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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成30年12月25日、ものづくり振興課 足利)
株式会社J・P・F(京都市南区)が実施された「平成29年度中小企業共同型ものづくり事業(シェアリング事業)」の概要です。
(掲載日:平成29年12月25日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成28年度「知恵の経営」認証企業、株式会社J・P・F(京都市南区)の田中丈治代表取締役様にお話をおうかがいしました。
—まずは、事業の概要を教えてください。
田中) 2005年創業、現在約20名で、鉄・アルミ・ステンレス等の金属部品加工、省力化機械装置の開発・製造を行っています。金属部品加工は、自動車関連や半導体製造装置関連が多く、試作から量産対応まで行っています。省力化機械装置は化粧品メーカー、製薬メーカー等で使われる充填、包装、検査機器等です。
—さて、「知恵の経営」に取り組んでいただき、御社の様々な強みを整理していただきました。まず、技術面の特長について、差し支えない範囲で教えてください。
田中) そうですね、「複合加工」と呼んでいるものです。当社は、ワイヤーカット放電加工機、マシニングセンタ、NCフライス盤などのほか、金属加工では珍しいロボドリルを有しています。例えば、ワイヤーカット放電加工機は高硬度の材料の加工ができ、複雑な形状でも高精度な加工ができるという優れものですが、スピードが弱点です。ロボドリルは、一般には樹脂加工で使われることが多いことからも分かるように、力は強くないのですが、高速で小径加工ができますし、当社では独自にプログラムをカスタマイズしたり工程を組む事で特殊加工が可能です。例えば、1つの部品に対して、穴加工等はロボドリルで、刃物として使用されるような尖った部分などの特殊なところはワイヤーカット放電加工機でといった具合に、組み合わせを行うことで、スピードと高精度を両立させているのです。
—素晴らしい方法ですね。まさにQCDを両立させてらっしゃるわけですね。
田中) 当社ではHUAと呼んでいます。H(早くて)U(巧くて)A(愛想がいい)です。この3拍子が揃うとお客様に本当に喜んでもらえるのですが、実はこれを揃えるのは結構難しいのです。少し仕事が忙しくなると、人間ってどうしても怖い顔になったりしますよね。巧い職人気質のところは愛想が悪かったり、愛想が良いところは少し技術が弱かったりといったことが多く、この3つを両立しているところはなかなかないと自負しております。
—人間の本質的を突いたとても重要なポイントですね。社員の皆様をお見受けしていますとよく理解できますし、写真でもたしかに愛想がいい感じですね(笑)
田中) 社員一人ひとりのモチベーションをとても大切にしています。同じことをするにしても、モチベーション次第で結果は全く異なりますよね。まず、できないことを指摘するよりも、できることをどんどん伸ばしていくようにしています。働く人たちは人間です。人それぞれ個性があり、会社の中にもそれぞれの異なる性格の社員がいるのですから、それを在りのまま受け入れるようにします。そして、ミーティングを敢えてたくさん行い風通し良くしたり、作業中でも談話できるような時間や空間を確保し情報共有しやすくしたり、工夫しています。
—「知恵の経営報告書」で、お客様、地域、世界の先に「宇宙」という言葉が記されていましたが。
田中) はい。以前、中国企業から新たに受注した案件があったのですが、国内の協力会社の体制不備により取引先に迷惑をかけてしまったことがありました。それで、協力企業も含め社内の体制、マネジメントを再構築しようということで、「知恵の経営」に取り組んだわけです。そして「知恵の経営報告書」の作成の中で経営理念を追求していると、「宇宙」まで目を向ける必要があると感じました。
—そうだったのですね。
田中) 様々な自己内省、会社の内省を行っていった過程で、「そもそも何のために生きているのか、はっきり言えるか?」ということに辿り着いたのです。有名なスポーツ選手などならともかく、普通、なかなかそういうことをズバッと言える人って少ないと思うのです。そこで、この会社を「大きな夢を持つことが出来、それに挑戦できる場所」にしたいと思い、「夢想共創」を企業理念に掲げて、その為の「私達は特別な技術で人が豊かでいられる未来を創ります」という経営理念の道を歩んでいます。
—創業された経過について教えてください。
田中) 勤めに出ておりましたが、祖父も父も親戚も金属加工の会社を経営していたこともあり、自分もいつかは経営者になりたいと思っていました。ちょうど、1人で商売されていた方が会社を閉めると聞き、会社にある機械や道具を譲っていただいて、20坪の貸工場を借りて、そこに機械を据えてスタートしたのです。
—なるほど。
田中) 自分が機械の前に立ち、最初は未熟な腕で部品の加工をして、伝票を書き、納品をし、少しづつ腕も上達し、人を雇い・・・こうして少しずつ会社の規模を大きくしてきました。京都産業21の設備貸与事業も利用させていただきましたね。今、おかげさまで、仕事が多く、協力企業様の力も借りなければとても回らないくらいです。
—素晴らしい。そして今、「知恵の経営」の動機でもあられる、協力工場も含めた体制づくりについて、新たな挑戦を始められましたね。
田中) はい、ぜひこれを成功させて、生産性向上を図り、お客様からの要望にもっと応えていけるようになりたいと考えています。
ありがとうございました。新たな挑戦のお話は、また改めてご紹介したいと思います!
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