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株式会社キョークロ(京都企業紹介)

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進化する表面処理総合企業・キョークロ

(掲載日:平成28年9月20日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)


 株式会社キョークロ(京都市山科区)の寺田代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。

微小ねじに、薄い、強い、安い表面処理

まず、事業の概要から教えてください。

寺田) 「ねじ」をはじめとする金属部品へのめっき、塗装などの表面処理を行っています。

―めっきは、種類も多く、用途も多彩ですね。

寺田) そうですね。身の回りにある金属には、ほぼ全て「めっき」が施されています。アクセサリーの金メッキなどでおなじみの「装飾」のほか、当社が得意とするのが「防錆(耐食)」「機能付与」のために用いられます。防錆の方法は実に多様ですが、例えば本体素材の鉄より錆びやすい亜鉛をめっきとして施せば、めっき部分が先に錆びている間、本体素材の鉄は確実に守られるわけです。また、機能付与については、例えば、建材に黒くめっきをすると表面が反射しにくくなる、金型の内側にめっきをすることで成形物を外しやすくする、電気系統部品にめっきをすることで電流がスムースに流れる、などといったことになるわけです。

―御社の特長はいかがでしょう?

寺田) 私たちの暮らしや産業の様々なところで使われている「ねじ」への表面処理を主力としています。小さなものでは2mm以下のものもあり、被膜を薄くしなければなりません。一方で、高圧・高温など過酷な状況の中で用いられることも多く、精度を維持するためには、高い防錆性、耐摩耗性を実現しなければなりません。加えて、微小部品であるため、低コスト化も求められます。

 

「めっき+塗装」の複合表面処理で、無限のニーズに対応

―それらを同時に実現するには、高い技術力が必要なのでしょうね。どうされているのですか?

寺田) 高価な材料を使えば、高機能な表面処理ができるでしょうけれど、当社では、広く使われている「亜鉛」の安さと防錆の強さに着目し、重用しています。防錆は亜鉛でフォローしながら、そこに塗装、樹脂コーティングなどを組み合わせた「複合表面処理」を行っています。これにより、高い耐食性・耐摩耗性の実現、表面被膜の硬さのコントロール、カラー化等を実現しています。

画像:メッキ+塗装で表面皮膜がパワーアップ kyochro04

―なるほど。

寺田) ねじだけでなく、塗装やコーティングも手掛けていますと、無限に技術力を高めていくことに繋がります。フッ素樹脂のように、どんどん新しい材料が登場してくるからです。しかも、めっきにおいても、最近は本体素材が鉄だけでなく、アルミなども増えてきています。そして、もともと「ねじ」自体、「軽い力でたやすく締まるように」「緩まないように」「外気に強く劣化しないように」など、新しいニーズがどんどん出てくるアイテムです。こうして尽きることのない無限のニーズに対し、その都度技術を磨き対応すれば、当社も無限にレベルアップしていくことができます。

研究開発力×24時間体制

―素晴らしいですね!これまでも前向きな取組を続けてこられたとお伺いしています。

寺田) そうですね。亜鉛フレークを主成分とする耐塩害性・耐熱性に優れた「タグロイズド」は、関西で初導入しましたし、「マグニ処理」は、米国ゼネラルモーターズ社規格に対して国内初の認定工場となりました。また、当時では異例の、バレルの自社開発も行いました。ふたのない、たこつぼ型の滑らかなフォルムで、薬液の流動性・通電性を向上させたものです。こバレルの導入により生産ラインを自動化し、24時間体制で稼働しています。試作開発部門として、別会社ネオノアを設立しており、セラミック樹脂塗装など蓄積してきた技術を活かして、600℃の高温にも耐えるコーティングも開発しました。

  

―記憶に残る開発、印象に残る開発としては、どんなものがありましたか?

寺田) リニアモーターカーの摺動部品の表面処理は印象に残っていますね。超高速摺動という過酷な環境から部品を守る耐久性と絶縁性を、という要望に応えられる薬剤や処理法を求めて、試行錯誤を重ね、材料メーカーと共同で、完全無機質のセラミックコートの加工技術を開発しました。

―今後の展望はいかがでしょう。

寺田) 表面処理は、様々な用途で、様々な付加価値をもたらすことができるものです。表面処理を行う企業どおしがグループを組んで、多様な世の中のニーズに応えていく、ニーズを創造していくようなことができればと思います。

 

同社の今後の展開がますます楽しみです。

 

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