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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和3年7月20日、ものづくり振興課 足利・足立・丸山・丸田)
株式会社データグリッド(外部リンク)(本社:京都大学国際科学イノベーション棟)の岡田代表取締役CEOにお話をおうかがいしました。
数分程度の講師動画を基に、AIによる人物動画生成技術を駆使して、「話す講師」を自動生成(外部リンク) |
--既にGANで一世を風靡されたわけですが、改めて御社の概要を教えてください。
岡田)2017年に起業し、現在、正社員15名、大学院生やインターンを含むと約50名体制でGANを中心としたAI開発を行っています。
--GANについても改めてご紹介ください。
岡田)GANはディープラーニングの1種ですが、従来のAIは、「予測」や「認識」作業を行うことに長けていましたが、GANでは新たなデータ作り出す「生成」に長けています。また、GANの学習プロセスでは、本物らしい新しいデータを作り出そうとする「生成AI」と、それが生成したデータと本物のデータを判別しようとする「識別AI」で構成され、生成AIは識別AIを騙そうとし、逆に識別AIは生成AIが生み出したデータを正確に見分けようと競い合います。
--精度を高めるため、競争しているわけですね。御社ではこのGANの技術をどのようなサービスで展開していこうと考えているのでしょうか?
岡田)GANの技術を用いて主に3つの領域の事業を行っています。1つは「デジタルヒューマン」です。AIにより生成されたデジタルヒューマンをアパレルEC等の広告モデルとしての活用を進めています。 これまでに本間ゴルフ社やイメージナビ社との取組を行い、デジタルモデルマーケットの拡大を目指しています。
--デジタルアイドル、有名ですね。
岡田)デジタルヒューマンをアイドルとしてプロデュースするサービスを提供するジーンアイドル社を設立し、新たなマーケット創出を進めています。
--映画等の役者を置き換えることは可能ですか?
岡田)ビジュアル面は可能ですね。むしろ、動作の精度をどう上げるかの方が課題だと思います。現時点では、例えばですが、武道家の動きと、あるいは、スタントマンの動きと俳優の顔をミックスするとか、といったことが可能ですね。
--なるほど。
岡田)さて、2つ目は、AIのトレーニングデータの生成です。例えば、製造業における画像検査用AIには、本来、多くの学習データが必要です。
--そうですよね。そこでよく問題になるのが、失敗データが少ないということです。最近は少ない失敗データで対応する動きもありますが、やはり精度の問題がありますしね。
岡田)そうです。そこでGANを用いて、学習用の失敗データを作成できるのです。
--いいですね。
岡田)ほかにもキャラクターの自動生成、低解像度から高解像度への画像変換、画像スタイルのリアルタイム変換など様々なことを行っていますが、今、セキュリティの研究にも取り組んでいます。
--セキュリティ?
岡田)ディープフェイクの問題です。生成AIによって、誰でも簡単に生成できるようになると、悪意を持った動画が作られてしまう等の問題が生じてきます。そこで、そのようなディープフェイクの動画を検知するような技術についても検討を進めています。
--起業なさった経緯を教えてください。
岡田)GANというものを知って衝撃を受けたのです。「まさかコンピュータが創造性を持つとは」と。ただ、すごく興味を持ったのですが、当初はまだ研究段階でした。ところが2年ほど経つと、徐々に実用化段階になってきていまして、選択肢は2つでした。まず、「どこかの会社に入って携わるか」と。しかし、そんな会社がない。「ならば自分でするか」と。
--よく勇気を持ってなさいましたね。
岡田)3人兄弟の末っ子なのですが、親兄弟とも自営業一家なんですよ(笑)。今は、こうして仲間が集まってくれて嬉しいですし、やりたいことを自分たちで決められるのも楽しいですね。
--困りごとは?
岡田)そうですねえ、強いて言えば、京都の大企業さんとの接点がもっとほしいですね。東京の企業とばかり仕事をしています。今後は京都のグローバル企業ともぜひ一緒に仕事をしてみたいと考えております。
--なるほど。最後に今後の展望はいかがでしょう。
岡田)あらゆるものにAIを深く、自然に浸透させ、人々が特別な意識をすることなく、その多大な恩恵を受けることができる未来社会を作っていくべく、励んでまいります。
今後の展開が楽しみです!
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