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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。
(2023年5月9日、ものづくり振興課 足利)
工場改善と外国人支援。
全く異なる2つの取組を行っている支援チーム華花(京都市)の田中代表にお話をうかがいました。
--工場改善のアドバイスって、あれですよね?
田中)長年、大手電機メーカーで生産管理、品質管理に携わってきましたので、その経験を中小企業に還元しています。
--例えば?
田中)本当に単純なことも多いですよ。出荷待ちの製品倉庫で、重さやパレットの大きさで区別して置いているから、出荷に時間がかかるようなケースでは、置き場を出荷順に変えるとか、製品を傷つけないように用いるパッキンのつけ方も、ワンタッチでできるように治具を作るとか。「改善」には「標準化」が重要ですね。
--ふむ。
田中)また、改善して重要なのは、それを「継続」することです。3Sはしていても、5Sはできていないケースが多い気がしますが、組織内でしっかり「監査」する仕組みを作ることですね。簡単なのは責任者が確認するチェックシートを作ることです。
--ほう。
田中)そして、「生産性」を上げるために重要なのは、従業員の「納得」です。目標値等を上の人だけで決めているケースが多いと思いますが、従業員も心の準備が必要ですから、きちんと理解、納得できるように「見える化」することが重要です。
--一方、外国人支援とは、どういったことをするのですか?
田中)ビザの申請を手伝って一緒に役所に赴いたり、仕事や家探しも一緒になって手伝ってあげたり、具合が悪い時には病院の紹介や付き添いもしますね。白衣を着て手術室にも入ったことがありますよ。
--手術室に?!
田中)麻酔を打って手術が始まるまでの間ですね。日本語がわからない外国人に「麻酔だから、しばらくしたら眠くなるけど大丈夫よ」と声をかけてあげたりするのです。
--そうか・・・、言葉が通じないから、患者さんも何がなされているかもわからないわけですもんね。
田中)そうなんです。言葉が通じる人(私)がいると安心されます。特に、医療の現場では、コミュニケーションは重要です。
--と、おっしゃいますと?
田中)お互い言葉が通じないと、本当はわかっていなくても、面倒くさいのか、わかったような顔をして済ましてしまうことがありますよね。しかし、医療は命にかかわりますから、患者は十分に理解しておくべきです。
--たしかに。
田中)お医者さん側も、言葉が通じない場合は、どうしても情報が少なくなります。タバコを吸っているか、常用している薬はあるか、どんなものを食べているかなど、生活習慣の情報は時には重要です。なので、お医者さんが聞いてなくとも、私が頑張っていろいろ話を聞くように努めます。
--ああ、「言葉」ってやっぱり大事なんですね。
田中)そうですね。でも、なにより理解しようとする「気持ち」ですよ。ネパール人の支援をしていますが、言葉はわかりません。でも理解しようとしてくれていると伝われば、信頼感が芽生え、そうすれば言葉はいらないくらいです。
--まあ、例えがおかしいかもしれませんが、赤ん坊と親も、言葉が通じずとも、気持ちがわかりますからね。
田中)まずは褒めてあげる、「すごいね」と。そして気にしてあげる、「大丈夫?」「どうしたの?」と。
--コーチングですね。工場改善アドバイザーのノウハウも活かされているのですね。
田中)そうですかね。でも、工場現場での外国人の支援もしています。気になっていることがあります。それは、日本人は真面目です。でも、真面目過ぎて、仕事では「鬼」のように映るんです。
--なっ、なるほど。
田中)もちろん、外国人も、日本人の真面目さを学びに来ているのですが、もっと根本的には、なぜ日本に来ているかと言えば、母国での暮らしが大変だからでしょう。なんとか自分を変えたいと思って来ている人が多いわけです。家族と離れて寂しく思っている人もいるでしょうし、気持ちも暗くなりがちです。だから温かくしてあげてほしいですね。
--そうですね。
田中)先ほど工場改善の話の中で、「見える化」や「標準化」に言及しましたが、外国人の場合、特にそうだと思います。例えば動画でわかりやすく伝えてあげるとか、感想を聞いてあげて一緒に取り組んでいる感を出してあげるなどすれば、納得するし、生産性は上がります。また日本人は「言わずともわかれ」かもしれませんが、そこをしっかり標準化して、ルール化することが大事なんです。
一見全く関係のないように思えた「工場改善」と「外国人支援」を、見事にシナジー効果を生んでいるようです!
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