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協和精工株式会社(京都企業紹介)

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複合加工をキーに一貫生産 ―自社ブランドも手掛けるモノづくり企業

(掲載日:令和3年3月18日、聞き手・文:ものづくり振興課 牧、植村)


 協和精工株式会社(外部リンク)(本社:京都市伏見区)の山下専務取締役様にお話をおうかがいしました

複合加工から後処理、組み立てまで一貫生産でモノづくりをサポート

御社の概要を教えてください。

山下)フライス加工、旋盤加工、溶接、鈑金などの複合加工を得意としていまして、加工から後処理、組立まで一貫して受注生産できることが強みです。従業員数は20名です。多品種少量生産の受注が多く、8割は5個以内の受注となっています。試作品や医療分野、産業機械部品などが多いです。例えば、手術道具をオーダーメイドするお医者様もいて、その人専用のメスを製作したりもします。

―手術道具もオーダーメイドされるとは知りませんでした!昔から様々な要望に対応されてきたのですか?

山下)いえ、昔からというわけではなくて、リーマンショック以前は主要取引先一社からの下請加工等が9割を超えていました。リーマンショック、ITバブル崩壊を受けて、一社依存では事業を続けることが難しくなり、飛び込み営業など新規の取引先の開拓に取り組みました。その結果、徐々に取引先も増え、今では主要取引先以外の受注量が7割くらいになっています。

―そうなんですね。どのような取引先が増えていますか?

山下)そうですね。例えば、小規模の装置メーカーさんには重宝いただいています。小規模なメーカーさんは工程ごとの発注に負担感があるので、弊社のように一気通貫で対応していますと「協和精工さんに頼めば、ちゃんと形にしてもらえる」と喜んでいただいています。また、段取り替えも得意ですので、特急対応でもしっかり対応しているうちに信頼していただけるお客様が増えてきました。

―なるほど。多品種少量生産に対応するためには大変なこともありますよね。

山下)はい。まだまだ課題はあると思っています。人づくりについては力を入れております。試作品など多品種少量生産ならではの特殊な加工や新しい加工にも対応できるように、自社内でわからないことは、メーカーOBの方やよろづ支援拠点の専門家派遣など外部の人の力を借りて実地研修などを行っています。多能工化や5S活動など一丸となって取り組んでいるところです。中小企業技術センター(外部リンク)(以下、中技セン)や京都機械金属中小企業青年連絡会の知り合いに相談してみたり、自分でわからないことは外に助けを求めることで成長できている実感があります。4年前に立ち上げた自社ブランド「Teyney(外部リンク)」の取り組みを通しても、いろいろな方から刺激を受けています。

自社ブランドを立ち上げ、デザイナーと共同でオリジナル商品開発

―自社ブランドのお話、大変興味があります!ブランド立ち上げの経緯から詳しくお伺いできますか?

山下)ええ。リーマンショック以降の影響がまだ続いている時期で、仕事が激減してしまっていて、今までどおり下請けだけやっていたら会社が潰れてしまう!という危機意識から、自社オリジナル製品の開発に挑戦しました。私の思いから「イチゴつぶし」を試作してみて、中小企業技術センターのデザイン担当さんに「これ、売れますか?」って相談してみたら、「売れない」って言われてしまって・・・
 結局、売りたいものをただ製作しても、売れる理由にはならなくて、もっと深堀して商品のコンセプト「その商品で何を実現したいのか?」を考える必要があることに気づかされました。デザイン担当さんと何度もディスカッションしているうちに、イチゴをつぶすことが大事なんじゃなくて、「自分が子供の時、母親と一緒にイチゴをつぶしたような親子の交流をしてもらいたい」「SNSなどで便利になり過ぎて、減ってしまった人と人が直接会ってゆったりと心を通わす体験を実現する役に立ちたい」というコンセプトにたどり着きました。
 その後、京都産業21のBPフェアで中技センが出展されていた「KYOTO DESIGN WORKSHOW(外部リンク)」の中で出会ったデザイナーの綾さん(o-lab inc.(外部リンク))と一緒にオリジナルブランドの商品を作ってきました。デザイナー視点で作りたいデザインと、ものづくり視点で加工できるデザインっていうのは最初から一致しているわけではなくて、そこはフラットな立場で議論しあって商品に仕上げていきます。デザインはすごく綺麗なんですけど、こんなんどうやって加工すんねん!みたいなところからすり合わせていく感じですね。中技センのデザイン担当さんにも継続的に相談に乗ってもらっています。

―新商品の企画、大変そうですけど、楽しそうですね!今までにどんな商品を開発されてきましたか?

山下)これまでに、例えば、豊かな時間が流れるボードゲーム(リバーシ)「さざ波(外部リンク)」、手紙を書きたくなるペーパーウェイト「巾着(外部リンク)」、おもてなしを生み出す栓抜き「七宝(外部リンク)」など、形は違いますが、ブランドのコンセプトに合った商品を開発してきました。
 一番最近開発したのが、家具として置きたくなる飛沫感染防止パーティション「Q(外部リンク)」です。ウィズコロナの社会においては、「置かざるを得ない」ために設置されたパーティションではなく、能動的に楽しめる家具のような存在の「置きたくなる」パーティションが必要だと感じ、開発に取り組みました。京都府・京都産業21の「助け合いの輪」推進補助金も活用させていただきました。

―ところで、「Teyney」の取り組みは会社にどんな影響を与えていますか?

山下)売上で言えば、会社全体の1割くらいで、それほど大きな事業ではないんですけど、他に3つ良い影響があります。
 まずは従業員のモチベーションアップにつながっていることです。下請けの仕事で自社の製品が注目されることはありませんが、自社商品を開発したことでテレビや新聞で取り上げられたり、京都駅の伊勢丹で展示販売したり、注目される機会が増えて、従業員の誇りになってきています。正直、取り組み初期は乗り気ではない従業員もいましたが、今では新商品のアイデア出しや商品のクオリティを上げるために頑張って加工するなど積極的に取り組んでくれていますし、他の仕事にも前向きな良い影響が出ています。
 2つ目に、この取り組みを通して、知らなかったことを知ったり、考えていなかったことを考えたり、知り合いが増えたり、自分たちの幅が広がったことも良かったです。
 3つ目に、自社商品を見て、弊社に発注される新規のお客様もいらっしゃることですね。今後も引き続き頑張っていきたいと思っています。

丁寧な受託加工をしながら、自社ブランドを立ち上げて新商品開発も続ける、同社の発展が楽しみです。

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