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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成29年6月12日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成19年度元気印認定、23年度経営革新承認の、株式会社ジェイ・ビー・シー(八幡市)の中西代表取締役様にお話をおうかがいしました。
―まずは御社の概要から教えてください。
中西) 1993年に創業し、現在社員9名で、ペアリングなどのジュエリー、高級志向のクリスマスツリー等の製造小売を行っています。製造はファブレスですが、社内で企画・デザインし、自社サイトのほか、楽天、Yahoo、Amazonなどでのネット通販で販売を行っています。
―どういった商品があるのですか?
中西) まず、ジュエリーについては「赤い糸」シリーズのペアリングなどが人気です。ジュエリー大賞を連続受賞するなど、おかげさまで好評をいただいており、世界的プランナーからもコラボ商品開発のお話をいただくようになっています。
―いいですね。
中西) 「贈る方も、贈られる方も、わくわくする」ということをモットーに商品開発をしています。蚊取線香で有名な大手殺虫剤メーカーであるキンチョー様とコラボレーションして、彼氏、彼女に「虫がつかない」をコンセプトにした、渦巻状のペンダントも開発しました。企画を持ち込んだところ、「おもしろいじゃないか」と理解を示してくださり、パッケージも蚊取線香風のユニークなものとさせてもらっています。実は蚊取線香の渦巻の方向は、メーカーさんによって違うそうで、同社の渦巻きの方向になっています。
―おもしろいですね!(笑) デザイン性や商品コンセプトなど、好評の理由がわかりますね!一方、技術的な特徴など何かございますか?
中西) はい。金属アレルギーの方でもつけられるジュエリーも販売しています。京都府の元気印の認定、経営革新計画の承認をいただいたものです。
―金属アレルギーですか。
中西) 金属は汗や体液などに触れることによって金属成分が微量に溶け出し、金属がイオン化します。このイオン化した金属が体のタンパク質と結びつくことで、体に本来なかった、たんぱく質(アレルゲン)ができます。人間の体には自己免疫作用があり、白血球が異物を退治して健康を保っていますが、金属イオンはもともと体にはないものですので、体は異物と判断し、白血球が攻撃を始めます。この攻撃が金属アレルギー(炎症などが起こる)の原因になります。
―しかし、金属アレルギーの方向けのジュエリーは、よそにもありますよね。
中西) 一般的に金属アレルギーの方の場合、チタン商品をご利用になることが多いかと思いますが、純チタンは色が徐々に黒くくすんでいきます。その黒ずんだジュエリーのせいで、顔の印象が暗くなってしまいます。逆に、明るい色合いのジュエリーなどをつけていると、顔の印象が明るく、若々しく感じられますから、色が美しく、金属アレルギーの方でもお使いいただけるジュエリーを作れないかが、長年考え続けてきました。そして5年の歳月をかけて、金属アレルギーの出ないコーティング方法、すなわち、プラチナ(ゴールド)チタンイオンプレーティングによる方法を開発しました。
―プラチナ(ゴールド)チタンイオンプレーティングですか。
中西) チタンの硬化層に、さらに高価なプラチナやゴールドを置くことにより、プラチナやゴールドのジュエリーと同じ輝きを実現することができました。イオンプレーティング加工は、真空装置内の蒸発源と基盤間にプラズマを生成し、蒸発原子をイオン化した後、電界で加速して基盤に衝突させて皮膜を形成する方法です。基本技術はNASAで開発され、現在は 多陰極方式、高周波方式、ホローカソード方式、ラクスタイオンビーム方式などがあります。いろいろなイオンプレーティング処理を研究した結果、耐久性にすぐれ、色調に安定性があり、密着性にすぐれたコーティング加工を行う技術を持つメーカーの協力を得ることができ、このような特殊なイオンプレーティング加工をジュエリーに使用する話など聞いたことがないとの理由で当初、加工を受けていただけませんでしたが、このコーティング加工が大変高価な加工のため、ジュエリーにこそ応用するべき。との思いを伝えることができ、今回の開発につながりました。
―素晴らしいですね。どんな工夫があるのですか?
中西) まず、通常のジュエリーにこのイオンプレーティング加工をすると金属の種類によっては中の金属イオンが表面に露出してくることがわかっております。そこで当社は他ではマネできない、特殊な下地処理を行うことでこの問題を解決することができました。
―なるほど。
中西) また、通常のブラックイオンプレーティングに表面を突き破るようなキズが付いた場合、黒基調の中では傷が目立ってしまいます。そこで、当社ではイオンプレーティング加工で一番高価で高硬度(Hv3000以上)、耐摩擦性に強いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を使用し、キズが付きにくく落ち着いたブラックに仕上げました。
―さて、もう一つ気になっていますのが、クリスマスツリーです。正直、クリスマスツリーって、世の中にたくさんありますよね。
中西) ホームセンター等で売っているものと違って、かつて百貨店等で売っていたような、一本1万円などの高級品であるということです。枝間、葉の密度、葉の肉厚など、一般のものと比べていただくと、その違いが分かるかと思います。こちらは「クリスマス屋」という名称で販売しており、おかげさまで1万本以上出荷しています。
―すごいですね。
中西) ボリュームディスカウントで、より良い高級品を抑えた価格でご提供できる状態になってきましたね。これだけ扱わせていただきますと、設置が難しい、何mの大きなクリスマスツリーなどの設置ニーズもあることが分かり「設置サービス」も手掛けています。さらには、夏場の置き場に困るからと「レンタルサービス」も行っており、いずれもご好評をいただいています。
―どうして御社はそんなに販売が伸びるのですか?商品力やSEO対策はもちろんでしょうけれど、それ以外でどんな工夫をされているのですか?
中西) 工夫と申しましても、ウェブ上の問い合わせへの返信時に、過去のお問い合わせやご購入履歴に応じて、ふさわしい内容が自動で選択されるシステムは導入していますが、お電話をいただくことも多いですから、接客をきちんとするとか、基本的なことをきちんとするということに尽きるかと思います。試行錯誤しながら、お客様の声を聴きながら、現在の市場で抜けているところ、潜在的なニーズを見つけて、そこをやっているだけですよ(笑)。
―潜在的なニーズの発見ですか。どうして社長にはそれができるのでしょう。これまでの経過を教えてください。
中西) 実家は「まるなか」という呉服屋を営んでいます。若い時に私も営業をしておりましたが、振袖を作ろうか、借りようかと迷われている方が多いと気がつき、新品でお好きな振袖を選んで頂いてお誂えをして、成人式後に、レンタルにするか、購入するかを決めて頂ける「お誂え振袖レンタリース」という企画が当たりました。業界的にはタブーだったかもしれませんが、結果的には大当たりで、会社の売上も倍々ゲームのように伸びていきました。
―いいじゃないですか!
中西) ところが、私自身が天狗になってしまったんですね(笑) 「会社の売上を伸ばしているのは俺だぞ」と。その結果、社長である父の怒りを買い、独立することになったのです。「まるなか」では、振袖のレンタリースをやっておりましたので、若いお客さんも多く、ジュエリーも扱っておりましたから、その経験を生かしてジュエリー屋を始めたということなのです。
―そうだったのですね。
中西) 業界紙等でも取り上げていただき、おかげで独立後の事業も売上を伸ばしてくることができました。ネット通販も、インターネットの初期のころから飛びついてやっています。当社はIT企業ではないのですが、社内でITの技術も磨いてきました。
―さて、最後に今後の展望についてはいかがでしょう。
中西) ネット通販事業、それを支えるITの技術力などの強みを活かした新事業を現在進めています。ご期待ください!
まもなく、またおもしろい新事業が明らかになります。そのご報告は次回させていただきます!
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