等を行っています。2011年1月に設立しました。建設業出身で農業技術を身につけました私と、システム開発を担うもう1人の2名体制です。
―「て~ぶる農園」は、他の水耕栽培キットなど、いわゆる「同等品」と比べてどういう特徴があるのですか?
谷村) 一般にあるのは流水型や湛液型で、いずれも多くの水を使うため、ランニングコストの負担が大きくなります。そこで、まず1つ目として、「て~ぶる農園」では、少量の水を栽培棚の全面に均等に行き渡らすために「微細凹凸構造」を施しています。研究段階で布きれから、化学繊維、不織布など様々な素材を試して辿り着いた方式で、特許も取得できました。これにより、植物の底から給水し、栽培中の植物も容易に移すことができます。
―なるほど。
谷村) 次に2つ目として、循環型給水方式であり、自動で水と肥料が循環し、水やりの手も省けます。植物に吸収されずに残った水は、排水溝を経由して給液タンクに貯まりますので、それを電動ポンプにて汲み上げて、繰り返し利用します。
―売り先はどんなところですか?
谷村) 大きく2種類ありまして、1つは障害者施設等です。ビジネス用として、「て~ぶる農園」を使って苗を作って販売してもらうことを想定したものです。もう1つはご高齢の方向けに、趣味の園芸用としてです。
―どうしてその2つのルートをお考えなのでしょう?本事業を志されたきっかけと関係するのですか?
谷村) 以前はトンネル建設会社で働いておりました。何日も穴にこもりっきりの仕事で、トンネルが完成したらまた次の現場に行くという毎日でした。その会社の社長が「農業も大切だ」といった話をしてらっしゃたのが、その後もずっと頭に残っており、やがて農業をやろうと決めました。農業に関しての知見を高める目的もあって日本海側を自転車で旅し、各府県庁の農政課なんかも訪ねておりましたところ、旅先で偶然に知り合って親しくさせていただいた車いすを利用している男性が、「こんな体でも農業をしたい」と言っておったのを聞いて。ハンディキャップがあっても農業生産に携われる社会にしたいと思ったのがきっかけです。その後、京都府の農業大学校で農業を学び、当時既に別の特許も取らせていただいたりしておりまして、当時の先生方のご指導が今回の製品づくりにも役立っています。
―事業上の課題や難しいところはどういったことでしょうか?
谷村) そうですね。難しいというわけではなりませんが、栽培サポート、取扱いのサポートにマンパワーが必要であることでしょうか。例えば蒔いた種から芽が出ないとか生育が悪いとかいったケースがあった場合、単に畑に蒔いてというのではありませんで、装置を利用されてということなので、その使用方法等について現地におうかがいしてご対応することをしています。
―最後に今後の展望についてはいかがですか?
谷村) そうしたサポート体制を異業種と連携して組んでいくということも必要かもしれません。また、販路を一般の方にも拡大していきたいと考えています。マンション等のベランダでも栽培できればなど、様々な声が寄せられてきています。今後一層発信力を高めてまいりたいです。
とても温かく、そして熱い想いの谷村代表。ぜひ今後の展開が楽しみです。
お問い合わせ