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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年3月28日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成19年度、27年度元気印の株式会社アイエス、株式会社井上製作所の井上社長、山中課長にお話をおうかがいしました。
―まず、御社の事業概要について教えてください。
社長) 厨房機器、特に医療機関・福祉施設向けの配膳車の製造を行っています。配膳車は医療機関等で使いやすいよう仕様を考え発展してきた装置であり、大手・中小メーカー約10社が存在しています。
―新しく開発された製品はどういったものですか?
社長) 過熱水蒸気式再加熱カートです。食事を一旦チルド保存し、過熱水蒸気の力で再加熱し、食事の適温サービスを実現するものです。入院患者様、施設利用者様にとって、おいしく温かい食事が食べられるだけでなく、予め作り置きしてチルド保存しておけるため、病院や施設の職員など食事を提供する側にとってもメリットが有り、毎日の早朝出勤や土日出勤を無くす事が出来ます。又、早朝出勤・土日出勤や、朝・昼・夕食配膳直前の調理作業の集中も減らせて、業務の平準化を図ることができます。その他の特長としては、温度帯の高い過熱水蒸気を用いて加熱するので、安心・安全な食事の提供が可能になりました。。
―類似品はあるのですか?
課長) 一般家庭向け製品で過熱水蒸気による加熱、調理ができるものや、業務用で温風やIHを使って加熱するものはあります。しかし、業務用で過熱水蒸気による加熱、しかもそれをチルド保存と両立させたものはありません。当社の特許製品です。温風だと水分の補給がないため乾燥し、ご飯(米)もパサパサになってしまいますから、予め食事を用意するといっても、ご飯(米)だけは、後付けする病院や施設が多いです。そうなると職員の手間が省けたことにはなりません。過熱水蒸気の場合はその点がクリアされ、ご飯(米)の先付け対応が可能であることはもちろん、おいしさもキープできます。
―チルド保存しながら加熱というのは?
課長) 1枚のトレイをカートの棚に置きますが、写真のカートの右半分はチルド保存のまま、左半分は過熱水蒸気による加熱を行うというものです。そのほかにも、断熱効果の高い樹脂筐体として保温性と機密性を高めて消費電力を15%減らしたり、外側のコンソールから、内側のカートが切り離せて、コンパクトな形で運搬できるような工夫もしています。
―開発は大変だったのですか?どうして御社には実現できたのですか。
課長) 10年かかりました。他社製品と同様、温風仕様で検討しかかったのですが、どうも食事がおいしくならないということが分かり、研究開発を重ねてきました。当社のモットーは「顧客に優越感を与える魅力的な製品を提供し、製品は業界のトップレベルを目指し、安全かつ環境にも優しい品質を提供する」ということでして、それを実践したところです。。
―この事業の難しいところはどういったところですか?
社長) まず1つは、直接間接を問わず、大きな病院等がお客様であるので、営業面での難しさです。展示会等で地道に継続的にPRをしていくのが近道です。もう1つは、絶対に「欠食」を引き起こしてはならないということです。信頼性の高い、高品質な製品づくりが求められます。
―今後の展開としてはどういったことが考えられますか?
社長) そうですね。一般企業の社員食堂や、学校給食での展開も可能だと思います。また、コンソールとカートが切り離せますので、セントラルキッチンから、コンパクトなカート部分だけを各所に運搬するということも可能ですので、様々な利用方法のご提案をしていきたいです。
今後の展開がますます楽しみですね。
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