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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2022年4月1日、ものづくり振興課 足利・鴨井)
株式会社電装工業(外部リンク)(京都市)の中井代表取締役にお話をおうかがいしました。
--現在、世界的に部品不足が深刻です。足らないと言われる部品として「ワイヤーハーネス」の名をよく聞くのですが、御社はそれを作っておられるのですね。
中井)そうです。例えば、複数の電線やケーブルが組み合わさった組ハーネスや、バッテリ・インバータ・モータを結ぶ高圧ハーネスなどのハーネスの製造、さらには機械内配線作業など幅広く行っています。
--ウクライナにワイヤーハーネスの工場が多いと新聞報道にもありましたように、大手企業が海外で作っているイメージを持っておりましたので、京都で作っておられるとは、失礼ながら意外です。
中井)大手は例えば自動車用に何万本という数量でありましょう。一方、当社は、1本からでも対応しますし、例えばフォークリフト用に数百本というオーダーにも対応しています。
--なぜ御社はそういう対応ができるのですか?
中井)まず理由の1つは、金融機関にはよく驚かれるのですが、材料の在庫を敢えて多く抱えているのです。コネクタとか、電線やケーブルなどの在庫ですね。
--現在、品不足ですが、どうですか?
中井)なんとかですが、なんとか対応していますよ。
--おお、すごい!それは、顧客企業が材料を支給してくれるというのではなく?
中井)はい。顧客企業様から設計指示はいただきますが、材料確保を含め全てこちらで対応して収めます。
--ちなみに、一般的にワイヤーハーネスの不足は、ナイロン6,6の不足によるコネクタ不足が原因ですか?
中井)それもありますし、電線の芯線等に用いる銅の不足ですね。結局、コロナで物流が滞ったあおりで、過剰発注が続いているためです。
--そうなのですね。では、話を戻しまして・・・。
中井)もう1つの理由は、アプリケータと呼ぶ圧着用の金型も多数取り揃え、圧着や加工、組立、検査まで一貫対応しているということです。大手の大量生産を支える場合は、各工程ごとに下請企業が分かれていますが、当社は全てを担っているのです。
--そうなのですね。製造工程はどういったものですか?
中井)まず、「切断」工程です。今日の絶縁材では、撚り線やワイヤのカッティングおよびストリッピングに対する要求が非常に厳しくなっており、性能、精度、使い勝手の良さに影響する重要な工程です。
NC自動切断機
--なるほど。
中井)次に「圧着」工程です。半自動圧着機を6台そろえベテラン作業員を担当にして安定した製品を製造しています。
--ここで金型を用いるのですね。
中井)はい。そして次に「半田」工程です。ワイヤーハーネスの加工における半田工程は電線の芯線をコネクタ、ピン、基盤に半田結線する工程です。
--なるほど。
中井)そして「加工」工程。電線切断工程では製品に使用される電線やケーブルを必要な長さに切断します。電線切断工程の次の工程としてシースを剥きます。シース剥き工程の次に介在物・シールド処理工程を行います。次に被覆剥き工程です。最後に電線内部の芯線と呼ばれる導体部分を圧着・半田によってコネクタや端子に接続させます。
--なるほど。
中井)そしてボード盤を使った「組立」工程。
--特徴的ですね。
中井)そして検査ですね。
--素晴らしいですね。
中井)あと付け加えるとすれば、顧客企業様の設計図面も必ずしも完璧ではありません。そこに書かれていないこともたくさんあるわけですが、長年の付き合いの中で、あるいは新規顧客であっても、そこを読み解いてきちんと対応することができるというのも大きいですね。
--なるほど。御社に依頼される企業は増えている、ということですね?
中井)そうですね。かつてはEVスポーツカー用や、近年ですとAGV用もありますし、交通信号、道路トンネル、鉄道から製造業の機械装置など、幅広くオーダーをいただきます。振動や温度など、用いられる箇所の環境がそれぞれ違う一品一葉ですが、対応しております。
--素晴らしいですね。
中井)売上は、おかげさまで伸びています。しかし、今、やはり原材料やエネルギーのコストが高まっていますから、キャッシュは、どこの中小企業さんも厳しくなってきているんじゃないですか。
--ウクライナ情勢の影響はどうですか?
中井)今後出てくるでしょうね。例えば、原油高ひとつとっても、輸送費としてあらゆるコストに跳ね返ってきますから。
--そうですね。それにしても、繰り返しになりますが、品不足の中で部品確保を図られているのはすごいですね。
中井)当社の顧客企業には大手のメーカーさんや商社さんも多くいらっしゃいますが、よく、当社に立ち寄ってくださるのです。当社もいろいろな分野の方々とお付き合いしていますし、情報交換の意味もあって。その中で、当社自身もいろんな情報やルートを得られていますね。
--素晴らしいですね!社長はどうしてこの会社を立ち上げられたのですか?
中井)私は21歳からこの業界で働いてきました。やがて、より新しいことをスペシャリストとして追求したいと思って、20年程前に独立したのです。現在、パートさん含め約30名体制で頑張っていますよ!
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