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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和2年11月11日、ものづくり振興課 足利・小高)
プレスリリース「院前スクリーニングで院内感染防止!-簡易診察室ワンパッケージドーム メディカプセル-」(PDF:211KB)
インフルエンザや新型コロナウイルスの流行・再流行が懸念される中、株式会社衣川製作所(京都市伏見区、衣川隆文代表取締役)は、診察室機能を備えた簡易ドーム「メディカプセル」を開発し、医療機関向けに提供を開始されます。
これは、屋外で簡易に組み立てられる株式会社TCL製ドームをベースに、エアゾルの流出を抑制するための陰圧調整機能や殺菌酵素フィルター等の機能を付加し、診察室仕様に改造したもので、建物外に設置し、そこで外来診察を行うことで、院内感染の防止、医療崩壊の抑止に寄与するものです。
(掲載日:平成30年1月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社衣川製作所(京都市伏見区)の衣川隆文代表取締役に話をおうかがいしました。
―これまでから中小企業優良企業表彰をはじめ数々の賞を受賞されたり、メディアにも数多く登場されてこられたりと、大変知名度も高い御社ですが、改めまして、事業の概要から教えてください。
衣川) 従業員25名で、エレクトロニクス業界、医療機器業界をはじめ業界を問わず、3次元切削加工、3次元型彫りレーザー加工、成形研削加工、ワイヤー放電加工、型彫り放電加工等はもちろんのこと、これらの微細加工等を組み合わせて、一貫した生産体制を行うことにより、顧客ニーズに対応した短期生産を実現しています。
―会社の経過については?
衣川) 創業1966年、先代である父が京都市左京区百万遍の自宅で、テープや紙を切断するスリッターなどの産業機械の部品工場を開業したのが始まりです。その後、1986年に株式会社化、1992年に工場・本社とも現在の伏見区深草に新築移転しました。創業以来、半導体を中心とした生産・検査装置、治工具の部品などの軽薄短小で高付加価値の部品加工事業を展開してきました。
―半導体ですか。
衣川) 半導体が「産業の米」と言われた時代です。何よりも創業当時は都市部におり、工業地帯のような広大なところで大型の設備を導入してというわけにはいかないものでしたから、例えば液晶パネルのような、どんどん大きくなっていくようなものには対応できませんしね。それで軽薄短小、微細な加工を追求してきたわけです。ミクロンレベルからナノレベルへといったところですね。
―すごいですね!汎用の機械でなさっていますよね?
衣川) そうです。当社は、あえてアナログ路線と言いましょうか、「職人」が必要ですし、その育成しています。プログラムだけではなく、実際にマシンを動かし、できあがりを手に取ってみて、ひずみがどのように出るだとかいったことを体感しておかないと、本当の意味では分からないはずだという信念ですね。
―そして医療機器分野にも参入されています。
衣川) 以前立命館大学と協同で開発した「マイクロ紺子」は、直径1ミリメートルのステンレス製の手術器具であり、当社の微細加工技術と顕微鏡を見ながらの微細加工組立技術によって生み出したものです。実際に髪の毛や0.1ミリメートルの厚さの紙を切ることができる世界最小のチタン製マイクロ鋏「切鋏」などもあります。
―参入された経過はどういったものだったのですか?
衣川) 京都試作ネットですよ。十数年前ですよね。さきほどの「産業の米」と言われた半導体も、どんどん厳しくなってきていましたし、試作ネットの他のメンバーも、何か新たなアクションを起こさなければという風に考えていた時期で、京都府にも入ってもらって夜中まで議論していた時期ですよ。そんな折に、府を通じて、アメリカ本社のグローバル医療機器・ヘルスケアメーカーから、手術器具の改良の相談があったのです。アメリカの中小企業ではできなかったのでしょうね。
―そうだったのですね。
衣川) しかし、我々も最初は腰が引けていました。府からの「まずはやってみいな」という後押しがあり、試作ネットメンバーの中から4社が合同で対応することにし、コストも4分の1で済むじゃないかと考え、取り組むことになったわけです。
―医療機器業界向けは、やっぱり難しいのですか?どう違うのです?
衣川) 全然違いますね。例えば産業機械用であれば溶接しっぱなしでいいところ、医療機器では菌などがつきにくくなるようにつるつるにしなければならないことがあります。なので、例えばアルゴン溶接でなく、レーザー溶接など、設備も変わってきますよね。それに仕様書も違いますよ。某京都の大手医療関連メーカーでは、全部英語ですからね!
―ええー、そうなんですか!大変ですね(笑)。顧客の獲得はどうされているのですか?
衣川) メインは展示会です。最初は空振り三振も多かったですが、続けて出展していると、だんだん認知度も上がってきてというところですね。おかげさまで、循環器系、整形外科系、消化器系、眼科系、脳神経外科系等の領域で使用される手術器具の設計開発、製作を医療現場の方々からも直接お話をお聞きし、製作してきましたね。会社にも、常設のショールームを設置し、企業の技術部、開発部の方々や、医師の方々がヒントになる商品も展示しています。今もグループを組んで開発を進めているものなど、積極的に挑戦を続けているところです。
今後の展開がますます楽しみです。
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