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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成30年4月25日、聞き手・文:ものづくり振興課 是洞)
今回は(株)千代田セールズ社さんの新工場が完成したということで現場にお伺いしました。事務所内に入れば、社員の皆さんが起立してご挨拶をいただき、大いに感動です。
新しい工場が完成し、今週から稼働したこともあり、社員の皆さんのモチベーションの高さがわかりました。
新工場は、ベージュを基調とした落ち着いた色彩をベースですが、社名はオレンジ色で、遠くからみても一目瞭然。宣伝効果は抜群ですね。
さて、工場内ですが、通常、印刷ラインは溶液や染料の関係上、かなり汚れているものですが、新工場はもちろん、既存工場も整理整頓が行き届き、本当に清潔そのもの。
職場環境に対する意識の高さは仕事のクオリティに直結しますから、社員さんの意識の高さは会社にとって最強の資産ですね。素晴らしいことです。
さて、新工場ですが、4月3日のお披露目会には約80名の方が見学に来られたそうです。取引先も関心大というところでしょうか。
工場内には、高速10色グラビア印刷機が整備され、品質向上、生産スピードのアップが可能となり、会社の強みである「小ロット・短納期」を武器に、今後、自社生産比率の向上、飲料、調味料等の新規顧客獲得、化粧品等の新分野開拓、東日本地域の販路開拓にチャレンジするそうで、この熱い想いを社員全員が共有し、日々業務に励んでおられるとのことでした。
また、工場が軟包装衛生協議会の認証を受けているほか、異物混入防止のためのクリーンルーム化、大気汚染防止のためのVOC回収装置、火災予防の防爆処理を整備。食に関わる製品を取り扱っていることもあって、食の安全、環境には人一倍配慮されており、製品のクオリティの高さとも相まって、取引先の信頼も非常に厚いことがわかります。
今後は、自社製品の特長を生かして、日本の食材の鮮度保持に貢献し、日本食の海外展開に取り組んでいくことも検討されており、今後の千代田セールズさんの活躍に大いに期待です。
(掲載日:平成29年6月12日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社千代田セールズ社(本社:八幡市)の北尾正代表取締役社長、北尾功専務取締役様にお話を伺いました。
―まずは御社の概要から教えてください。
社長) 昭和32年に創業し、現在、従業員約90名で、食品や衣類などの包装に使用される、主にプラスチックフィルム製の軟包装材を印刷及び製造しております。プラスチックフィルムには、酸素を通し難いもの、湿気を通し難いもの、抗菌作用のあるものなど、様々なタイプがあります。それらを単体で、あるいはラミネート加工を施し、内容物の鮮度保持、賞味期限の延長などに繋がる多様な機能を持つ包装材を作り上げます。当社では、これまで数万点に及ぶアイテムを作ってまいりました。同業者も多い業界ですが、おかげさまで、大変忙しい状況です。
―良いことですね。需要が多い背景は、どういったものですか?
社長) まず、包装業界そのものの変化に関して申せば、これまでは紙器箱に無地のフィルムに商品を包んだ形式の物が多くありましたが、紙器箱をなくしフィルムの袋だけで販売する形式のものに変る傾向となり、それにより、これまでの無地フィルムに美粧性を待たすために、グラビア印刷しようという風になってきているのです。コンビニエンスストアの商品棚が変化してきていることにお気づきですかね?かつては、商品が入った紙製の箱を置くための、まさしく「棚」であったわけですが、最近は軟包装袋の商品を吊り上げる方式のものに置き換わってきています。
―言われてみれば!
社長) また、生活スタイルの変化に依るものとして、例えば「個食化」ですね。小分けにパッケージするものが増えてきています。あるいは「つめかえ」ですね。洗剤などでよく見かけるように、詰め替えて使おうというものが増えてきていますね。人口減少時代ではありますが、これにより袋の数はむしろ増えているわけです。
―なるほど。数万点以上の種類を作ってこられたということですが、どういう機能を持たせるかなど、企画から御社がなさっているのですか?
専務) はい、そのとおりです。内容物がどういったものかとか、内容物をどのように包むかということから、その品質を何日持たせるのかとか、湯煎・冷蔵・冷凍・電子レンジを使用するものとか、製造工程から消費者が開封するまでのありとあらゆる要素を加味して、それに対応するフィルム材料、その厚みなどを設計していくのです。どんどん新しい材料が登場してくるので、日々そうした研究も重ねています。贈答品用などの場合、半年経っても中の焼き菓子が湿っていないような包装袋の開発をした例もありますね。
―どういった工程で製造されるのですか?
専務) そうした企画・設計とともに、デザインの原稿を作成します。色や文字が要求仕様通りに再現できるかチェックします。そしてグラビア印刷を行います。
―なるほど。
専務) そしてラミネート加工ですね。先ほども申しましたが、複数のプラスチックフィルムや、アルミ箔、紙などを貼り合わせて多層化します。そして、検品・スリットして、製袋します。
―御社の強みとは、ズバリ?
社長) まず1つは、小ロット・短納期ですね。世の中の商品展開の回転速度がめまぐるしく速くなっています。あるいは、同じお菓子でも、味の違いなどで様々な種類を増やしているものも数多く出てきています。本来、グラビア印刷は製造準備に時間を要するため、大ロットが基本となっていますが、小ロット、短納期というニーズが極めて高いため、当社はそれに応えてきました。ですから、工場では、セット替えが一日中続きます。版、インクなどを全部替える必要があります。インクを洗い落として、刷り合わせて、といったことを絶えず行っています。時々同業者の工場見学に行くこともあるのですが、うちの社員は、このセット替えが多いことが当たり前だと思っていますので、他社様の状況を見て逆に驚くようですね。
―そうなのですね。
社長) もう1つは、柔らかいフィルムにも印刷ができるということです。柔らかい素材は、テンションをかけると伸びますから、どうしても印刷がずれたりしやすいわけです。それを合わせていくのが難しいのです。
―どうして御社にはそれができるのですか?
専務) 「慣れ」ですね(笑)。そして、そのノウハウをみんなで共有する仕組みを作っています。チーム単位で作業をし、フォローし合うとともに、チームどうしで競わせて、品質、早さを高め合っています。
―素晴らしいですね。さて、今後の展開などについて少し教えてください。
社長) まず、当社の話で申しますと、設備を増強してまいりたいですね。今、引き合い、受注がすごく増えていますので、キャパ不足で協力会社に出すこともあるのですが、そうなると当社の強みである「短納期」対応が出来なくなります。また、「働き方改革」が声高に叫ばれている時代ですが、受注が増えているので夜勤対応も増えます。そうなると人材の確保もますます難しくなります。ですので、設備を拡大し、より多くの受注を社内で製造できるようにしたいと考えています。
―人材確保は、やはり厳しいですか?
専務) 厳しいですね。ここ数年、人員を増やすために色々な努力をしてきましたが、中々希望通り人が定着してくれません。当社はもともと、中途で入る方も多く、全員正社員にしたいと思ってやってきているのですが、派遣社員やパートのままが良いと思う方も多く、なかなか厳しいです。
―そうなのですね。
社長) さて、業界全体の話で申しますと、軟包装がゴミを増やしているという認識を変えたいですね。同じ包装材でも、紙はリサイクルができるのですが、プラスチックフィルムは、多様な材料が混ざるので再生が出来ません、よって軟包材が増えればゴミも増えると思われてしまいます。しかし、機能性のフィルムには多くの特性があり、内容物の保護する日数を延ばすことで、社会問題となっている食品廃棄を減少させる効果もあり、その役割を終えたから廃棄されるので、決してゴミを増やしている訳ではありません。これらの機能を認めてもらい、軟包材の必要性を理解してもらいたいと思っております。
―そうですよね。
専務) もう1つ、日本の食、京都の食を世界へ展開していくお手伝いをしていきたいですね。日本の食品は世界戦略商品だと思います。すし、ラーメン、日本酒、など、日本の食べ物は世界中でその美味しさを認められていますし、最近では、大手農機具メーカーさんが、精米機と一緒に日本の米を輸出したところ「日本の米はおいしい」と評判になっています。日本の美味しい食材を、品質・鮮度を保持したまま、海外の消費者に届けることが出来れば、更に日本食ファンは増えると思います。そのように海外へ販売したいと思っておられる食品メーカー様に対し、ぜひ当社の経験と知識でサポートしていきたいと思っているのです。コラボレーションしていただける企業様を探しています!
そうしたコラボがどんどん生まれてほしいですね!今後の展開に期待大です!
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