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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年11月4日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社名高精工所(宇治市)の名高新悟専務取締役様にお話をおうかがいしました。
―まず、事業の概要を教えてください。
名高) 自動車や航空機をはじめとする様々な産業機器の金属部品の切削加工、組立を行っております。自動車のターボチャージャー、飛行機の翼部品、フォークリフト・建機の油圧機器部品、その他食品包装機や医療機器など幅広い分野のものを扱っており、トータルでは1,000を超えるアイテムを加工・組立しています。
(左から旋盤加工品、MC加工品、組立品の例)
―保有機械も多そうです。どんな素材を削ってらっしゃるのですか?
名高) 本社エリアの8つの工場で、NC旋盤、マシニングセンタなど100台以上あります。色々なものが削れまして、鉄、ステンレス、銅、アルミ、チタン、インコネル、耐熱鋼、鋳鉄、樹脂・・・。大きさは1mmくらいのものから700mmくらいのものまで対応することができます。
―どういう工夫をされてらっしゃるのですか?
名高) 製品(被削材)の形状や数量に合わせて、治具(製品と工作機械を繋ぐ装置)を自社内で設計製作しております。「製品のどの場所をどのような力でどうつかめば、より生産性が高くなり、品質が安定するのか?」ということを徹底的に考え、様々な工夫を凝らして治具を作っております。
―素晴らしい。
名高) 特別に差別化された技術があるかと言われると、必ずしもそうではないかもしれません。しかし、積み重ねてきた技術・ノウハウを他社が簡単に同じようにできるかと言われると、それもそういうわけではありません。例えば2011年にタイ工場をスタートしたのですが、最初にお取引先様から打診があった際には、分相応ではないとお断りをしたのです。その代わり、当社の技術・ノウハウを全てドキュメント化等してお渡ししました。しかし他でできるところがないとのことでありましたので、当社でお役に立てるならと、覚悟を決めた次第です。
―なるほど。量産がメインなのですよね?
名高) はい。当社は、月産何万個というものなど量産が売上の大半ではありますが、1品からにも対応しています。本社エリアに約110名で、うち約60名の正社員はほぼ全員がプログラマーです。開発試作から量産までを本社工場で対応し、更に量が多くなれば、130名のタイ工場で対応するという一貫対応が可能です。
―試作をされているきっかけは、「京都試作ネット(外部リンク)」ですか?
名高) そうですね。2004年に機青連(京都機械金属青年連絡会)に入り、「経営者とは何ぞや。」ということを徹底的に仕込まれました。そこで出会ったHILLTOPの山本さんに「京都試作ネットに入らないか。」とお誘いを受けました。「いやいや、当社は量産ですよ。」「量産だからこそだ!」ということでした。そして、更に多くの貴重なメンバーと出会い刺激を受け、今日に至っています。機青連や京都試作ネット、お客様、社員のみんな、これまでに出会った、たくさん人達のおかげで、私が入社した15年ほど前と比べて、従業員数、売上ともに伸ばすことができました。本当に感謝ですね。
―すごいですね。その秘訣は何でしょうか?
名高) 難しい質問ですが、社員の育成でしょうか。当時は少々お行儀の悪い社員もいたりしましたが、まずは、社員のしつけをはじめ、生産管理、品質管理、検査体制の構築等を地道に進めてきたということもあると思います。そして、私の父が常々言っていることですが、「うちがやらなかったら必ず誰かがそれをやる、うちが実現しなかったら必ず他が実現する。だから、出来るか出来ないかではなく、本気でやるかやらないかだ。」ということです。技術って、知ってしまえば「なーんだ」と思うくらいのことがよくあるのです。「やれば必ずできる。」という熱い思いを持ったコアとなる人材を育ててきました。
―なるほど。ところで、専務は入社されるまでは何をなさってたのですか?
名高) 大学を卒業して、某化粧品会社で営業をしていました。当初は会社を継ぐつもりがなかったので、最低でも役員になってやるという気持ちでいましたが、学生時代に志していたバンドをどうしても忘れられず、退社し、アルバイトしながらバンド活動を続けていましたが、最終的には父の後を継ぐ覚悟を決めて戻ってまいりました。当時かなり栄養が不足しがちな生活を送っておりましたから、今は健康に気を遣って、毎朝の筋トレと青汁、ヨーグルト、サプリは欠かせません(笑)。
―そうだったのですね! では最後に、今後の展望はいかがでしょう。
名高) 新素材の加工技術の開発や、スマートファクトリー化などを進めていきたいですね。
成長著しい同社のますますの発展が楽しみですね!
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