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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成30年1月23日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社グローヴ(京都市)の小寺代表取締役様にお話をおうかがいしました。
―まずは御社の概要から教えてください。
小寺) 2016年12月に創業し、現在、社員6名で、再生医療機器、理化学機器、工業製品等の受託開発、自社製品開発を行っています。中でも、再生医療分野に特に注力しており、例えば、こうした回転培養装置、細胞裁断装置、簡易細胞観察装置等を開発したりしています。
―再生医療分野に注目されているのは何故でしょうか。
小寺) これからのヒトの進化論かもしれませんね。今後、我々人類は、子供の頃に流行ったテレビアニメのように、機械の体へとロボット化していくか、再生医療技術の進歩により、永遠の命を手に入れるかのいずれかだと想像しています。この中で私は後者に注目したわけです。既に、若返りなど世界中で研究が進んでいますし、これまでも、SFをはじめ映画の中で表現されてきた空想の世界が、現実になってきていますから。
―たしかに、ビッグバンが起こって宇宙が始まり、水素原子から周期表に出てくるような多くの原子の登場に繋がっていき、やがて、私たち人類も含めた生物が登場してきたといった進化の歴史を想起すると、素人ながら、納得します。
小寺) 再生医療に関する交流会に長年参加してきました。その会自体が、我々工学系の人間と、バイオ系の方々とではバックグラウンドが全然違う故に、最初はなかなか話が噛み合わないという時期を経て、次第に、講演者も「こういう道具がほしい」「ああいうのがほしい」というトーンが生まれてきました。そうした中で、この分野がブルーオーシャンだと気づいたのです。しかも、個々の器具自体は、大きいものでも市場は1千億円くらいだと思われ、大手が参入しにくい分野だと。
―なるほど。しかし、実際にはご苦労も多いかと拝察しますが、もともと小寺社長の得意分野はどういったところなのですか?
小寺) 技術屋としては、電気、制御、ソフトウェアですね。以前在籍していた企業では、大手メーカーのOEMで各種工業系検査装置、車載パーツの検査装置等、様々なものを手掛けてきました。球場の、磁気反転素子を使ったスコアボード等も携わったことがありますよ。
―そうした中で、起業を通じて再生医療分野へ進出を果たされているわけですが、どういった工夫をされているのでしょうか?
小寺) 先ほど申しました交流会による繋がり、販路を持つ流通との繋がりなど、「震源」を持っているところとの関係性は大切にしていますね。また、大学の先生方の繋がりも非常に大事にしており色々なご意見を頂戴しています。
―そういう考えに至られたのは、どういった経緯でしょうかね?
小寺) これまで多くの仕事をしてきた中で、「事業、ビジネスって何なん」と考えるようになりましたね。京都試作ネット等の勉強会を通じて、ピータ・ドラッカーを学び、技術屋の私も、「技術」のことだけでなく、「イノベーション」「顧客の創造」が何を意味しているのかをかじり、いつも「顧客の創造」という言葉が頭の中をめぐっています(顧客の創造・・・奥が深いです・・・。)。
また、「会社は公器」と言います。ものづくりもサービスだと私は考えているのですが、公器として、いかに付加価値の高いサービスを提供するかという、シンプルな考えを大切にしています。
―さて、今後の展望はいかがでしょうか?
小寺) 子供の頃、学校で「日本には資源がないから、加工貿易をしている」ということを学び、「ものづくりを頑張らなければ」と思ったものです。今、教育現場でどのように教えられているのか分かりませんが、ものづくりを志向する人が減ってきていると感じてなりません。そういうことからも、先ほど申したような、若返りや永遠の命などといったことが実現するのは、まだ時間がかかりますし、まずはじっくり、ものづくりの地固めをしていきたいです。
―なるほど。
小寺) そして夢は、当社で働きたいという人が増えることです。当社の仕事内容にも、待遇面にも魅力を感じてもらえるようになりたいですね。
永遠の命の実現に向け、今後の展開が楽しみです!
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